|
今回は、Aさんから聞いた相談を元に、王様タイプの上司に対する対処法を考えてみましょう。
Aさん(32)は都内の建築デザイン会社に勤めるサラリーマン。貸しビル内での店舗設計が中心で、大手ブランド店からの発注もたくさんあり、会社の規模は小さくても、業界では名前が知られているそうです。
Aさんも27才までいた建築会社から、あこがれて移籍してきた一人です。前の会社は建て売り住宅中心で、設計も建材からデザインまで制限が多く、とにかく早く数をこなすことを要求され、欲求不満だったそうです。
「このままでは便利屋のまま、終わってしまう。この会社なら、自分の能力を充分に発揮できるし、独立も夢ではない。」そんな思いが、転職のキッカケでした。
しかし現在の上司とのソリが合わず,Aさんは悩んでいます。
「とにかく上司のやり方がむちゃくちゃなんです。いつもスケジュールがギリギリで、徹夜で仕上げることを強制される。お得意さんから頼まれたのだから、とにかく間に合わせろと言われるので、斬新な試みどころか、考える時間すら取れない状況なんです。残業手当?出ませんよ(笑) しかもですね、これって急に来た仕事じゃないんです。ずいぶん前に勝手に上司が受けた仕事を、これは自分がやるからと抱えていたくせに、どうにも出来なくなってからこちらに回してくる。
一度や二度のことじゃないです。月に一回はありますよ。管理能力はゼロとしか言いようがありませんね。このままずっと、上司の尻拭いばかりやらされて、自分の能力をアピールするチャンスは廻ってこないのではないかと、暗澹たる気分になってしまいます。しかもこの上司、社内では結構ウケがいいんです。 なぜなんでしょうか?」
あなたは、会社内で、自分の能力を正当に認めてもらうことに一番喜びを見い出すタイプですね。もちろん、独立して事務所を持つというのは、もっと広い社会であなたの力を認めさせるということです。つまり、あなたは軍人タイプ。それも、自分の能力に自信を持っていて、正々堂々と勝負したいと考える、プラス思考の軍人タイプと言えます。、
あなたの上司は、頼まれるとイヤと言えないタイプ。それが親しいお得意さんだったりすると、なおさら拍車がかかってしまうのでしょう。これは王様タイプ独特のもの。王様タイプのこういう太っ腹な部分は、良いパターンで出ると頼りがいのある親分に写り、悪く出ると愛想だけいい安請け合いなヤツと思われてしまいます。
あなたの上司も、頼まれればつい引き受けてしまいがち。多少、スケジュールがつまっていても、その場ではつい、色良い返事をしてしまいます。軍人タイプのあなたは、きちっと考えて、出来る分だけを引き受けてくれれば、と思うでしょうが、そうもいきません。実際、お得意さんや経営者から見れば、そういう頼りがいや親しさがあるからこそ、あなたの会社に発注しているという部分が大きいのです。
あなたの上司は「何とか自分ががんばれば」と考えて引き受けます。この時には、かわいい部下に無理はさせられないと思っています。ところが、スケジュールの読みが甘かったり、そういう頼まれごとが重なったりで、結果的に困った時に、あなたに頼んできているのでしょう。それも、あなたが憎いわけではなく、逆に信頼し大切に思っているからこその行為です。王様タイプにとって、人間関係の基本は、頼り頼られる、から形成されているからです。
こういう上司でも、職人タイプの部下なら、さほど苦しみません。軍人タイプのあなたのほど、上司の命令を絶対とは考えないからです。心の中で当然のごとく、仕事に対する自分なりのこだわりが、上司から与えられたスケジュールよりも優先します。もちろん徹夜も辞さずがんばりますが、「プロとしての仕事のレベルを下げてまで間に合わせようとは思わない」というのが職人タイプの言い分です。そんなわがままな部下に対して、上司はイライラしながらも、一生懸命がんばっている姿を見ると怒りきれないといった気分になります。
これが、同じ王様タイプの部下だと、頼まれて引き受け、出来なくなって困る、という上司と同じパターンになってしまいます。これでは無限の合わせ鏡で、仕事はなかなかあがらず、最悪の事態になることがよくあります。
これが、学者タイプの部下だと又違います。自分がかかえている仕事をリストアップし、それぞれにかかる日数を算出して、優先順位を聞いていきます。ここで「とにかく全部急ぐ」などと根性論になってしまうと、学者タイプはお手上げになってしまいます。
軍人タイプのあなたへのお薦めは、あなたの優位にあたる学者タイプの方法をまねることです。今回は優先順位作戦ですね。ただし、根性論になってもあきらめず、もう一押し。根性論は聞いているふりだけして「わかりました。○○さんの為ならがんばりますが」とか適当に答え、その上でやんわりと「ではどれから始めましょう」と話を進めます。これで答えを引き出せれば、部下の1ポイント先取となります。
あとは、上司の指定した優先順位で、普通に仕事を進めれば大丈夫。間に合いそうにないことが誰の目から見ても明らかになった時点で、実際には後何日必要かのデータも添えて上司に報告します。ただしここで、絶対に批判的なニュアンスが出ないように注意して下さい。かわりに、思いっきり困った顔をするのを忘れずに。そうすれば、今度は上司から得意先に頭を下げてくれるでしょう。
上司も、あなたが無理をして間に合わせてしまうから懲りないわけです。自分で謝って、目の前で信頼が減っていくのを感じれば、もう少し慎重に仕事を引き受けるようになってくれる筈です。
是非、お試し下さい。
|