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今回の相談者は、TV番組制作会社に勤めるH美さん(33歳)です。H美:実は今、地方局のドキュメント番組制作を任されているのですが、そこの女性プロデューサー、Tさんがバカで困っています。
岡:T女史のどんなところがバカなんですか(笑)?
H美:とにかく作品作りに関してバカなんです。前と同じやり方で、の一点張りで。それも時間がないから、とか、前のは局の評判が良かったからとか、内容と関係ない理由ばかりなんです。
岡:でも評判のいい番組はそのままで、評判の良くない番組は改良するという考え方は、作品作りの基本的でしょ?
H美:でもそれにも限度がありますよ。今回、私がやったノンフィクションシリーズは、色々な方法を試してみようというのが、企画の中心なんですよ。それは稟議でもOKが出たんです。ところがシリーズの第一弾がたまたま評判よかったんですよ。すると彼女、ずっと同じように作れって言いだしたんです。もう本当に何を考えているのか、判りません。
岡:なるほど、あなたは色々試してみたかったのに、できなかったんだ。
H美:だからそれが今回の企画の目玉だったんですよ。今、ドキュメントなんてオジサンしか見ないんです。意外な題材を、これまでと違う角度、手法で作って放映してみないことには、もっと広い層を開拓できないじゃないですか。色々な作品の中から、これは評判は良かった、これは今一つだった、とかを観察すれば、ヒットするドキュメント番組のあり方も見えてくるんじゃないですか。
岡:で、そういう「いろんな実験をする」っていうのは、OKが出ていた?
H美;そうです。ダメならダメと会議の時に言ってくれれば、そのつもりで段取ったのにと思うと、腹が立って、腹が立って・・・
岡:(笑)あなたは、典型的な学者タイプですね。段取りを狂わされてそんなに怒るのは学者タイプだけですよ。あなたの作品作りに対する考え方もパターンです。まるで実験のように考えている点。実験結果から何かを知ろうとする態度。その何かを知りさえしたら、全てうまくいくと考えている基本姿勢。どれもが、あなたは学者タイプと教えてくれます。
H美:そうです、そうです。毎回、人生のトリセツを読みながら、自分は絶対に学者タイプだなと思っていました。(笑)
岡:ありがとうございます。(笑)この連載のファンって、学者タイプが多いそうです。他のタイプの人たちは、このコーナーが自分に役に立って初めて認めてくれますが、学者タイプだけは、例え他人事であっても、興味を持って読んでくれるのです。
H美:ますます、私は典型的ですね。 自分のまわりの人間を、4つのタイプに当てはめて遊んだりするのも好きで、よくやってますよ。
岡:学者タイプは、観察が好きで、得意ですからね。では『トリセツ』の優秀な読者であるH美さんの目から見て、T女史は何タイプですか?
H美:間違えるとみっともないなぁ(笑)でも絶対軍人タイプです。
岡:では、学者タイプの鋭い観察眼で捉えた根拠を具体的に教えて下さい。
H美:はい。とにかく、彼女は自分が局のプロデューサーで、私が下請けの制作だというのをいつも態度にあらわします。会議の決定を勝手に変更するのも、言うことをきいて当然だと考えているからです。変更の伝え方も「相談があるから」と呼び出すのではなく、電話一本、反論を許さない高圧的な態度で「こうしてちょうだい」と指示を出すのです。
岡:それは誰に対してもですか。
H美:相手が私でなくても、うちみたいな会社に対してはそうみたいです。特に男性には評判が悪く、本人はキャリアを気取っていますが、影ではお局サマ扱いですよ。
岡:プロデューサーとして、局の上からの評価はどうですか?
H美:局での評価は高いようです。地方局だから人材もロクなのはいませんし、あれだけ上のことしか考えていなかったら当たり前でしょう。
岡:上のことしか考えていないと言うと?
H美:彼女の頭にあるのは、上司の指示だけなんです、それも、予算はいくら、スケジュールはいつまで、視聴率は5%以上といったことです。で、私たちの方から新企画を出しても、少しでもリスクがあるといやがります。新しいことをすれば失敗する可能性も増え、段取りが悪くてスケジュールが押すかも知れません。またそれをお金で巻きなおすことも必要になるかも知れません。そういうことすべてを排除して、番組を作りたいらしいのです。
岡:なるほど。そうやっていれば、大ヒットも出ないかわり、ミスもない。 絶対に負けないシフトですね。実に軍人的な発想ですねぇ(笑)。
H美:ああ、やっぱりそうだったんだ。そうやってキャリアを積んでいけば、確かに評価はあがりますよね。でもTV番組って工場製品じゃないんです。毎回、同じようなものを作っていれば、すぐ飽きられるに決まっています。彼女は、人気がないのは私たちの責任にして、また新しい会社に発注すればすむでしょうが、使い捨てられるこちらはたまりません。でもクリエイティブな欲求なんてほんのひとかけらもない軍人タイプには、こんな簡単なこともわからないのでしょうか?
岡:いえいえ、軍人タイプにもクリエイティブな欲求はありますよ。
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