
日本人は働きすぎると言われていた時代があった。
そのせいか、労働者の働く時間は1カ月に160時間だったか、何時間だったかという、労働基準法というものができて、労働者は保護されることとなった。ではアメリカ人はどのくらい余裕がある生活をしているかというと、とにかく働く。
いま、テレビの番組で、ある会社のPRウーマン、キャシーの生活が紹介された。
学生も、頭がよければいいほど、昼夜を問わず勉強している。
「MITの学生は土曜でも日曜でも、24時間勉強していますよ」と、今回シンポジウムのコーディネーターを担当したロビンが言っていたが、本当に不夜城だ。
また、学生だけでなく教授も10分とか15分とかの予定で動いていたりする。
今回ラスベガスのCESも、基調講演は朝8時からだったかと思う。(ビル・ゲイツは8時前に会場に入っていたというわけだ)
彼女は毎日寝るのがだいたい朝4時半ころで、睡眠時間は3時間くらい。
朝起きると顔も洗わず、そのままベッドサイドのパソコンでまずメールをチェックして、1日がスタートする。
平均1日の働く時間は18時間くらいで、そのうち打ち合わせが6本、電話は100本近くなる日もままあるという。
オフィスにはパソコンが3台あり、携帯電話を2台常に持っているほか、メールをチェックするノートパソコンも車に搭載している。
電話をかけながらメールをチェックして、その間にもう1本の電話に指示を与えていたりする。
土日もほとんど休みがないほか、長期の休暇もとったことがないという。
そして、病気知らずで「13年間、風邪すらひかないわ」という。
ああ、頼もしい! 上には上がいるものだ。テレビに出るからには特別な人に違いないのだろうけれど、デジタルライフが加速するにつれ人々は寸暇を惜しんで過密な仕事をする傾向にあると、その番組ではレポートしていた。
「そんなに寝ないで仕事ばかりしていていいんですか?」というレポーターの質問に、「だって私は子どももいないし、ひとりだから、自分の人生は自分でクリエイトできる。それでいいじゃない」
ちなみに、そんな彼女と一緒に働く人の条件は「絶対病気にならない人」なのだそう。
「だって、私は分単位で動いているから、病気になる人じゃスピードがあわないもの」SVJ(スマート・バレー・ジャパン)の伊東正明さんがあるシンポジウムで、「シリコンバレーで投資家がベンチャー企業を見るときに、クリスマスの夜に訪問する」という話をされたことがある。
クリスマスに家族だ、彼女だとか言っているような人はベンチャー企業の経営者として失格だということなのだそうだ。
また、ベンチャー企業に関する書籍を多数執筆されている早稲田大学の松田修一教授によれば、ベンチャー企業では週70時間働くのは当たりまえだそうだ。つまり、寝るか寝ないか、残業をするかしないかということではなく、自分自身がどれだけその仕事に打ち込むかということであり、そうして打ち込んだものが将来自分の血肉になるのである。
そう考えることができる仕事と出会えた人は幸せだろうし、仕事でも勉学でも打ち込むことができる人たちと出会うことも幸せだ。人生は短く、デジタル社会は加速している。
私はいつも日本にいるとやけに「疲れる」のだけれど、なぜ疲れるのか理由がわかった。
1時間はもはや1時間の価値はない。
あせる必要はないが、24時間を48時間分、72時間分使えるようになったのだと考えて、あわただしくも充実した生活をすることができれば、都市生活者として合格といえるのかもしれない。
土日祭日は休んで当然、残業なんてもってのほか、という社会のなかで、24時間体制で働こうとすると、だんだん罪悪感がしてくるのだ。
「自分はいいけど、他人にまで強要するなよな」という声がそこここの壁から聞こえてくる気がする。
年末に会ったベンチャー企業の社長が「ボクは年末年始はもちろん、土日も仕事をしているし、基本的に仕事なら何時でもOKです」と爽やかに言ってのけたときに、私は思わず「惚れたっ!」とヒザを叩いてしまった。(ちょっとウソ)
食事をしたり、コンパをしたり、デートをしたり、そんな人生もあるんだろうけれど、私はどうせなら朝まで一緒に仕事をしたい。 CNNの番組で、もとニューヨークの市長だった人が出て、「会社を17持っている」と言っていた。「金儲けが問題じゃないんだよ。仕事をしていることが生きがいなんだ」というその老人は「いつかリタイヤしますか?」
というレポーターの質問に「リタイア? 冗談じゃない。私が死ぬのはオフィスの机の上だ」と言ってのけた。
年老いても仕事に生きている人で、こんなにキラキラしているなんて、と、ちょっとばかり衝撃だった。ワタクシといえば、アメリカの乾燥したホテルで喉風邪をひいたらしくて、その不健康ぶりが恥ずかしい。
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