マンションのY2K

 そろそろ2000年も近づいて、師走の慌しさのなか「Y2K」についてはもう「どうにでもなれ」という感じがしなくもない。
   そんな折、マンションのポストに「居住者各位」というチラシが入っていた。
「新聞、雑誌等でさまざまな議論がなされている2000年問題、マンションは大丈夫ですか?」

 B5サイズのチラシの発行人は「ビル管理サービス株式会社」
 Q&A形式で、2000年問題について、それぞれ数行書いてある。
 それによれば、マンションの共有部(エレベーター)、自動ドア、オートロック、給排水設備などは日付機能の制御はないので影響はない。インフラ(上下水道、ガス、電気)の供給停止は想定したほうがいい。
 ということで、対処法としては
 1)大晦日の日付変更時間はエレベーターに乗らない。
 2)食料、水を確保する。
 3)長期不在の際、日付機能のある家電製品などのコンセントは抜いておく。
 以上の3点が明記されている。
 昨日訪問したマンションでも「このエレベーターは2000年問題には安全というテスト結果が出ましたが、念の為、日付が変わる12月31日から1月1日までのご利用は控えてください」とあった。
   大丈夫とわかってはいても、なにがおこるかわからないのがY2Kということらしい。
 エレベーターは大丈夫でも、電気が止まる恐れだってないわけではない。
   電脳化、電化生活に依存している社会はいざというときになにもかもが止まってしまうということに改めて気づかされた人も多いのではないだろうか。

 先日引越したばかりの友人が単機能の電話を探して、なかなか見つからなかったという話を聞いた。
 留守番電話、ファックス、最近ではスキャナーや電子メールまでついていて、便利といえば便利だが、電気が止まったら使いものにならない。
 ちなみに、携帯電話やPHSについては、全国万能ではない。私の実家は鎌倉の山奥なので、どちらも回線はつながらない。不便である。
 母は留守番電話にセットすることはできるが、聞くのができない。もちろん応答メッセージなど吹きこむことなどは考えもしないと思う。ファックスは受信は勝手にするものの、受話器をとってしまったときにどうしたらいいかわからない。
 その話を友人たちにしたら「あ、うちも、うちも」ということになった。
「本当は年寄りこそ電話がイノチなんだから、もっと簡単な電話にしてほしいよねー」
「しかも災害や緊急時は心配だよね」
 昔ながらの単機能電話ならば電話線さえあればつながる。
 台湾で地震があったときに、現地駐在の商社マンが「電話はかならず単機能のものを設置している」と言っていたことも思い出した。

 私は年末はたぶん鎌倉に帰るのではないかと思う。
 鎌倉の実家では野菜をたくさん作っているうえ、裏山からの涌き水も飲める。火は枯れ木などがあるのでいざとなれば釜戸でごはんを炊けばいい。お風呂も薪でOK。
 ことごとくプリミティブな晴耕雨読型生活が(主に祖母によって)営まれいるので、世間でなにがおきてもそうそう影響はないと見ている。
 都心でなにか起きたらそのまま鎌倉で隠遁生活もいいかもしれない。

 Y2Kは、私にとってはコンピュータ問題というより電化生活について考える機会のように思える。
 なにもかもコンピュータで制御されることに対して、ちょっとしたチェックポイントになっているのではないだろうか。
 いまさら昔には戻れないけれど、日々生きるためだけに必要なものだけを生産消費する、新しいスタイルの自給自足を考えるいいチャンスではないだろうか。



 




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