『人生の取り扱い説明書』連載第二十三回〜第二十六回
ン1997-1998.Toshio OKADA
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23回目 職人タイプ同僚についての悩み相談1

 皆様の人生のお役に立つ『人生のとりせつ』。前回までのマンガ家編を終了し、また身近な悩みに注目しましょう。
 今回は、陸運系の流通会社に勤めるYさん(30歳)の悩みです。
Y:同僚二人がものすごく仲が悪く、職場の雰囲気が悪くなっているんです。同僚、といっても実はその二人、中途採用で私より年上なんです。
岡:ああ、年上だけど自分が先輩、ですか。そりゃやりにくいですね。
Y:まぁ関係ないからいいか、と思ってたんです。でも採用時に社長から「あの二人をよろしく」と頼まれたもんで、やっぱ責任あるかなぁ、と。
岡:Yさんが一番困っているのは、社長に依頼されたからですか? 二人の仲が悪いことですか?
Y:仕事の場で、仲が悪いのをふりまかれるのは不快です。でもそれだけでは私の仕事に関係ない、と割り切ってたでしょうね。やはり社長に頼まれた限りは応えたいというのが大きいと思います。正直、これは本来の職務範囲外だという気はしますけど…。
岡:なるほど、あなたは仕事は仕事と割り切るべきだと考えています。それに、上司からの依頼は受けなければならない、できないことは情けないこと、負けを認めることだ、とも考えています。つまり、あなたは公私や上下の秩序を大切にする軍人タイ
プですね。
Y:ああ、やっぱりそうですかね。友達にもよく、体育会系のノリだといわれますし(笑)、自分でも、軍人タイプかなと思っていました。
岡:問題は同僚二人のタイプですね。同僚二人は似たタイプですか?
Y:いえ、それが正反対なのです。一人はだらしなく、もう一人は異常に几帳面で
す。僕は、几帳面な方は軍人タイプではないかと思うのですが。
岡:まぁまぁ、結論を急ぐことはやめましょう。ポイントは、なぜそういう行動になっているかですからね。
 まず仮に、几帳面な方を「マジメくん」、だらしない方を「フマジメくん」と呼ぶことにしましょう。Yさんが軍人タイプかなと考えているマジメくんの行動を、具体的に教えて頂けますか?
Y:はい。マジメ君の方は、いつも礼儀正しく、服装もぱりっとした背広を着ていて、一部の隙もない人です。その反動か、他人に対しても異常に厳しく、キチンとしてない人に対してはがまんできないみたい。特にフマジメ君に対しては、人間にあらずといった勢いです。
岡:他人にきびしい、とは具体的には?
Y:先週、バイト希望で面接にきた女の子相手に2時間も説教しました。
岡:えっ、2時間ですか(笑)。
Y:はい。最初は、タバコを吸いますか?といった普通の質問だったのです。うちの社内が喫煙室以外禁煙なので、それは説明して了解しておいてもらう必要がありますので。ところが、そのあと、喫煙はどんなにまわりが迷惑するか害があるかから始まって、タバコを吸う人間は信用できない、強制収容所で社会教育をやり直せ、という彼の持論を述べだすのです。
岡:確かにマジメな人ですねぇ(笑)。その女の子も、驚いたでしょう。
Y:ええ、あとでバイトを断ってきましたから(笑)。
岡:なるほど。おそらくマジメ君は、人間はすべて○○○であるべきだ、という思いこみが強い職人タイプでしょう。軍人タイプのYさんの場合、「きちんと」とは、職場だからといったTPOが一番大切ですよね。逆に、それ以外の場所では、いくらでもルーズになってしまう場合もある。
Y:ええ。人間は神さまではありませんから当然、そうでしょう。
岡:ところが、マジメ君の場合は、他人の目やTPOよりも、自分自身の目や評価の方が気になるのです。たとえ、誰が見ていなくても、自分はきちんとしたい、ちゃんとした人間でありたいと考えます。
Y:ずいぶん立派に聞こえますが、それでは疲れませんか?
岡:その通りです。だから、その反動が他人への批判という形で現れるのだろうと、僕は思います。自分はこんなにきちんとしている。こんなにがんばって立派な人間になろうとしている。なのに、誰も自分の努力を評価してくれない、わかってくれないというストレスが、じゃあ、あいつは何なんだといった形で現れているのでしょう。
 本当の望みは「私の努力・苦悩を、わかってほしい」ですので、批判した相手が反省して、多少行動を改めたとしても、マジメ君の幸せは、増えないのです。
Y:ええっ!それだったら彼は勝手に苦労して、勝手に不幸になっているんじゃないですか。そんな無駄な努力なんかやめればいいのに。
岡:軍人タイプのあなたから見れば当然の意見ですね。確かに理屈で考えれば、他人から見えないところでいくらがんばっても、評価してもらえないのは当然です。本人も理屈ではわかっています。でも「それだからこそ誰かにわかってほしい」という思いは、消しがたいワケです。彼自身、そういう他人の「人知れない努力」を評価しようとしている筈です。
Y:なるほど。マジメ君の心理的メカニズムが少しわかった気がします。そんな気分はさっぱりわかりませんが。
岡:(笑)あなたは、職人タイプとは対極の軍人タイプですから、さっぱりわからないのは当然ですよ。
Y:では、もう一人のフマジメ君は何タイプなのでしょうか?(次号へ続く)


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24回目 職人タイプ同僚についての悩み相談2

 皆様の身近な悩みにお答えする『人生のトリセツ』。今回は、前回の悩みの続きです。
 Yさん(30才)は陸運系流通会社に務めるサラリーマン。悩みは、中途採用であとから入った同僚二人が、ものすごく仲が悪いこと。社長から二人をヨロシク頼むと言われているので、軍人タイプのYさんは何とかしたいのですが、方法が見つかりません。
 仲の悪い二人は、正反対の性格。一人は几帳面で他人にも厳しい「マジメくん」。もう一人は、とにかくだらしない「フマジメくん」。
 マジメくんの方は「人間かくあるべし」という思いこみの激しい職人タイプ。自分自身に対しても厳しい反動で、他人に対して厳しい批判をしたり、説教をするという行為になるのだというところまでお話ししました。
 次の問題はフマジメくんです。
岡:フマジメくんの具体的な話をきかせて頂けませんか?
Y:フマジメくんの頭には、礼儀作法やエチケットといったことが一切ないようなのです。取引先へ打ち合わせに行った時も、受付を通さず平気で担当の机までずかずか入っていくらしいのです。確かに、担当とは親しいのですが、他の社員は驚きますよね。あと、何と言っても特徴は服装がだらしないことです。ジャージで出勤し、サンダルで社内をうろうろします。無精ひげもめったに剃りません。おまけに、ちょっと忙しいと会社に寝泊まりするのです。その為の寝袋も自分の席に常備しているくらいです。フマジメくんはこの寝袋で、しょっちゅう自分の机の下で寝ているんですよ。
岡:いやぁ、寝袋とはなつかしいなぁ。そんな言葉を聞くと、アニメ会社のことを思い出してしまいました。僕の会社では、社員が泊まり込むのは当たり前だったので、仮眠室を作りました。そこへ3段ベッド2台、2段ベッド1台をつめこんだのですが、結局、社内は寝袋だらけになりました。
Y:アニメ会社というところは、そんなのが、当たり前なんですか?
岡:どこのアニメ会社もそうというわけではないのですが(笑)
Y:景気が良くて忙しいとそうなるんですか?
岡:いえいえ、それが忙しさとは関係ないところがおもしろんです。社風によって決まるんですよ。ちょっと脱線しますが、今回の参考になるかも知れませんのでお話ししてみましょう。
 アニメ会社には大きくわけて東映系と虫プロ系があります。東映は「まんが映画」と呼ばれていた頃からの老舗で、ここから独立したようなスタジオが、東映系。
Y:昔、東映まんが祭りというのが、夏休みや冬休みにありましたよね。
岡:そうです。これに対して虫プロは、手塚治虫が鉄腕アトムを放映するために始めたスタジオ。ここから独立した会社は虫プロ系と呼ばれます。
 面白いのは、東映系のスタジオは、すべて9時5時の会社のように出勤時間も決まっていて、残業すれば残業手当が出て、夜8時になったらビルの電源が切られるような会社が多いのです。当然、寝袋で寝るような人は、あまりいません。これに対して虫プロ系は、残業は当たり前、寝袋は当たり前のスタジオが多いのです。
Y:東映系の方が金回りがいいからですか?
岡:いや、けっしてそれだけが原因ではないのです。東映系の人達は虫プロ系のやり方を批判します。あんなやり方では、結局いい作品はできない。生活ペースをきちんと保ってこそ、いい作品が作れる。第一、徹夜や寝袋生活では体力を消耗して、病気で倒れる回数も増える。結果的に効率も良くない、というわけです。いつもコンスタントに高いレベルの作品を作るためには、自己の健康やスケジュール管理が大切だからです。
 反対に虫プロ系の人達は、東映系の批判にこう答えます。アニメ作りとはクリエイティブで、サラリーマンでも工員でもない。9時5時でマトモな作品が作れるもんか。クリエイティブとは、最後まで理想の作品を目指してあがくもの、いや、あがかずにはいられない魂の叫びだ! 確かに虫プロ系のスタジオからは、新しい感覚のアニメが多く作り出されています。
Y:なるほど。で、結局、どちらがいい作品を作れるのですか?
岡:それが面白いことに、どちらからも良い作品は生まれてくるのです。この夏話題になった2大アニメ『もののけ姫』と『新世紀エヴァンゲリオン』。『もののけ』は東映系出身の宮崎監督が集めた、スタジオジブリの作品。『エヴァ』は虫プロ系のガイナックスの作品なのです。ガイナックスは正確には虫プロ出身ではなく、アマチュア中心に僕が作ったスタジオですが、さっきの話からもわかるように、明らかに方針は虫プロ系ですね。
Y:では、まじめな東映系が、会社としては職人タイプというわけですね。
岡:ところが、実はどちらも職人タイプなのですよ(笑)
Y:ええっ!?
岡: 少なくともどちらも、ガンガン稼いでボーナスをもらおう、という営業マン的ノリの会社、つまり軍人タイプではありませんよね。どちらも「作品とはこう作るべきだ」という信念に基づく行動で、結果的に正反対な会社に見えるだけです。その「こう作るべきだ」の「こう」の部分が、正反対だっただけで、欲求の種類はまったく同じというわけです。
 さてここまで話して、マジメくんとフマジメ君の話に戻ってみましょう。もう、おわかりになりましたか?(続く)


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25回目 職人タイプ同僚についての悩み相談3

 Yさん(30才)の悩みは、中途採用であとから入った同僚二人が、ものすごく仲が悪いこと。社長から二人をヨロシク頼むと言われているので、何とかしたいとのこと。
 この仲の悪い二人の同僚は、正反対。一人は几帳面で他人にも厳しい「マジメくん」。もう一人は、とにかくだらしない「フマジメくん」。実はアニメスタジオにも、9時5時の東映系スタジオと、寝袋常備の虫プロ系スタジオという、似たような対立があることを例としてお話ししました。実は、どちらも会社としては職人タイプ。作品作りとはこうあるべきだ、という信念が中心になっていることからわかります。唯一の違いは、「こうあるべき」の、「こう」に入る内容だけなのです。
岡:で、話を本題に戻して、マジメくんとフマジメくんです。この二人にも同じことが言えないでしょうか?
Y:確かに、マジメくんが「人間きちんとやるべきだ」という信念に基づいて行動しているというのはわかります。けれども、フマジメくんが「人間、ふまじめに生きるべきだ」(笑)という信念で行動していると考えるのには、無理がありませんか?
岡:(笑)確かに、そうですね。では視点を変えてみましょう。
 まずフマジメくんが泊まりこむのは、単に家に帰るのがめんどうだからですか?泊まることで、仕事に何のメリットもない?
Y:もちろん、メリットはあります。そうでなければ、誰もそんなことを許したりしませんよ。彼は、仕事に関しては骨惜しみしません。誰かが病気や都合で休んだりした時は、必ず交代員になってくれます。みんなも、泊まっていてその場にいるし、必ず引き受けてくれるので、つい頼んでしまいます。それに仕事に対しては異常にこだわり、完璧主義者です。他の人がした仕事も、気に入らないとわざわざやり直します。その為に残業がまた増えて…。
岡:他の人の仕事まで引き受けて、ますます忙しくなって泊まり込むわけですね。では、フマジメくんの信念に関しては、こうは考えられないですか。「人間、大切なのは仕事を完璧にやりとげることだ」
Y:ええ、そこはわかります。それでも、あそこまでだらしなくしなくても…。彼は他人の目には、まったく鈍感なんでしょうか。
岡:多分、違うでしょう。彼も十分に批判的な雰囲気は感じとっていると思いますよ。でも、あえてやっている。それは、「人間、大切なのは仕事の内容だ。外見じゃないんだ。」という信念からとは言えないでしょうか。「外見なんかどうでもいい」という部分を強調したいあまりに、批判の目を感じながらも、その雰囲気にあえて抵抗している。「オレは外見ばかりを気にしたり、常識にしばられている人間とは違うんだ。」というデモンストレーションの意味も兼ねているわけです。彼自身、外見に気を使ったり、お金や時間を使ったりが性分としてできない。そんな余裕があったら、もっと仕事に使うべきだと思ってしまうからです。男らしさを強調する余りに、バンカラな格好であえてオシャレを否定する、本宮ひろ志のマンガみたいなヤツではないでしょうか(笑)
Y: そう言えば、フジメくんが一番嫌うのは、口先ばかりで仕事をしないヤツです。その点、マジメくんは仕事ができないわけではありませんが、彼の良く動く口ほどには、仕事ができるとは言えませんね。
岡:マジメくん、フマジメくん、二人の信念がはっきりすると、なぜそこまで対立するかもよくわかるようになってきましたね。
Y:ええ。でも、わかればわかるほど、二人の対立は絶望的な気がするのですが。こんな頑固者同士の対立を他人がどうこうできないのでは…
岡:基本的にはその通りです。
Y:ああ、やっぱり(笑)
岡田:まぁまぁ。それでも何らかの部分で、解決策はあるものです。結論を急がず、突破口を考えてみましょう。
Y:はい、ぜひお願いします。
岡:職人タイプの信念は、他人の意志では変えようがないように見えます。が長い目で見ると、実は案外、コロコロ変わっていのです。
Y:えっ、あのガンコさが変わるとはとても思えませんが。
岡:いえいえ。ガンコだという点は変わりません。が「何にガンコか」が変わるということです。その証拠の一つとして「尊敬する人の存在」が上げられます。職人タイプの人には、尊敬する人が具体的に必ず存在します。言い換えると、尊敬する人ときかれて、「人に寛大な人」とか「男らしい人」などと抽象的な答えではなく、○○さんと実名が出てくるのが職人タイプなのです。しかも、職人タイプにとっての尊敬できる人は、自分の信念に影響を与えた人です。つまり、職人タイプの固い信念は、新しい尊敬する人が出現する度に、塗り替えられている、とも言えるわけです。
Y:なるほど。でも、マジメくんが急にふまじめになったり、フマジメくんが急にまじめになったりするとは、とても考えられませんが。
岡:そうですね。そうこっちの都合通りにはいかないかもしれません。が、僕の知り合いには、マジメくんからフマジメくんに突然、大変身を遂げた人が、実際にいますよ。今考えると、彼は職人タイプでした。
Y:えっ、そのお話しをぜひ聞かせて下さい。(続く)


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26回目 職人タイプ同僚についての悩み相談4

 Yさんの悩みは、あとから入った同僚二人が、ものすごく仲が悪いこと。二人の同僚は、正反対。一人は几帳面で他人にも厳しい「マジメくん」。もう一人は、とにかくだらしない「フマジメくん」。実はどちらも職人タイプ。二人とも「人間とはこうあるべきだ」という信念に基づいて行動していることがわかりました。唯一の違いは「こうあるべき」の、「こう」にはいる内容、「人間は、まわりに迷惑をかけるべきではない。服装を始め、礼儀作法にも気を配り、不快感を与えないようにするべきだ」という信念と、「人間は仕事の中身で勝負。外見を気にするべきではない」という信念の対立だったのです。
岡:僕の古い知り合いにTさんという男性がいました。彼と初めてあった時、僕はまだ学生でしたが、彼はまじめな公務員。服装もきちんとして、よく僕たち学生におごってくれました。「社会人が学生におごるのは、あたり前ですよ」とか言ってね。
Y:マジメくんタイプだったわけですね。
岡:その通りです。それがある日突然、仕事を辞めてしまったのです。もともと彼は、航空機マニアだったのですが、その趣味にのみ生きることを決心したようでした。それからは、専門雑誌に文章や写真を寄せたりする以外は、ブラブラしているプータローになってしまったのです。あのまじめなTさんに何があったんだろうと僕たちはみんな、驚きました。何しろ、その頃はまだ、30才にもなってプータローなんて、考えられないほど反社会的な行為だったのです。
Y:いったい、どんなきっかけがあったのですか?
岡:結局、転身の理由はわかりませんでしたが、それからのTさんは豹変しました。奢ってくれなくなったのはもちろんですが、奢ってもらえるところならどこへでもついてくる人になってしまったのです。
 ついには、アパートの家賃を浮かす為に、僕の会社に居候するようになりました。会社のフロアーの隅に、宿直室みたいな3畳の和室があったのですが、そこに居着いてしまったんです。まぁカメラの腕は確かなので、いろいろ手伝ってもらえることがあったのですよ。
Y:いつでもタダで手伝ってもらえるなら、便利かも知れませんね。
岡:いえいえ。いつでもといっても、彼を拘束することなど、誰にもできないんですよ。仕事がどんなに追い込みでも、スタッフ全員が寝ていなくて、目の下にクマを作っていても、彼は自衛隊の基地祭があるというと、写真を撮りにバイクで行ってしまうんです。北海道でも、九州でも。で、何日も帰ってこない。誰がどんなに怒っても、どんなに拝みたおしても、だめでした。本当に、職人タイプって、ガンコなんですよ。
Y:やはり彼も、そういう周囲からのプレッシャーに負けないようにがんばっていたのですか。
岡:今考えると、多分そうだったんでしょうね。殺気だった追い込みの中で、そんな態度を貫くのは、並大抵のことではできませんからね。
Y:う〜ん、他人にはわかりにくい生き方ですねぇ。
岡:職人タイプの人は、今までにも何度も話に出てきましたが、人知れずの努力を尊びます。しかも、それを常にわかってほしいと望んでいるわけです。さっきのTさんなら、趣味への情熱のために、安定した生活も将来も全て捨て、他人の批判に耐える、といった部分ですね。
Y:フマジメくんなら、仕事に対するこだわりの為に、外見を飾らず、あえて誤解されても耐えている。マジメくんなら、他人に厳しすぎる、という批判に耐えるといったぶぶんでしょうか。
岡:そうですね。そういう、本人ががんばっている部分をわかってあげることが一番喜ばれます。
Y:あいかわらず、何故そんなことで頑張っているのかわかりませんが、どんなこだわりの為に、どんなことに耐えているかはわかるようになりました。
岡:それで充分ですよ。そのわかったことを、言葉にして本人に言ってあげる。フマジメくんやっていること、すごいな、なんてカンジでね。
Y:なんか、女の子くどくより、気恥ずかしい気がしますが。(笑)
岡:大丈夫。別に酒の席でなくても、さらっと言えばいいんですよ。職人タイプは、それで違和感を感じるどころか、大感激してくれますから。
Y:それだけでいいのですか?
岡:それだけじゃ、あなたが仲良くなるだけでしょ?(笑) 男を口説いてどうするんですか(笑)
 もう一人の方に、相手のことを伝えるんです。「あいつは他人に誤解されても、ここを頑張ってるんだ」というカンジで。職人タイプは、理由はともかく人知れずがんばってるヤツには弱いんですよ。で「誰もわかってやらないんだよな」みたいな話し方をするわけです。
Y:はぁ。そんなことで、わかってやる気になるわけですか。
岡:「わかってやるなんて、こっちが損」という考え方をする軍人タイプのあなたには、理解しがたいでしょうね。でも、騙されたと思って、試してみて下さい。少なくとも、二人の険悪なムードが和らぐはずですから。
Y:わかりました。では、さっそくやってみます。今日は、長いお話、ありがとうございました。



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