『人生の取り扱い説明書』連載第十三回
ン1997-1998.Toshio OKADA
目次へ連載一覧に戻る


13回目 リーダー論

 今回は、一つのプロジェクトにおける4つのタイプの役割に関してお話ししたいと思います。
 プロジェクトというと、何か難しい響きがありますが、要するに、みんなでしたいことや、目的がはっきりしていればいいわけです。目的は別に仕事でなくても、社内の新人歓迎会でも、ハイキングでもかまいません。単なる飲み会とは違い、意見調整や仕切り、段取りなど、いろいろな作業が必要になりますよね。そういった場面では、4つのタイプそれぞれの人が、自分の特性をうまく発揮している状態であることが、プロジェクトをうまく進めるポイントとなります。
 これは思想家の浅羽通明氏から聞いた話ですが、アフリカのある部族では、昔からライオン狩りに行く時に、4人でチームを組んで行くと教えて貰いました。4人の選別法は、
1)リーダーシップをとるもの
2)知恵のある者
3)槍の上手い者
4)和を乱す者
 リーダーはこの場合、軍人タイプ、知恵ある者は学者、槍の上手い者は職人です。和を乱す者、というのは王様タイプ。とにかく目的一直線で、一刻も早くライオンを狩って帰ろうとするリーダーに対して、「疲れたから休もう」と言ったり、もう少しの所でライオンを取り逃がしてがっかりしているみんなを気分転換させる、といった役割をするようです。
 興味深いのは、この4つのタイプが全部揃って初めて、ライオン狩りというプロジェクトが成功する、と考えられていることです。
 軍人がリーダーといっても、どんな場合も軍人がリーダーがいいわけではありません。ライオン狩りという生死に関わる短期決戦のプロジェクトは、最も現実的な軍人タイプでないとリーダーがつとまらないのです。
 僕自身の経験を話しましょう。学生時代にSF大会というアマチュアのイベントを運営しました。その時は、リーダーはT氏と僕、という二人とも王様タイプ。僕たちの下に軍人タイプを中心とする実行部隊、職人タイプを中心とする制作部隊、学者を中心とする管理部隊がいました。
 全員アマチュア学生のボランティアだったので、統制とか管理以前に、運営の鍵は、いかにみんなが手伝う気になってくれるか、という点にかかっていました。試験、クラブ、バイト、単位と、途中で抜ける理由はそれぞれの人に山ほどあります。
 SF大会を手伝うことが楽しい。大きなイベントになりそうだから、手伝って損はない。今までのやり方は間違っている、僕たちで新しいSF大会を見せてやろう。こういった、各タイプ別の魅力がオーラのように常に出ていないと、みんなはすぐ離れていってしまいます。
 このような長期に渡る大プロジェクトでは、「魅力」発生機能の高い王様タイプがリーダーの方が、志気は高まり、仕事が上手く進みます。どのタイプの人がリーダーになるべきかは、そのプロジェクトの特性や目的によって、変化しますし、逆にリーダーがどのタイプかで、グループの色味も変わってきます。
 例えば、アスキーの西社長。武勇伝や伝説の多い彼は王様タイプのリーダー。彼の存在が、アスキーという学生会社を、ベンチャービジネスの最先端、というイメージに仕立てました。APPLEのスティーブ・ジョブズもそうですね。
 逆にマイクロソフトのビル・ゲイツ。ウィンドウズも発売当初は、MACのパクリとか言われて、カリスマ性は低かったのですが、圧倒的な成功で、地位を不動にしました。王様タイプのリーダーが「カッコイイ」なら軍人タイプのリーダーは「凄い」とか「強い」ですね。ビル・ゲイツが率いるマイクロソフトは、不敗の会社というイメージを強調しています。
 学者タイプのリーダーで、名前を馳せている人は少ないです。王様タイプと対極にあたりますので、目立つ、前に出るといったことに喜びを感じないタイプですから、当然でしょう。しかし例えば、トヨタの徹底的に無駄をなくし、効率化した自動車量産システムや、コンビニの在庫数を完全管理するPOSシステムなどを作れるのは学者タイプです。「効率化」にかける情熱を持つ学者タイプが、こういったプロジェクトの中心にいるのはよくある話ですが、人前に出ることを嫌う学者タイプリーダーの名前が出ることは滅多にありません。こういったグループは、地味ですが、変化に強く、安定した粘り強さがあります。
 ホンダの創業社長は職人タイプでした。アニメ会社ジブリのリーダー宮崎駿も職人タイプ。いずれも、リーダーの高い能力によってまとめられている圧倒的なワンマン体制のグループになります。
 リーダーが好調の間は、常に高レベルのものを作り続けることができます。が、ワンマン体制で次世代が育たない為に、リーダーが引退すると、グループ全体が方向を見失ってしまいがちです。職人タイプにありがちな間違い、「自分の才能は特殊なものではない。努力すれば誰でも可能だ」を信条にするため、なかなか後継者が育たないのも問題点ですね。
 どのタイプがリーダーの場合も、共同で作業をする場合、4タイプが中心にそろっている方が、スムーズであることは言うまでもありません。
 では、次週は好評のチャート式タイプ判断・パート2です。



次項へ目次に戻る連載一覧に戻るインデックスページに戻る