『人生の取り扱い説明書』連載第一回〜第七回
ン1997-1998.Toshio OKADA
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01回目 人生の取り扱い説明書

 この連載は人生のトリセツ(取り扱い説明書)です。人生で、困ったり悩んだりした時、努力したのに上手くいかなかった時、どうしてもウマの合わない人がいて困っている時、こういった場合にお読み頂くものです。
 もちろんトリセツですので、人生をお買い上げに頂いた時、つまり自分の人生を主体的に決める、思春期から20歳までの段階で、まず一通り読むべきでしょう。しかし、SPA!の読者の皆様は、この時期を過ぎてしまった方がほとんどですね。つまりトリセツも読まずに、闇雲に人生を過ごされてきたノンキ者、というわけです。
 これでは、あなたの人生で、何かと上手くいかないことが続いても当たり前と言わざるを得ません。今からでも遅くはありません。今後の人生のために、毎回このトリセツを熟読されることをお薦めします。
 このトリセツでは、まず、あなたの欲求のタイプを判定することから初めます。というのも、人の不幸の多くは「こうなれば自分は幸せになれる」と考えている方向が、見事にトンチンカンだから発生するのです。
 後に詳しく説明しますが、人間の本質的な欲求は大きく4種類に分類できます。その4つの欲求には、個人毎に必ず偏りがあります。そこでその偏りに注目し、どの欲求を一番強く持っているかによって、人間を大きく4タイプに分類できるのです。その、4つのタイプとは、
 ・軍人
 ・王様
 ・職人
 ・学者
 の4タイプです。ではこれから、その4タイプを説明しましょう。
・軍人タイプ
 負けず嫌いで、常に勝ち負けや順位にこだわるタイプです。仕事も恋愛も家庭も、すべて他人と比較して、誰に対して勝ち、負けているか、客観的、社会的に見て自分はどれ位のレベルかをいつも計っています。当然レベルがあがることが喜びであり、下がることが悲しみや嫉妬になります。・王様タイプ
 とにかく、誰よりも注目されたい。ほめられたい。認められたい。かま
われたい。という欲求が強いタイプです。勝負で負けても、「惜しいね」と注目され、慰められさえすれば、あまり気にしません。逆に、無視されたり、ないがしろにされるのが、一番つらく感じるタイプです。
・職人タイプ
 自分の考えている通りに、ものごとをやり遂げることにこだわるタイプです。客観的な成功や完成ではなく、他人の目からはわからない確固たる基準や理想像が自分の中にあって、それに近づく事が喜びとなります。逆に、いくら努力しても近づけないことが悲しみや怒りになります。
・学者タイプ
 ものごとの仕組みや法則を、自分なりに理解・発見・推測することに喜びを感じるタイプです。たとえ勝負で負けても、なぜ負けたか分かれば納得し、他人から嫌われても、なぜ嫌われているか理解する方が大事な事です。逆に成功しても、その理由がわからないと落ちつかないのです。
 以上、4つのタイプ。あなたはどのタイプかわかりましたか?
 いえいえ、そんなに急いではいけません。私が知っている限り、こんな単純な説明で「わかった、自分は○○タイプだ!」とか言う人の場合、大抵は間違えています。人間、自分のことはそう冷静に見れないもんです。
 このトリセツの中でまず大切なのは、自分がどのタイプの人間かを正しく判断することです。ここで間違えると、まったく違う機種のトリセツを読んでしまうことになります。最初は自分の友人・知人を、4タイプにあてはめてみるところからお奨めします。そうすることでこの分類法に、だんだん頭が慣れてくるからです。僕が今までいろんな人達に説明した経験では、4タイプの相互関係、優位や劣位、といった話をして初めて、自分自身の正しいタイプが判断できるようです。
 「だぁかぁらぁ、オレいつも損するんだ!ふ〜ん、なるほどなぁ。岡田さん、これ使えますよ!」なんてことになるわけですね。
 しかもこれは、恋愛・家族・上司と部下の関係、といった人生の様々な局面で使うことが出来ます。この観察学を完成する以前、僕は今、エヴァンゲリオンで有名なアニメ会社・ガイナックスを経営していました。その時には、例えばアニメなら「企画力のあるプロデューサー、個性のある監督、絵の旨いスタッフ、やる気のある制作」といった漠然とした認識しかありませんでした。上手くいかない時も、制作の能力が低いからとか、みんなの志気が低いからとか、目の前の要素だけで考えていました。
 が、この分類法で見ると、それまで見えなかったものが見えてきます。
 プロジェクトが無理なく動き出し、他の人を巻き込んでどんどん大きくなり、結果的に大成功をおさめる。こういう時は、必ず4タイプの人が見事に配列され、それぞれがうまく実力と個性を発揮している時なのです。
 このように岡田式分類法は、実に汎用性が広く、実用性が高いものです。皆様の人生にお使いになることを、是非お薦めいたします。
 次回は、この4タイプを実際の有名人に当てはめて解説し、さらに具体的な判別法をご説明しましょう。ミュージシャンやニュースキャスターといった人々も、この4タイプの欲望に支配されているのです。


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02回目 各タイプはこんな人


 このコーナーは人生の「とりせつ」(取り扱い説明書)です。人生で悩んだりした時や、どうしてもウマの合わない人がいて困っている時、こういった場合にお読み頂くものです。
 既存のどんな宗教や心理学、精神医学よりも、現実のあなたの幸福にお役に立つように書かれております。是非、お役立て下さい。
 が、その前に念の為、下記の事項を予めチェックしましょう。
☆不幸だと思ったらまず最初に☆
1)12時間以上、何も食べていないということはありませんか?
 すぐ何か血糖値のあがるものを食べて下さい。極端に野菜不足の場合も、野菜を食べるなり、ビタミン剤を飲むなり対処して下さい。
2)36時間以上眠っていないということはありませんか?
 まず8時間以上眠って下さい。寝不足は極端なハイか無気力の元です。
3)気温が30度以上だったり、0度以下だったりしませんか?
 できるだけ冷暖房を活用し、気候に適した快適な服装を心掛けて下さい。
 名作マンガ『じゃりン子チエ』でも、お婆はんが「不幸は寒い、ひもじい、死にたい、の順番でやってくる」と教えてくれます。この連載は、心(ソフト面)の取り扱い説明書です。こういった体(ハード面)の調整に関してはフォローしておりません。
 が、これをお読みの大抵の方は、人生の不幸の原因を心(ソフト)にお持ちだと思います。どういうわけか、人間だけが生物として例外的に心(ソフト)が体(ハード)をリードする存在なのです。
 人間は、食べ物やセックスのためではなく、国の為や名誉のためという抽象的なものに命を懸けて戦ったりします。食べるものがたっぷりあるのに自殺したり、ダイエットしたりして体をこわしたりもします。自分の子供を殺したり、逆に自分の子供が大人になっても手放さなかったりします。生物として考えたら納得がいかないことだらけですね。
 これは、心(ソフト)が体(ハード)を支配しているからに他なりません。この「とりせつ」は、これら心(ソフト)を正しく取り扱うことに重点を置いて記述されています。
 では、本題。4つのタイプの説明に入ります。
 A.軍人
 B.王様
 C.職人
 D.学者
 ニュースキャスターや知識人を例に考えてみましょう。
A.軍人タイプは、猪瀬直樹。
 軍人タイプの人々は、序列や立場・勝敗をはっきりさせることを好みます。討論番組での猪瀬氏を見ていると、典型的な軍人タイプだ、と言うことがわかるでしょう。理屈はともかく「言い負けたくない」という彼の気持ちが、気迫となって迫ってくるようですね。
B.王様タイプは木村太郎。
 全ての人間は自分にひざまづいて当然。それが王様タイプです。木村氏も自分のことを「単なるニュースキャスター」とは思っていません。その為いきなり、「日本人はこうあるべきだ」などと大して深く考えたわけでもない意見を、堂々と発表したりします。
C.職人タイプは久米宏。
 司会を美しくテクニカルにこなすことに、職人的なこだわりと誇りを持っています。明瞭な発音、計算された服装、コンマ1秒までピシッと長さのあったコメント。すべて彼の美意識で統一されています。スタッフの不手際でビデオのテロップが出遅れたりした時は、こめかみに青筋が立つほど怒ります。怖いですね。
D.学者タイプは、筑紫哲也。
 冷静な分析と批判が中心のコメントは、明らかに知ったかぶり野郎の学者タイプです。自分の意見を押しつけたりしませんし、言い争って勝とうとしたりもしません。世の中の事件について自分のように判っていることが何よりも大切で、立派なことだと信じて疑いません。
 この4タイプ、野球選手で例えると以下のようになります。
A.軍人タイプは、落合。
 野球だけでなく、経済的にも他人より勝っていないと気がすまない落合は軍人タイプ。王様タイプの奥様とのコンビは、まさに最強です。
B.王様タイプは、長嶋。
 勝つことより、試合で目立つことを選びます。「セコいヒットより、カッコいい三振がいい」と現役時代にも言ってました。目立ちたがりですね。
C.職人タイプは王。
 孤立を恐れず、執念でオリジナルの打法を編み出す。練習量もハンパではありません。このこだわり、職人タイプ特有の習性ですね。
D.学者タイプは広岡。
 管理野球と言われる広岡哲学。管理は、各選手の食事カロリー計算にまで及びます。彼にとって野球とは「観察→理論化→実験」なのでしょう。

 いかがでしょうか?まだ自分のタイプを性急に特定できなくても大丈夫。家族・知人を、このタイプかなぁ、とか考えられるようになったら合格です。

 

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03回目 各タイプ,ミュージシャンで見てみると


あなたの人生をより幸せにするコーナー、「人生のとりせつ」も、早や3回目。前回に引き続き、欲求による4つのタイプをより詳しく、具体的に説明してみましょう。
 まず問題です。次の4人のミュージシャンは、それぞれどのタイプにあてはまるでしょうか?線でつないでください。
A.軍人タイプ(負けず嫌い)       ・小室哲哉
B.王様タイプ(目立ちたがり)      ・小林幸子
C.職人タイプ(のめりこみ)       ・松任谷由美
D.学者タイプ(知ったかぶり)      ・中島みゆき
 かけましたか?ミュージシャンはアーティストだから職人タイプ、などと単純に考えたりすると大間違いです。
 ではヒントです。まず、それぞれの人が、夜仕事が終わってから、やってそうなことを想像してみましょう。
・小林幸子・・弟子やスタッフを引き連れて、飲み会。苦労話や人生訓で御満悦。
・小室哲哉・・一人きりでキーボードやコンピュータいじり。
・松任谷由美・・ヒットチャートのチェックや、ブレーンスタッフとのミーティング。
・中島みゆき・・夜中まで作詞・作曲。髪振り乱してピアノ演奏。
 もちろん、これは勝手な想像です。別に、中島みゆきが飲み会で盛り上がったり、小林幸子が夜中まで歌の練習をしていたりするなんてありえない、という意味ではありません。でも、そんなことやっても、なんとなく似合わない気がします。
 というところで、答え合わせ。
A.軍人タイプは松任谷由美。
 ユーミンは、アルバムの売上げやヒットチャートの推移といった具体的な数字を、いつも曲作りの目安にしています。この徹底したマーケティング主導の曲作りは、雑誌のインタビューでも何度も紹介されているので、有名ですね。マーケティング主導と言うことは、自分らしい曲より売れる曲、求められている曲にこだわる、ということです。
 軍人タイプの歌手は、歌手業だけでなく、金儲けの副業をすることもよくあります。いくら有名になっても、経済的な勝負で他人に負けたら、あまり幸福を感じられないからでしょう。不動産で大金持ちになったり、転落したりで有名な千昌夫などがよい例ですね。
B.王様タイプは小林幸子。
 ユーミンと反対に、とにかく自分が目立ちたいのが王様タイプです。年末の紅白歌合戦で小林幸子がどんなに派手な衣装を着ても、目立つだけで、歌の売上げにはほとんど関係していません。が、小林幸子にとっては、売上げなどという些末な問題より、毎年、紅白で自分が期待され、注目されていることが重要なのです。その為、衣装は毎年、度を超して派手になっていきます。もちろん、彼女がどんな歌を歌うかなんて、見ている方も歌っている方も、誰も気にしていません。
 王様タイプはこの他、北島三郎など演歌歌手に多いタイプです。副業も不動産など堅い仕事ではなく、ビートたけしのカレー会社など浮ついた企画ばかりです。これらのお店は、注目はされますが、さほど儲かったという話は聞きません。王様タイプの人間には、それで充分だからですね。
C.職人タイプは、中島みゆき。
 彼女にとっては、歌の出来、レコーディングの出来のみが、自分にとって意味のあることです。どんな気持ち、どんなセンスを、どんな風に歌にできたか、どんな風に作曲し、どんな風に歌えたか。常に、理想の歌を追い求めています。会心の歌がヒットするのは嬉しいのですが、不本意な曲が予想以上にヒットなんかしてしまうと、かえって悲しかったりします。
 中島みゆきのように、のめりこみの方向が仕事と一致していると、社会生活も滞り無くすすみますが、それが片想いや不倫だったりすると、まわりは振り回されることになります。リストカットの中森明菜や、キャットウーマンの役欲しさにストーカーになったショーン・ヤングなど、コワれ系の女優さんもこのタイプですね。
D.学者タイプは小室哲哉
 小室哲哉にとってヒット曲を作ることとは、世界を舞台にした壮大な実験にしか過ぎません。世の中の仕組みや人間心理がこうなっているのだから、こうやればヒットするはずだと仮説を組み立てて、その実験として売り出しをかけているわけです。
 ですから、予想通りのヒットが快感になります。予想以下はもちろん、予想以上のヒットも彼にとっては不本意なのです。彼にとっては、自分がスポットライトを浴びて歌ったり、自分らしく歌えたりすることよりも、いろんなタイプの素材を組み合わせて、どれ位売れるか、どうしたら売れるか調べる方がずっと楽しい作業なのです。
 そろそろ、みなさんの心の中に、それぞれのタイプにあてはまる身近な人の顔が浮かんできましたか?
 では次回は、欲求が単純で分かりやすい、子供の遊び方を中心に、4つのタイプのお話しをしましょう。みなさんが子供の頃、何に夢中になったか、どんなタイプの子供だったか、思い出しておいて下さいね。

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04回目 子供の時からわかる各タイプ


 人生をより効率よく運営する為のコーナー「人生のとりせつ」も4回目。今回は幼児期の言動を基準に、4つの欲求による分類をご説明します。
 幼児(3歳〜6歳位)の遊び方、喜び方、ワガママの出し方などを観察すると、大人よりはるかに単純かつストレートです。幼児達の言動を5分も見れば、誰がどのタイプにあてはまるか、おおまか判断できるでしょう。
 まず、簡単な見分け方として、とにかく大人にまとわりつき、お友達と遊ぶ子と、隅っこで一人遊びをする子がいます。いつも友達と遊んでいるような子は、王様タイプや軍人タイプ。隅っこで一人遊びをしている子は、職人タイプや学者タイプ。おおまかにこう考えて差し支えありません。
 その中でも、幼稚園の先生にやたら話しかけて自分のことをおしゃべりしたり、みんなの前でおどけて見せたりするのは、王様タイプです。転んだりすると、たいして痛くなくても大泣きして注意をひき、だっこしてもらうまで気がすまない、とにかくかまってほしい甘えたさんです。甘えの手法はそれぞれですが、子供という立場をうまく利用した甘え上手、大人に受けがいいタイプです。反面、自分がまわりから余り歓迎されていない雰囲気を察すると、一転して萎縮して一人で隅っこで緊張します。常に、他人の目に自分がどう映るかに一番こだわるタイプです。
 こういう子供が大人になるわけです。当然、自分が何かをした時のまわりの反応、ほめたか、不快げだったか、無視されたか、といったデータを敏感に察知し、蓄積します。本人の努力は、他人がほめてくれそうなこと、注目してくれそうなことに向かいます。そういう王様タイプにとって大人になるということは、自分を嫌う人も受け入れる、ということでしょうか。
 これに比べて、負けず嫌いのがんばり屋さんが軍人タイプ。転んでも自分のせいだと痛くても泣かないのに、人に押されて転んだりすると大して痛くなくても大泣きします。お友達と遊んでいても、自分の言い出したことにこだわり、なかなか譲れない。「ごめんね」ができないわがままさんです。その分、負けた悔しさをバネに、一人でこっそり練習し、いつの間にかコマ廻しがうまくなっていたり、鉄棒や水泳ができるようになったりもします。「コマ廻しは、○○君が一番」といったことに敏感で、強い者、上手な者に従います。当然、自分より下手なヤツがいばるのは許せません。自分が集団でどれくらいの位置にあるか、常に気にするタイプです。
 こういう子供が大人になると、序列や権威を重んじる大人になります。結婚式の席順に一番こだわるのもこのタイプです。軍人タイプの不安とは、負けることではありません。自分が誰より上か、序列がはっきりしない状態です。そういう場合は、それとなくさぐりをいれて、上か下か判断します。主婦どうしでも、だんなの会社・役職、家や車、子供の学校、服のブランドまで、無意識にどっちが上かを判定しています。これも優位・劣位をはっきりさせる為の作業です。この軍人タイプにとって、大人になるというのは、負けを認め、序列を受け入れるようになるという事になります。
 王様タイプ、軍人タイプに比べると、一人遊びが多いのは、職人タイプ。誰と遊ぶかより、何をして遊ぶかの方が優先しているタイプです。おもしろそうな遊びを見つけるとそのグループに飛び込み、気がすむとまた一人で遊びだします。一人きりで気がすむまで続けられるお絵かき、ブロック等の遊びが大好きです。またこのタイプの子供は、好きなものがはっきりしていて、他人には理解できないものにものすごくこだわったりします。ボロボロの熊のヌイグルミをいつまでも持っているタイプなのです。
 こういう子供が大きくなると、濃い趣味を持つ人になります。主婦でも、インテリアや手芸にこだわります。仕事でも、出世や成功より、「やり方」や「こうあるべき」にこだわります。いわゆるがんこな職人気質や、お金や名誉にこだわらないアーティスト気質等も、このタイプです。職人タイプが大人になる、というのは、自分のやり方が通せない場面でも、その場を収め、折れる事が出来るようになると言うことですね。
 職人タイプに一見似ているのが、学者タイプ。まだまだ論理的思考は未発達で、言葉も拙い幼児時代に、学者タイプを見分けるのはちょっと難しい。あえて言えば「言葉に敏感かどうか」がポイントです。学者タイプの子供は、ものの名前を憶えることこそ、すなわちそのものを本当に把握・理解することだと直感しています。言葉になった約束などにもこだわります。
 こういった子供が大人になると、仕事は社会勉強、人づき合いは人間勉強といった考え方をする人が多いようです。相手の考えや価値観を理解できることが何よりも大切と感じます。人に対してだけでなく、組織やシステムなど、何につけても、なぜそうなるのかを考え、自分なりに結論づけないと気が済みません。というのも理解できない事柄があると、不安で仕方がないからです。その為に常に「なぜか」を考え、仮説を立て、実際に試してみて、仮説を補強するといったやり方をします。仕事や子育てに関しても「こうしたらうまくいくはずなんだが、はたしてどうだろうか」という実験感覚で取り組みます。学者タイプが大人になるというのは、自分の仮説が間違っていたとき、素直に訂正できるようになるということです。
 以上が、幼児における岡田式性格分類法です。あなたの子供時代はいかがでしたか?
 では、次回は人生の不幸の本質、欲求の方向を取り違えてしまった不幸に関してお話ししましょう。では、また。

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05回目 タイプ別悩みの持ち方


 4つのタイプは、あなたの心にある「根元的な欲求」の偏りによる分類です。この4つの欲求と、個人が持っている才能に関しては、何の関係もありません。芸術家タイプだから絵が上手いとか、学者タイプだから学校の成績がいいといった法則も、一切ないのです。
 ですから、自分は○○の才能があるから、○○になるといった単純な考えはマチガイです。才能ではなく、自分の欲求が満足する職業を選ぶべきです。もし偶然、自分の能力と欲求を一致させることができれば、その人は幸せですね。自分の才能が発揮できる職業を選び、それが欲求の満足にもつながるのですから。が、なかなかそうは問屋が卸さないのが現実です。
 例えば、軍人タイプで絵が上手い人は、絵描きになって、出世階段を駈け登れれば一番いい。批評家からより高い評価を得、号いくらという値段が、ライバルより早く上がることを励みにすればいいわけです。
 ところが、芸術界で出世をめざすなんて、タブーです。批評家は「絵には魂の叫びが必要だ」などと抜かしたりします。もちろん、あなたの卓越した技術で「魂の叫びっぽい絵」を描けば問題は何もありません。しかし、イジワルな批評家の目がごまかせそうにないなら、もっと稼げる別の業界に転職を考えましょう。イラストやマンガ業界など、絵の才能を生かせるジャンルは他にいっぱいあります。「自分は『芸術家』なんだから、もっと魂の叫びがなければ」とか、ありもしない欲求を自分の心の中に探しても無駄なことです。いたずらに自分を不幸にするだけです。座禅を組んで人間を磨こうとしたり、自分の中身を作ろうとしても仕方ありません。
 軍人タイプのあなた、あなたの心の大部分は、いつも外を向いてきました。というのも、あなたの幸せが外側にあることを知っていたからです。
 それなのに、いきなり内側を見てもからっぽなのは当たり前ですね。オレは出世しか考えられないダメな奴だ、などと悩む必要もありません。職人タイプというのは、自分の好みしか考えられないエゴイスト野郎なのですから、おあいこなんですよ。
 反対に、職人タイプで話術が巧みな人は、営業マンになることも悪いことではありません。自分の巧みな話術で、きちんと納得して貰ってから契約を取ってくるのがあなたのやり方だとすれば、それを貫くのはあなたの喜びになるでしょう。ところが、会社側があなたにノルマを課して、とにかくどんなやり方でもいいから、1件でも多くの契約を取ってこい、と言いだしたら、あなたは不幸にならざるを得ません。
 自分のやり方はだめなんだろうか、と悩んでも仕方ありません。それは、あなたのやり方がダメなのではなく、会社があなたに要求する欲求と、あなたの持っている欲求が食い違っているだけなのです。それを、どうせオレはだめな人間だとか、もっと向上心を持たねばとか考えて、わざわざ不幸になっても仕方ありません。第一、あなたが断腸の思いであなたのやり方をまげ、たとえ取扱高が会社でトップになったとしても、喜ぶのは会社だけ。肝心のあなた自身はちっとも嬉しくない筈です。それを心の底で知っているからこそ、あなたはそんなに契約件数にこだわれないのです。
 学者タイプの人が管理職になり、いきなり部下達に「好かれる上司、良い上司」になろうとするのもムチャです。学者タイプの欲求を生かして、どの仕事をどの順番で誰にさせるか、といった方面での管理能力を発揮できれば問題ありません。が、学者タイプのあなたがしたくもないのに、部下を飲みに誘ったり、人生相談に乗ったりしても無駄でしょう。人気はあがらず、懐は寂しくなり、帰る時間は遅くなる。しかも、自分はこんなに努力しているのに、部下の信頼をあまり得られない、と不幸な気分で一杯になること請け合いです。
 王様タイプの人が、大学教授をめざす時も、注意が必要です。まだ助教授だというのに、テレビになんか出演すると、それだけで睨まれます。学者というのは、本来、そういうすぐ目立つような派手なことを好むべきではないというわけです。そこで、派手な行為を慎んで、学問に没頭しようとしても、不幸になるだけです。それよりも、流行っている学派に鞍替えしたり、ハッタリの効いた論文を書いたり、学会での発表の仕方をいかに派手にするかを考えた方が、よほど励みになるのが王様タイプです。
 いかがでしょうか?このように、不幸とは「自分はこんな人間であらねば」と努力する方向が間違っている為、努力しても努力しても幸せになれないところからやってきます。どんなに努力して成果が上がっても、あなたは嬉しくないので、こんな無駄なことはありません。
 ちゃんと自分の欲求の方向がわかっていれば、その方向に努力を集中することが可能です。そういう「欲求とシンクロした努力」は、ちょっとがんばれば、すぐに喜びが発生して、それを原動力に又がんばりたくなる。そういう「正のフィードバック」が発生するのです。
 ところが、方向の間違った努力の場合は、やってもやっても嬉しくないので、努力を続ける事自体がとても難しい。それでも心の表面では、がんばらねばと思っているため、自分はがんばれないダメなヤツという、余計な自己嫌悪までしょい込むことになってしまいます。
 こんな不幸のルーチン、「負のフィードバック」は、さっさと断ち切ってしまうことが大切です。その為には、今のあなたのタイプを正確に判断し、その欲求を肯定し、生きるエネルギーにすることです。そうして初めて、あなたは自分で納得できる人生を歩むことが出来るでしょう。

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06回目 対角線はわからない


皆様の人生をより効率よく幸せに導くためのマニュアル「人生のとりせつ」も6回目を迎えました。今回はいよいよ、この4つのパターンに関する、ある特殊な法則についてご説明いたします。
 この法則は、大変重要なものです。この法則によって皆様は、より自分自身や、他人との相性について理解できるようになります。
 その理解は、他人との摩擦や自分自身のストレスを減らしたり、無用な気遣いを減らしたり、という効果があるはずです。あるいは、思い通りに他人を動かしたり、自分の性分を生かした人生の取り組み方を見いだしたりといったことが、やりやすくなったりもします。
 まずは、図をご覧下さい。
 まず、対角線上に位置するもの同士。これは、お互いにまったく共感できない欲求の持ち主同士です。
 例えば、軍人タイプと職人タイプ。軍人タイプの人は、職人タイプの持っている欲求、ものごとに対するこだわりといったものを、ほとんど持っていません。ですから、職人タイプの美意識やこだわりがまったく理解できません。単純に、がんこ、わがまま、神経質という風に映ってしまいます。
 逆に、職人タイプの人は、軍人タイプの人が多く持っている、向上心や秩序を維持しようとする欲求をほとんど持っていません。ですから、軍人タイプの人の、分をわきまえ、しかも上を目指して努力するという態度がまったく理解できません。単純に、自分の美意識がなく、上にへつらい、下に厳しいように映ります。
 王様タイプと学者タイプも対角線上に位置しています。王様タイプの人にとっては、学者タイプの人の、ものごとを理解しようとする欲求がまったく理解できません。ですから、学者タイプの、観察して理論化し、より正確に理解しようとする態度を見ても、単純に、屁理屈をこねているだけの、覇気がないヤツに映ってしまいます。
 逆に、学者タイプにとって、王様タイプの他人に注目されて、好かれたり、ほめられたり、頼られたりしたいという欲求は、ほとんど理解できません。その為、王様タイプの、他人に気を使い、めんどうをみたり、皆が楽しめるように気を配ったりといった態度を見ても、単純に、おせっかいの目立ちたがりに映ってしまいます。
 対角線上の欲求に比べると、隣り合う場所に位置する欲求に関しては、それぞれ、少ないながらも持ち合わせています。
 例えば、王様タイプの人は、職人タイプと軍人タイプの欲求を、それなりに合わせ持っています。もちろん、王様タイプの欲求が一番大きいのですが、学者タイプの欲求のようにまったく理解できないということはありません。同様に、軍人タイプの人は、王様と学者の欲求を、学者タイプの人は軍人と職人の欲求を、職人タイプの人は学者と王様の欲求を、少しづつ持っています。
 この法則を利用して、あなた自身のタイプを判断しましょう。
 まず4つのタイプの中から、子供の頃からあなたが理解できた欲求を除外してください。そして幼い頃のあなたにとって理解がむずかしい、あまり実感がわかなかった欲求を見つけます。この、理解しがたい欲求、その対角線上にあるタイプが、現在のあなたのタイプとなっている筈です。
 例えば、運動会のかけっこで一等だったり、習字で金賞をとった時、幼い頃のあなたがあまり嬉しくなかったとします。(親にほめられて嬉しい、とかは別ですが)そんな場合、軍人タイプの欲求が非常に少ない、と考えられますね。つまり、あなたは職人タイプの可能性、大ということです。
 図画の時間、自分でも思ったように絵が描けた。作文で思わず没頭して遠足の思い出を書いた。そんな経験がない、または経験はあるけどあまり嬉しくなかったあなた。あなたは職人タイプの欲求が非常に少ないでしょう。つまり、あなたは軍人タイプの可能性が大、ということです。
 あなたのお誕生日パーティ。大勢の友達がお祝いに集まってくれた。もちろん、ごちそうやプレゼントといった嬉しさは別として、その場の中心であるということ自体はあまり嬉しくなかった場合、あなたは王様タイプの欲求が非常に少ない、つまり、あなたは学者タイプの可能性が大です。
 子供の頃のあなたが、家の近所で新しい近道を発見した時。他人にそのことを教えて自慢したり、近道に利用してかけっこに勝ったりしたことは嬉しいけど、発見したこと自体は別に嬉しくない場合。そんなあなたは学者の欲求が非常に少ないと考えられます。つまり、あなたは王様タイプの可能性、大です。
 いかがでしょうか?自分のタイプが見当つきましたか?
 自分のタイプを判断するとき、単純に「自分はこの欲求が強いから」だけで決定すると、どうしても間違える人が多い。数多い欲求の中から、どれが本物かを見抜くのは難しいからです。でも、自分の中に全然ない欲求なら見つけやすいですね。
 また、自分のタイプを判断する場合、どうしても「自分はこうありたい」という願望や、逆に「どうせ自分はこんなヤツさ」という悲観が混ざってしまいます。この願望や悲観のため、なかなか自分自身を冷静に判断できないものです。まずはこの「対角線法」を試してみましょう。
 次回はいよいよ話の核心、それぞれのタイプの「心理的優位・劣位」についてお話ししましょう。ではまた来週。

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07回目 各タイプの優位・劣位


皆様の人生をより効率よく幸せにするための「人生のとりせつ」も第7回目。今回は、各タイプごとの「優位・劣位」に関してお話しします。
 前回、対角線上に位置するタイプ同士は、お互いに相手の欲求をほとんど持っていないと説明しました。つまり、王様タイプと学者タイプ、軍人タイプと職人タイプは、お互いに、最も理解しにくい者同士なのです。逆に、かなり正確にお互いの本音を推測しあえるのは、当然同じタイプ同士です。但し、同じタイプ同士だから気が合う、と言うわけではありません。むしろ、お互いの欲求が同じ方向に向かっている為に、利益が対立してしまうことの方が多いようです。
 むしろ気が合うのは、隣り合うタイプ同士です。しかも、おもしろいことに、隣あうタイプ同士ではある法則に沿って、自然と「優位・劣位」という関係が発生します。
 「優位、劣位」とは、なんでしょうか。
 ある人に対してなぜか、あこがれを感じたり、近寄りがたい印象を持ったり、その人の言うことについ従ってしまったりする先入観、いわば心理的な位置エネルギーの低さを、「相手が自分より優位である」と表現します。同様に、相手を軽んじたり、組し易いと感じたり、かわいく感じたりする心理的位置を、相手が自分より劣位であると表現します。
 この連載での4タイプの場合、職人タイプより王様タイプが優位、王様タイプより軍人タイプが優位、軍人タイプより学者タイプが優位、学者タイプより職人タイプが優位、と右回りに配置されます。お互いがそれぞれ優位にも劣位にもなるジャンケンのような構造なのです。
 もう少し詳しく見てみましょう。
 成功している王様タイプは、職人タイプにとってあこがれの対象です。自分の感性を貫きながらもみんなに認められているように感じられるからです。逆に、王様タイプにとってこだわりの職人タイプは、せっかく、みんなに認められるチャンスがあっても、個人的なこだわりで不意にしてしまう、しょうがないヤツに映ります。
 成功している軍人タイプは、王様タイプにとってあこがれの対象です。みんなからの認められ方が、地位や順位、資産といった形ある確かなものなので、安定した本当の賞賛を受けているように感じられるようです。逆に、軍人タイプにとって王様タイプは、お世辞に弱く、頼られるとつい安請け合いばかりする、しょうがないヤツに見えます。
 成功している学者タイプは、軍人タイプにとってあこがれの対象です。築いている地位や権力が、運や生まれではなく、確かな哲学や社会観察の結果の安定したものに感じられるからです。逆に、学者タイプにとって軍人タイプは、目先の損得、勝ち負けに惑わされて、真実を見失うしょうがないヤツに見えます。
 成功している職人タイプは、学者タイプにとって、あこがれの対象です。感性による成功を、より深い洞察力や広い視野によるものだと感じられるからです。逆に、職人タイプにとって学者タイプは、自分の心で感じずに、理屈でばかり考えるしょうがないヤツに映ります。
 ここでもう一つの法則。どのタイプも、調子が良く、気力が充実している時は、憧れの右回りの欲求を満たそうとし、調子が悪く、元気のない時は、左まわりの欲求でがまんしようとします。
 具体的な例で説明しましょう。
 例えば、徹底したマーケティングでヒットを飛ばし続ける軍人タイプのユーミン。彼女が絶好調の時は、「私の成功は、独自で開発したマーケティング理論によるものだ」という風に考えているでしょう。又、スランプで落ち込んでいる時は、「みんなが喜んでくれてればまぁいいか」と考えてしまいます。
 プロデュース活動自体が、この社会を使った巨大な実験と考えている学者タイプの小室哲哉。彼が調子のいい時は、「自分のセンスを分解し、再構築することこそ、本当のクリエイティブだ」なんて考えているかも知れません。が、スランプの時は「まぁ、今度の曲は10位以内に入ればいいよ」と消極的に考えているかもしれません。
 でも、いくら元気がいいからと言って、右回りの欲求を満足させる為にことを始めると、結局うまくいかない事が多いようです。
 例えば、王様タイプのビートたけし。軍人タイプの実業家をめざして、カレー屋を開業したものの、もうからず失敗。宣伝には余念がないのですが、肝心の損得勘定はおざなりになってしまうからのようです。芸能人が始めたお店は、このパターンで失敗する場合が多いようです。交通事故にあって元気が無くなってしまった彼が、「映画監督」という職人的位置を逃げ場所に選んだのも、そう考えれば納得がいきますね。
 また成功した企業の社長さんが本を出版するのも、同じです。軍人タイプの社長さんは、功なり名を遂げた後、「人を使う法」とか「ヒット商品の作り方」とかいった自分の道程を一般化・理論化し、ビジネス書として出版したがるもんです。が、いずれも理論としては脆く、ただの自慢話に終わってしまうことが多いですね。しかも、こだわりの職人タイプとは対極に位置する軍人タイプの書く文章は工夫もなく、読みにくいものになりがちです。
 学者タイプの理屈っぽい人が、いきなり宗教などという、こだわりと信念のかたまりのような世界に入ってしまったりすることも案外多いようです。話題のカルト宗教やオカルトにハマってしまうのは、きまって学者や知識人たちなのです。学者から見て優位にある職人に対する憧れ、ですね。大学教授の奥さんといえばピアニスト、というお約束はこのリクツで説明できてしまいます。
 いかがでしょうか。あなたが今、自分の中で一番強いと感じている欲求は、必ずしもあなたのタイプと一致しない場合があります。絶好調のあなたは、右まわりの欲求を自分の「本当の欲求」と思いがちですし、スランプで鬱状態のあなたは、左回りの欲求に目を奪われてしまうのです。
 が、いずれの欲求も、決してあなたの心の中心を埋めることは出来ません。あなたの心の大部分を支配する欲求は、前回までで説明した通り、あなたがほとんど共感できないタイプと対角の位置にあるはずです。自分の欲求を素直に認め、その欲求が満足されるように行動することこそ、あなたの本当の幸せに繋がることを、まず認識して下さい。
 もちろん、絶好調のあなたが、余った気力で右廻りの欲求を満足させようとチャレンジすることは良いことです。スランプの時は、左の欲求で心を休めることも大切でしょう。が、そういう状態では、けっしてあなたの本来の状態ではないので、長持ちしません。チャレンジの場合は、短期決戦をお薦めします。
 次回は、あなたのタイプを判別するYES、NOテストです。


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