
私は自分が人一倍しゃべるせいか、おしゃべりな人は苦手、というかどちらかというと嫌いなジャンルである。できれば自分も、もっともっと、寡黙な人になりたいと思っているので、余計なことをしゃべらない人はそれだけで尊敬してしまう。
私がとくに嫌いなのは、おしゃべりな男だ。
とくに大学生。
居酒屋で、電車のなかで、道のまんなかで、大声をはりあげてくだらない話をする様子は辟易とする。そもそも大声を出すというのは、男も女も、全然セクシーなことじゃないと思う。
知り合いに「声ハンサム」を自慢している人がいた。 ほんとうにハスキーな、すてきな声で、お会いすれば容姿も・・・まあ、ひどくはないのだけれど、ちょっと頭部が薄かったりするところがご本人が気にかけていらっしゃるところか。
しゃべるというのは(仕事は別として)、低めの声で、なるべくゆっくりと、ひそやかにしゃべるほど、知性を感じ、色気を感じるものである。
要するに、知性も色気もどうでもいいからこそ、大声でどなりあうような会話をしているのだろうか。
若者が多い居酒屋や、声が反射してわいわいとうるさいレストランを「にぎやかだ」とは決して感じない。
大騒ぎして、ばか笑いしている男女を「若いから」といって容認したくない。 教養がなくマナーが身についていないのは躾と育ちの問題だ。
私はカウンターにスズメのようにならんで、ときおりひそひそと会話を交わす程度のバーや、笑顔と視線が会話の代わりとなるような緊張したレストランが好きで、またそうした場所に似合う男性が好きだ。
「オレが電話するだけで主婦なんかはイチコロなんだ」と冗談をとばすのもあながち嘘ではないかも、と思えるほど、ころがるような美声であった。 そういえば、私は若いころ、あまりにも貧乏で、日銭を稼ぎたくて「テレホン・アポインター」とかいうのの面接に行ったことがある。
電話帳で片っ端から電話をかけていって、ブリタニカだかタイムだかの百科事典かなにかを売りつけるという仕事で、その事務所は銀座あたりにあったように思う。
履歴書を書いて面接したあと「じゃあ、実際に電話してみてください」と言われ、電話でいろいろな質問をされたあと部屋に戻って結果を待つ。
「適正はEでした。残念ながら」Eってなんなんだ!? ABCで5段階ならばEはペケじゃないか。
まさか26段階中の5番め、なんてことはないだろうし、AIUEOの5段階、というわけじゃないだろうから、多分、5段階評価で最低だったということだろう。これは私にとってはその後しばらくショックだった。
ずっとあとで、エステサロンで見たメモに「見た目は若いが結構トシ」というのを見たときと、自分では結構イケテルかなと思っていたエアロビクスのクラスで評価が「E」とつけられていたのとあわせて、3大ショッキング・トラウマである。
そのとき以来、私は自分の声にかなり自信を失っている
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