
キティーパソコン敗退の理由
今年はパソコン業界では異例の「かわいい」パソコンが登場しました。 といえば、たいていの人は「ふふーん、iMacね」と思うでしょうね。 でも、私はだめです。 あの、 気持ち悪い青っ。 不気味なアール形。 FDもMDもついていない初心者不親切設計。 しかし唯一評価すべきは「17万8千円」という価格と、安いけれど手を抜かない高品質(なんたってG3でしょ)という点。あの不気味な色と形さえがまんできれば、私だって思わず買ってしまったかもしれないけれど、さすがに私の美学が許しませんでした。
そんなオシャレな私が「欲しいっ!」と痛切に思ったのが「ハローキティパソコン」
これはA5サイズで、しかも1.1キロで、ピンクのガタイにキティーちゃんのイラストがどんと描いてあって、とここまではいいのだけれど、ペンティアム133MHz、メモリ32MB、HDD 1.6GBで24万8千円だとおっ???
いくら壁紙がキティーちゃんでも、マスコットやカーソルポインタやスクリーンセーバーがついていても、24万8千円はないぜ、セニョリータ! いくら版権が高いっていったって、残り物のFMVっていうのはありありで、限定1000台が売れ残ってもしょうがないですなあ。
それにしても富士通のやることはいつもいいかげんで、消費者としてはハラがたちます。
たとえば「プリシェ」(なんていって、覚えている人がいるとは思えないけど)など、CD−ROMドライブは遅いのはがまんするとして、外部デバイスがないっ。 40もソフトがプリインストールしてあるから、内蔵のHDDはぎっちりめいっぱい、なのに保存する方法がFDじゃあどうする気じゃあっ???ということで、あれもまた売れ残りましたね。
話は「キティーちゃんパソコン」に戻るけれど、販売タイミングも悪い。
だって、iMacが出て、17万8千円でしょ。 そのうえ24万8千円も出すんならば、SONYのVAIOのカメラ付きの新型C−1が買えるじゃない。そんなときに、あんな中途半端なスペックで儲けようとは。
しかも、フリーダイヤルに電話すると、サンリオじゃなくて富士通なんとかかんとかというところが出てきます。そんな会社名はチラシにはひとことも書いてないから、不信感が募りますねえ。
おまけに、チラシの裏側は、意味もなく「ALOHA!」なんていうホームページが出ていて、ばかみたい。なんでサンリオのホームページとか出してないわけ? もう、馬鹿すぎて同情もできまへん。
そこで、私ならどうやって「キティーちゃんパソコン」を売るか。
まず、販売する目的をきちんと決めます。
今回は「話題をとる」ことが目的。 iMacだって赤字覚悟の一大決心をしたから、あそこまで話題になったんです。せこい商売をしちゃあいけません。
そこで、価格は14万8千円。
サンリオは1個5円のアメだって売っているんです。リーズナブルな商品が命です。
プロモーションは、女性が多いWEBやメーリングリストを活用して、クチコミ作戦。
それから、ちょっとおもしろいタレントさんにも何台がプレゼントしちゃいましょう。
シノハラとか、 西村知美とか、案外林家パー子なんかもいいかも。
もちろん、エイガアルのオフィスには5台くらい置いておかなくちゃね。
チラシなんかよりも、かわいいDM。近頃レストランなどにあるフリーアドのポストカード作戦もいいかも。
どうせ余っているパソコンなんだから、編集部にもあげちゃいましょう。「かわいい」「プチセブン」「チャレンジ」、おかあさん世代をねらって「マフィン」「LEE」なんかもいいかも。
あとはイベントです。
キティーちゃんパソコンからインターネット・アクセスしてもらった人を対象にした「電子メール コンテスト」とか。優秀者にはキティーちゃんグッズ・プレゼント。
参加者には全員、キティーちゃんFD(非売品)をプレゼント。「初回限定1000台」はかくして1ヶ月で完売。 宣伝費のほうが上回って利益にならない? そんなのはいいんです。今回の目的は「話題づくり」なんだから。
「キティーちゃんのイラストで、パソコン1000台が1ヶ月で完売」
「購入者の3割が、なんとOL!? キティーパソコンはファッション・アイテム」
まあ、こんな見出しの記事が出ればしめしめといったところ。
「初心者だから 133MHzでもじゅうぶんですよ。 スペックが多少古くても、こんなにかわいくて実用的だから、絶対お買い得」とふれてまわる伝道師(エバンジェリスト)もほしいですね。
こうした商品はいつも、「売れるかどうかわからない」と躊躇するメーカーが失敗を恐れるあまりにいいかげんなものを創って、結局売れない理由をマーケットのせいにして自己反省しない態度がいけないのです。
いいものを、リーズナブルな価格で販売すれば、絶対に売れます。
でも「なにがいいもの」で「どのくらいがリーズナブルなのか」ということを見極めるのはプログラマーでも、エンジニアでもありません(きっぱり)。
本当に、私ならば絶対に「話題」にして、「ブーム」にして、しっかり「ブランド」にしてしまうんだけどなあ。
開発費をけちってはいけないように、宣伝費や企画料をけちってはいけない、という常識に、メーカーさんたちが早く気づいてほしいですね。
10・9・98