| 博物館にある電車や発電所の模型とかでも、内部構造が見えるような模型がある。構造を見せることで、仕組みを理解できるようになっているわけだ。このような模型をカットモデル(正確にはカット・アウェイ・モデル)という。最近のガンダムでも、カットモデルが売られているが、あれは違う。「アニメのロボット」という絵空事にリアリティを持たせる為の演出のために、内部メカを見せているのだ。 しかし、このレベルの「宇宙ステーション」は違う。本物のカットモデルである。 全体の形が円筒形なのは、当然、回転して発生する遠心力を人工重力として利用する為だ。すなわちこの円筒形の壁が、内部の人間にとっては床となる。模型も、このあたりの設定はキチンと押さえて、人形は壁面を床にして寝たり話したりしている。窓は、外の真空に対して圧力を保つため、円くて小さくて、外側に膨らんでいる。これも工学的に正しい表現だな。 内部には、気象観測室も、実験室も、カフェもある。一つ一つの部屋が何に使われる為のものか、考えてみるだけでも勉強になる。付属しているメンテナンス用小型ボートや、資材を運ぶタグ船も、すべてロケットノズルの推力方向とその船の重心がピタリとあってる、という素晴らしさ。こういう基本をおろそかにしないところ、立派だなぁ。 シャトル・ロケットから、宇宙ステーションに乗り込む出入口は、エアロックになっている。双方のエアロックがドッキングして、互いの内圧がいっしょになってから、人間が出入りするようにできているのだ。見事! これだけではない。宇宙ステーション内にあるハッチやはしごといった、細かいパーツの一つ一つが、すべて科学的知識に裏打ちされている。SFメカデザイナーの感性とやらで、何となくデザインされた部分など、何一つ無い。だから作るだけで、見るだけで正しい宇宙の知識が身に付くようになっている。なぜだろうと考えるだけで、宇宙やロケットに関する知識が、自分の頭の中で有機的につながるようになっているのだ。 説明書とは別に、フロクで付いている小冊子もカッコいいぞ。このステーションの打ち上げ軌道や人員配備、宇宙空間での建設手順や科学用語辞典など、もう盛りだくさんの内容だ。 強く、正しく、明るく。科学を信じる少年のための模型なのだ。 |