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さて今回からしばらく、岡田式性格分類法を、マンガに応用してみましょう。マンガは作者の世界観が、最も単純な形で反映されている場合が多く、特に主人公の性格設定や、行動原理、ハッピーエンドの条件などに、4つのタイプは端的に現れます。そう考えて身近なマンガを読み直してみると面白いことに気がつきます。マンガ家自身を4タイプに分類してみると、自分と同じタイプを主人公に、劣位のタイプを悪役に、そして優位のタイプを「到達点」として描写する。どんなマンガ家でも、いつの間にかこういう法則でキャラクターを配置してしまうのです。
本当でしょうか?証明してみましょう。
では今回は、王様タイプのマンガを分析します。
王様タイプのマンガ家は、あたりまえですけど主人公を王様タイプにします。したがって、そのマンガはヒーローものが多くなる傾向があります。
『サラリーマン金太郎』『HAPPY!』『セーラームーン』や『ドラゴンボール』・・・。こんなヒーローもののマンガをよく見ると、主人公はみんな王様タイプ。おっちょこちょいだけれど家族思いの優しい女の子だったり、男気に熱い頼れるヤツだったり・・・とにかく、弱い者や仲間に対してやさしく、面倒見がいい典型的な王様タイプの主人公です。
大メジャー作品・『ドラゴンボール』を例に説明しましょう。
主人公・孫悟空は、誰もに好かれ、頼りにされる王様タイプ。彼は戦いが大好きです。この「大好き」は軍人タイプの「負けたくない!」といった色合いは全然ありません。勝ち負けに関係なく、心おきなく戦いを楽しみたいだけです。だからいつも、自分より強い相手に出会うとワクワクします。そんな悟空が本当の力を発揮するのは、仲間を倒されて怒った時です。悟空の敵は世界征服を狙う悪者たち。そんな敵に立ち向かい、仲間のために力を発揮しきった時、真の勝利はやってくる、というパターンで大ヒットしました。
これを4つのタイプで説明し直してみましょう。まず、主人公・孫悟空は仲間思いの王様タイプ。そして、「みんなの為に」戦う主人公の敵は、常に「自分の思い通りに世界を征服したい独裁者」です。「自分の思うがままに世界を征服」というのは、王様タイプから劣位の職人タイプを見た時の感想です。王様タイプにとって、劣位にあたる職人タイプの「他人にどう思われようと、自分のこだわりを通す」という考え方は、「自分さえ良ければ」というわがままな考え方に通じ、それを他人に強要する「独裁者の心理」として翻訳されてしまいます。
「自分さえよければ」という独裁者をやっつけながら、悟空はみんなの為に戦い続けます。そしてその「正義の心」によって、勝利を手に入れます。勝利は、王様タイプにとって優位にあたる軍人タイプの欲求ですので、王様タイプにとってはあこがれであり、理想郷にあたるわけです。
ヒーローものの主人公は、勝つ為に友達や身近な人達を犠牲にしたり、見捨てたりはしません。自分よりも強い者に媚びを売ったり、卑屈になったりもしません。実際に勝敗の世界で生きている軍人タイプにとっては、勝つ為に何の努力もせず、何も犠牲にしていない王様タイプのマンガは、リアリティを感じられません。他人の幸せばかり気にする王様タイプが、最終的に勝利を手に入れるというストーリーなんて、ご都合主義もいいところでしょう。しかし王様タイプにとっては、こんなヒーローマンガこそ、自分の夢をストレートに表現し、心を熱くしてくれる「夢」なのです。
これがコメディになると、もうひとひねりが必要です。『ちびまる子ちゃん』も王様タイプのマンガです。当然、作者のさくらももこさんも王様タイプ。さくら氏自身のエッセイ等でも、「みんなが幸せに」「こだわらず、気楽に」という王様タイプの天国が、いつも描写されています。
主人公のまる子は甘えん坊で人目を気にする王様タイプ。そんな『ちびまる子ちゃん』の醍醐味は、職人タイプや学者タイプの困った人達が、王様タイプから見たデフォルメで描かれていることです。
例えば、はた目も気にせず植木に命をかける佐々木のじいさん。他人の迷惑も気にせず写真を撮りたがる、たまちゃんのパパ。彼らはみな職人タイプの困った人達です。娘のこの瞬間は2度と戻らない。それをとどめるために、写真を撮ろう。それは単なる写真好きを越えた、たまちゃんのパパが得た哲学の具現化です。こんな職人タイプの信念は、このマンガではなぜか、ものすごくハタ迷惑な存在として描かれます。王様タイプにとって、職人タイプは劣位にあたるため、どうしても軽んじてしまうからです。
また、対角線にあたる学者タイプも登場します。本当のことだけど、言っても仕方がないし、言われた人がイヤな気分になることばかりズバズバ言う永沢くんは、学者タイプの困ったヤツです。
また、やたらと学級委員になりたがる丸尾くんは、軍人タイプなんですが、「なぜか学級委員になることにこだわって、まわりに迷惑かけるヤツ」という職人タイプ的な描かれ方をしています。優位にあたる軍人を否定的に描くには、劣位の職人タイプとして描写するしかないからです。
いかがですか?マンガに出てくる登場人物は、デフォルメされているだけに、分かり易い部分が多いですよね。こうして、自分から少し離れて4つのタイプを見ることも、より深い理解につながることと思います。
次回は、学者タイプのマンガを紹介します。
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