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皆様の人生のお役に立つ『人生のとりせつ』。前回までのマンガ家編を終了し、また身近な悩みに注目しましょう。
今回は、陸運系の流通会社に勤めるYさん(30歳)の悩みです。
Y:同僚二人がものすごく仲が悪く、職場の雰囲気が悪くなっているんです。同僚、といっても実はその二人、中途採用で私より年上なんです。
岡:ああ、年上だけど自分が先輩、ですか。そりゃやりにくいですね。
Y:まぁ関係ないからいいか、と思ってたんです。でも採用時に社長から「あの二人をよろしく」と頼まれたもんで、やっぱ責任あるかなぁ、と。
岡:Yさんが一番困っているのは、社長に依頼されたからですか? 二人の仲が悪いことですか?
Y:仕事の場で、仲が悪いのをふりまかれるのは不快です。でもそれだけでは私の仕事に関係ない、と割り切ってたでしょうね。やはり社長に頼まれた限りは応えたいというのが大きいと思います。正直、これは本来の職務範囲外だという気はしますけど…。
岡:なるほど、あなたは仕事は仕事と割り切るべきだと考えています。それに、上司からの依頼は受けなければならない、できないことは情けないこと、負けを認めることだ、とも考えています。つまり、あなたは公私や上下の秩序を大切にする軍人タイ
プですね。
Y:ああ、やっぱりそうですかね。友達にもよく、体育会系のノリだといわれますし(笑)、自分でも、軍人タイプかなと思っていました。
岡:問題は同僚二人のタイプですね。同僚二人は似たタイプですか?
Y:いえ、それが正反対なのです。一人はだらしなく、もう一人は異常に几帳面で
す。僕は、几帳面な方は軍人タイプではないかと思うのですが。
岡:まぁまぁ、結論を急ぐことはやめましょう。ポイントは、なぜそういう行動になっているかですからね。
まず仮に、几帳面な方を「マジメくん」、だらしない方を「フマジメくん」と呼ぶことにしましょう。Yさんが軍人タイプかなと考えているマジメくんの行動を、具体的に教えて頂けますか?
Y:はい。マジメ君の方は、いつも礼儀正しく、服装もぱりっとした背広を着ていて、一部の隙もない人です。その反動か、他人に対しても異常に厳しく、キチンとしてない人に対してはがまんできないみたい。特にフマジメ君に対しては、人間にあらずといった勢いです。
岡:他人にきびしい、とは具体的には?
Y:先週、バイト希望で面接にきた女の子相手に2時間も説教しました。
岡:えっ、2時間ですか(笑)。
Y:はい。最初は、タバコを吸いますか?といった普通の質問だったのです。うちの社内が喫煙室以外禁煙なので、それは説明して了解しておいてもらう必要がありますので。ところが、そのあと、喫煙はどんなにまわりが迷惑するか害があるかから始まって、タバコを吸う人間は信用できない、強制収容所で社会教育をやり直せ、という彼の持論を述べだすのです。
岡:確かにマジメな人ですねぇ(笑)。その女の子も、驚いたでしょう。
Y:ええ、あとでバイトを断ってきましたから(笑)。
岡:なるほど。おそらくマジメ君は、人間はすべて○○○であるべきだ、という思いこみが強い職人タイプでしょう。軍人タイプのYさんの場合、「きちんと」とは、職場だからといったTPOが一番大切ですよね。逆に、それ以外の場所では、いくらでもルーズになってしまう場合もある。
Y:ええ。人間は神さまではありませんから当然、そうでしょう。
岡:ところが、マジメ君の場合は、他人の目やTPOよりも、自分自身の目や評価の方が気になるのです。たとえ、誰が見ていなくても、自分はきちんとしたい、ちゃんとした人間でありたいと考えます。
Y:ずいぶん立派に聞こえますが、それでは疲れませんか?
岡:その通りです。だから、その反動が他人への批判という形で現れるのだろうと、僕は思います。自分はこんなにきちんとしている。こんなにがんばって立派な人間になろうとしている。なのに、誰も自分の努力を評価してくれない、わかってくれないというストレスが、じゃあ、あいつは何なんだといった形で現れているのでしょう。
本当の望みは「私の努力・苦悩を、わかってほしい」ですので、批判した相手が反省して、多少行動を改めたとしても、マジメ君の幸せは、増えないのです。
Y:ええっ!それだったら彼は勝手に苦労して、勝手に不幸になっているんじゃないですか。そんな無駄な努力なんかやめればいいのに。
岡:軍人タイプのあなたから見れば当然の意見ですね。確かに理屈で考えれば、他人から見えないところでいくらがんばっても、評価してもらえないのは当然です。本人も理屈ではわかっています。でも「それだからこそ誰かにわかってほしい」という思いは、消しがたいワケです。彼自身、そういう他人の「人知れない努力」を評価しようとしている筈です。
Y:なるほど。マジメ君の心理的メカニズムが少しわかった気がします。そんな気分はさっぱりわかりませんが。
岡:(笑)あなたは、職人タイプとは対極の軍人タイプですから、さっぱりわからないのは当然ですよ。
Y:では、もう一人のフマジメ君は何タイプなのでしょうか?(次号へ続く)
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