『極楽最新おたく道』
【初出】:Hot Dog Press 【連載開始日】:96/12
ン1995-1998.Toshio OKADA all right reserved.
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#1
| オタク界、それは果てしなくディープな世界。そこにはトンデモない人達が、トンデモないアイテムをめぐって、理解できそうにないような会話を交わしている。 今回から君たちに、そのトンデモないオタクたちですら、驚いてしまうようなアイテムを紹介しよう。そこは君の全く知らない、けれどもきっと心惹かれる世界になるだろう。 今回紹介するのはアメリカのニーマン・マーカス社のクリスマスカタログからの逸品。このデパートはこれまでも「一人乗り潜水艦」とかユニークな商品を提供するので有名だったが、今年のクリスマス目玉商品として、映画「スターウォーズ」に登場する宇宙戦闘機・Xウイングファイターの実物大レプリカを販売し始めた。クライマックスで主人公ルークが乗ってデススターに侵入するあの戦闘機だ。 材質は鉄(!)とファイバーグラスで全長8.2メートル、重さ2.3トン。価格は入札制で最低350万円から。もちろん飛ばない、走らない、ミサイルも撃てない。しかしあのスターウォーズの実物大である!これはもう買うしかないよな。 アパートに住んでてもフェラーリ、ポルシェに乗ってる奴なんて腐るほどいる。立派なオタクなら田舎に引っ越してでもこれを買うだろう。どうだ、君も? ただしこれを屋根の上に載せて、喫茶「スターウォーズ」を開くのは禁止。あくまでオタクの道は趣味の道、なのだ。 |
| 美少女フィギュア(人形)に興味がある、なんて女の子に告白したら、けっこう大変なことになる。 「それってきっと、現実の女に興味なくて、人形相手に『○○ちゃん、ただいま』って声かけたり、スカートのぞいたり、着せ替えとかするんでしょ?気持ち悪い!」 しかし純粋に女の子を造形美として楽しむ、という快楽が男にはある。カーマニアがミニカーを眺めて喜ぶのは、そこに凝縮されたカースタイリングの美を見いだしているからだ。同じく、良くできた美少女フィギュアには、そのような凝縮されたスタイリッシュな美があり、快感がある。 今回紹介するのは、1/1綾波レイ。制作はフィギュアの名門・海洋堂製で、推定価格はなんと28万円だ。綾波レイは、カルトな人気を誇る「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロインだ。第一話から包帯まみれの死にかけ姿、というインパクトありありで登場、その瞬間から圧倒的な人気を誇っている。 その彼女が身長163センチの実物大フィギュアになった。ウエスト44センチ、靴のサイズ21.5センチという、現実離れしたプロポーションも魅力! 最初、この企画を聞いたときには正直言って僕も「ゲテモノ」かと思った。しかしこれ、現代アートとしても十分通用する「何か」を持っている。 君の部屋にすっくと立つ実物大フィギュア。確かに何かコワい感じもする。しかしそのコワさは、君の心の闇なのだ。 |
| 今やハリウッド製SF映画は、アメリカ人以外の監督のセンスによって支えられている。リドリー・スコット、オーウェン兄弟、バーホーベンにヤン・デ・ボン。これらの監督は全て外国からの助っ人映画人だ。 それもそのはず、現在のハリウッド全盛期以前は、いろんな国の映画界がSF作品を作っていた。第二次大戦前のドイツなんか、「メトロポリス」というSF映画を国家が作って、国家財政が傾いた。豪気な話もあったもんだね。 さて、今見るなら何と言ってもイギリスSFがオシャレ。よく知られている「サンダーバード」もイギリスのSF作品だが、「謎の円盤UFO」「プリズナーNo.6」あたりがビンテージ感覚でお薦めだ。特に「UFO」は渋好みのイギリス人が大人にも楽しめるように作った作品だけあって、上品なセンスにあふれている。 全体の色調もいわゆるSFっぽいカラフルさはなく、近未来の設定も大人っぽいリアリティでまとめている。主人公・ストレイカー司令官の制服はゴルチェのデザインみたいだし、登場するメカニックも現用機っぽいのが魅力だ。 ストーリーも渋いぞ。秘密任務を妻に理解されず、離婚してしまう話もある。UFOの謎とは、とか言いながら謎は増える一方。まるで「ツインピークス」みたいだ。 レンタル屋の棚で見かけたらぜひ借りてみよう。たまには友達の知らないSF映画、なんてのもいいぞ。 |
現在は「情報化社会」、と言われている。つまり君が知っているようなことは他の誰もが知っている、という意味だ。こんな中で「君だけの作品」を見つけるコツを書いてみよう。 例えば映画を見る時、スタッフリストに注目してみよう。すると多くのハリウッド製SFX映画が、「パインウッド・スタジオ」という場所で撮影されている事に気がつくだろう。「スターウォーズ」や「2001年宇宙の旅」なんかも撮影されたこのパインウッドは、英国の名門スタジオだ。 ここで推理を働かせてみる。「ハリウッドのSFX映画が、実は英国で作られている」、つまり英国のSFXは質が高い、という意味だ。では近所のビデオレンタル店で英国製のソフトを探してみると、これがザクザク出てくる。 有名な「サンダーバード」もイギリスのテレビ番組だ。これは有名すぎるのでパス。同じ製作会社の他の作品を探してみる。1970年制作の「謎の円盤UFO」はどうか?この作品、渋好みのイギリス人が大人向けに作っただけあって、上品なセンスにあふれている。主人公・ストレイカー司令官の制服なんか、ゴルチェっぽい。ストーリーもUFOの謎とは、とか言いながら、どんどん謎は増える一方。まるで「ツインピークス」だ。 さすがにこの作品を知る人は少ない。同じ情報でも分析・推理することで、ちょっとしたレアものを見つける気分が味わえるぞ。これがオタク的視点なのだ。 |
ビンテージのジーンズやスニーカーと同じく、オタク界にもコレクターズアイテムがある。有名なブリキ玩具のゴジラ(ゼンマイ付き)20万円也あたりだと、箱入りで70万円以上にもなる。 「ウルトラQ」の怪獣「ナメゴン」ソフトビニール人形なら35万円。ただし、同じウルトラQの怪獣でも冷凍怪獣・ペギラだと5万円程度だ。古ければいい、人気怪獣なら良いというわけではない。 君たちの周りにも、将来このような高値をつけるアイテムはないか、探してみよう。 現在普通に出回っているアイテムの中で将来ビンテージになりそうなものを、自分で選定して集め、育てていく。これは「目を肥やす」、という行為に繋がるぞ。コレクターとして最大の財産とは、そうして養った「目利きの眼力」なのだ。 この「目利き」の感覚があれば、今まで鵜呑みにしていた雑誌のデータも新たな意味あいが生まれてくる。これは将来どのような評価を受けるのか、どの作品に影響を与えているのか。流行の追っかけではなく、単に自分の好き嫌いでもない。こういう「目利きな視点」こそ、オタクに不可欠な要素だ。 ちなみにオタクの先輩からのヒント。今買うなら、大人気の「スポーン」とかより「スタートレック」「スターウォーズ」系列が手堅い。大穴狙いなら「トランスフォーマー」あたりか。 箱もとっておくのは基本の基本だぞ。 |
| 「プロップ」という言葉をご存知だろうか?SF映画のレーザーガンのように、現実には存在しないもので、デザイナーが映画専用にデザインして作った一点モノの小道具のことを指す。 かつては、こういうプロップは門外不出だった。一般の人が見れるのは映画展といった特別のイベントの時だけ。僕もイベントで、スターウォーズのライトセーバーのプロップをガラスケースごしに覗き込んだのを憶えている。 しかし最近、映画用プロップも一般の人に売られるようになってきた。映画「007」で悪役が持っていた黄金銃が12万円だったり、スターウォーズのジェダイ騎士・ヨーダが7万8千円だったりする。 これらのプロップは、映画用に作られた原型からのレプリカ(複製)だ。これが実際の撮影に使用したものとなると、もうひとケタ高くなる。先日、サザビーのオークションで、サンダーバードのペネロープ人形が250万円で落札された。 プロップを見ること自体が夢だった時代に比べたら、いい時代になったと言えるだろう。しかし、死ぬ気になれば誰でも買える値段だからこそ悩んでしまう。「自分にとってペネロープって何だ?」「自分にとってサンダーバードとは?」悩み続けて「自分はこのままでいいのだろうか」「自分の生きる道とは?」とまで考えてしまうかも知れない。が、それでいいのだ。そうやって悩んでこそ立派なオタクになれるのだから。 |
ハリウッドは今、原作不足にあえいでいる。 かつては、社会派大ベストセラー小説を映画化する、といった定番があった。J・グリシャムの法廷ものなんかだ。が、最近はそういうものでは客が入らなくなってしまったのだ。 そこで新しい定番として登場したのが、コミックスの映画化だ。スーパーマンの大ヒットを皮切りに、バットマン、スパイダーマンと、アメコミのヒーローを次々と映画化。子供にも分かりやすいストーリー、破天荒な設定というハリウッドスタイルの映画作りに、コミックスはおあつらえ向きだったのだ。 現在ハリウッドのプロデューサー達が原作として一番注目しているのが、日本のマンガらしい。 ターミネーター・シリーズの監督ジェームズ・キャメロンは、日本のマンガ雑誌を発売と同時に航空便で送らせている。既にハリウッドの映画会社によって「鉄人28号」や「エイトマン」の原作権が買い付けられたという。CGIを駆使した「鉄人28号」が見れる日も近いだろう。 日本のマンガは質、量ともに海外と比べものにならない。数年後には、ハリウッドで昔なつかしいマンガがやたら作られる、なんていう時代がやってくるかも知れない。 SFX映えするマンガはどれか、ハリウッド映画に合う破天荒なマンガはどれか、あれこれ考えてみるのも楽しいぞ。 |
| 今日はオカルトの話をしよう。現代日本のオカルトは、大きく分けて以下の3種類に分類される。 (1)超能力とかギボアイコといった、心霊モノ。 (2)X-FILEとかUFOといった、境界科学モノ。 (3)「脳内革命」とか「相対論の嘘を暴く!」といった、疑似科学モノ。 この中でも(1)の心霊モノなんかは女の子相手に話すと結構喜ばれる話だ。「ムー」とか「ボーダーランド」なんていう定番のオカルト雑誌ぐらいは目を通しておこう。これぐらいは嗜んでも何の害にもならない。 (2)の境界科学モノになってくると、なかなか女の子には喜んで貰えない。 (3)の疑似科学にいたっては、女の子が逃げていくから絶対にお薦めできないゾ。この分野に興味を持ったおかげで、彼女いない歴32年、とかいう悲惨なケースをよく目撃する。オマケに友達にもヘンなヤツばっかり集まり出す。海外の文献をあさりだして金はかかるし、いいことなんて一つもない。 よく言われることだけど、酒やタバコも習慣性のある麻薬的物質だ。しかし「楽しむ」程度なら害にならない、ということで合法化されているに過ぎない。「心霊」や「UFO」は、酒、タバコなのだ。その奥にはカルトとか疑似科学といった「強い習慣性を持ち、生活を破壊する覚醒剤」があることを忘れないように。 |
| 今回でこの連載も終了する。短い間だったけど、オタクとしての心構えを少しは学んでもらえたと思う。TVだけでも100チャンネルの時代だ。インターネットのHPは毎月百万ページづつ増え続けている。レンタルビデオ屋の棚は、毎月の新作で溢れんばかりだ。 ぼんやりしていると君はたちまち、溢れる情報にうろたえ、何が面白いのか誰か教えて、といつもキョロキョロしている「情報中毒者」になってしまう。そうならない為には、自分の目と自分の心を持つしかない。 つまり、信頼のおける自分なりの情報収集のルートを確立することと、自分なりの価値観、自分にあった楽しみ方を確立することだ。 これからは、ますます情報中毒者が増えるだろう。巷には「最近、何かおもしろいものなぁい?」とぼんやりしている退屈な人間であふれかえっている。 君が、そういう人間にならないように襟を正し努力をしていれば、逆にそういう奴等に道を教えてやることができるようになる。 今一番求められているのは、「どこがおもしろいのか、なぜおもいしろいのか」を語れるヤツなのだ。君が他人に「わあ、おもしろそう、僕もやってみたい!」と思わせるようになったら、君も一人前のオタクだ。君の周りにはどんどん人が集まってくる。 私も修行中の身だ。次に君たちに会える時までにもっと面白い話ができるように修行に励もうと思う。では、健闘を祈る!さらば! |