親指族

携帯電話の普及率は日本は世界でトップレベルである。
その理由には、島国であるからインフラを整えやすいということと、もうひとつ、「日本人の器用さ」ということがあげられる。
別の書きかたをするとしたら、日本人がいかに器用かという例が顕著に現れたのが携帯電話である、ともいえる。

いまや日本人のほとんどの人が(何人に1台、とかいうデータはめんどうなので調べないけれど)携帯電話(ピッチも含めて)を持っている。
そして、携帯電話の使われ方も世代が若くなるほど、「話す」から「書く」に変移している。
つまり、携帯メールのやりとりが時として会話を上回っているのではないかということである。

渋谷の雑踏のなか、携帯電話で話しながら歩いている人が多いことにいつも驚くが、同時に、携帯電話を「見て」いる人も多いことにもっと驚く。
「日本では携帯電話はメールを読んだり、送ったりするものなのよ」というと、たいていの外国人は眉をひそめる。
「メールの文章を読むならともかく、なんでまた携帯電話なんかでメールを書くわけ?」

まず、英文入力と和文入力の違いがある。
ためしに「I love you」と入力するのと「愛してる」という入力するのの違いを比較すれば、前者が23回キータッチしなくてはいけないのに対して後者は14回ですむという違いである。
それじゃあ比較にならないというなら「アイ ラブ ユー」と打ったとしても十数回ですむ。
これまで英語は26文字で簡単だと思っていたのが、携帯電話の入力という場面になって、日本語変換のほうが簡単だということに気づかされ、「ジャパン イズ ナンバーワン!」(asではない)と胸を張って言えるまでになったのである。
そんなこともあって、ただでさえ不器用な外国の方々が、日本語入力よりもめんどっちい携帯入力などすべくもなく、携帯電話は思いのほか海外ではメール送信は流行らないのではないかと私は予測するのである。(ただし、PDAや携帯キーボードがあれば別かもしれないけれど。それも、ポケボみたいな小さいキーはダメ。Palmの筆記みたいな書き文字入力はマニア受けしてるけどイカさないと思う)

話は日本人に戻る。
携帯電話がメール端末になった今、どうやって入力するかといえば、片手が基本。
電話番号を押すときはもちろん、メール作成も、片手の親指1本でできるのがモバイル世代であり、これを「親指族」というのだそうだ。

そもそも第一時親指族というのは、昭和26年ころ電動となったパチンコを使う人たちにつけられた言葉らしい。
現代の親指族は携帯電話にはじまり、電子レンジも、タッチパネルも、駅の切符販売機も、牛丼屋の食券も、タッチする指は「親指」。
ちなみに、親指以外の指を使うのは「おやじ」あるいは「おばん」の証拠である。
ピンポンダッシュなども新世代の若者ならば親指でチャイムを押すことは間違いないだろう。

この「親指族」たちは家庭用ゲーム機(ファミコンやプレステなど)の十字コマンドを使いこなす世代でもあるそうだ。
彼らは小さい頃から親指(主に右手の親指)を動かすことに精通しており、選択ボタンを押すというと反射的に親指で押してしまう学習が刷り込まれてしまっているといわれている。
おそるべし、家庭用ゲーム機!

私はゲームは家庭用もアーケードもまったくできないし、やったこともほんの数回程度である。
だから親指ではとても…と思いきや、携帯電話入力はやはり右手親指のみでやっている。
やはり常に流行の先端! 偉い。

なんて、どうでもいいといえばどうでもいいのだけれど、今後、セキュリティーシステムに親指の指紋が使われるなんていう時には便利なのか、便利じゃないのか、なんてことをちょっとだけ考えた。
それから、携帯電話に付属するキーボードが増えてきたが、それらをありがたがって(あるいは面白がって)いるのはどうも「おぢさん」ばかりのような気がする。
そりゃあ確かにポケットボードはOLに売れた。エクシーレも圧倒的に女性に売れている。
でも、よくよく見ていると、小さいキーボードでは両手の親指で入力されていたりする。
親指、恐るべし。


 



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