『人生の取り扱い説明書』連載第三十二回〜第三十二回
ン1997-1998.Toshio OKADA
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32回目 おさらい

 この連載は、人生で、困ったり悩んだりした時、努力したのに上手くいかなかった時、どうしてもウマの合わない人がいて困っている時、こういった時に活用していただきたい人生の取り扱い説明書です。
 まず、あなたの欲求のタイプを判定することから始めましょう。というのも、人の不幸の多くは「こうなれば自分は幸せになれる」と考えている方向が、見事にトンチンカンだから発生するのです。
 人間の本質的な欲求には、個人毎に必ず偏りがあります。そこでその偏りに注目し、どの欲求を一番強く持っているかによって、人間を大きく4タイプに分類できるのです。その、4つのタイプとは、名付けて「軍人タイプ」「王様タイプ」「職人タイプ」「学者タイプ」。
・軍人タイプ負けず嫌いで、常に勝ち負けや順位にこだわるタイプ。仕事も恋愛も家庭も、すべて他人と比較して、誰に対して勝ち、負けているか、客観的、社会的に見て自分はどれ位のレベルかをいつも計っています。また、自分よりレベルの上の人を敬い、秩序を守ろうとする心を持っています。
・王様タイプとにかく、誰よりも注目されたい。ほめられたい。認められたい。かまわれたい。という欲求が強いタイプです。勝負で負けても、「惜しいね」と注目され、慰められさえすれば、あまり気にしません。逆に、無視されたり、ないがしろにされるのが、一番つらく感じるタイプです。
・職人タイプ自分の考えている通りに、ものごとをやり遂げることにこだわるタイプです。客観的な成功や完成ではなく、他人の目からはわからない確固たる基準や理想像が自分の中にあって、それに近づく事が喜びとなります。逆に、いくら努力しても近づけないことが悲しみや怒りになります。
・学者タイプものごとの仕組みや法則を、自分なりに理解・発見・推測することに喜びを感じるタイプです。たとえ勝負で負けても、なぜ負けたか分かれば納得し、他人から嫌われても、なぜ嫌われているか理解する方が大事な事です。逆に成功しても、その理由がわからないと落ちつかないのです。
 大人になってしまうと社会性が身に付くため、タイプを見抜くのは自分自身ですら難しくなります。が自分が幼かった頃の行動を思い出してもらえると、分かりやすいかもしれません。みんなと離れて遊ぶ時が比較的多いのが、職人タイプと学者タイプ。友達と遊んだり、先生にかまってもらうのが好きなのが王様タイプと軍人タイプ。口が達者なのは軍人タイプと学者タイプ。感情豊かなのは王様タイプと職人タイプ。
職人タイプは、気に入った遊びに熱中し、長続きします。誰と遊ぶかより何をして遊ぶかが大事です。友達がずるいことをすると怒りますが、相手に直接、感情をぶつけたりはあまりしません。
 学者タイプは、実験とか冒険とか称して、色々かわった遊びをやりたがります。ものの名前や由来を覚えるのも好きです。他人の言い間違いに敏感です。誰とでもこだわりなく遊びます。感情は安定していますが、一旦泣き出すと長引きます。
王様タイプは、好きな人嫌いな人の区別がはっきりしています。好きな遊びも、嫌いな友達とするのは嫌がります。大人には甘え上手。小さい子供をかまってやることも多いです。嬉しい、悲しいといった感情の変化が激しく、物語などへの感情移入も豊かです。
 軍人タイプは、負けず嫌いの努力家です。遊びでも、負けると悔しがって練習します。上手な友達は尊敬し、下手な友達をバカにします。泣くときも悔し泣きが中心になります。遊びの中心で、リーダーシップを発揮することも多いです。
まず同じタイプ同士は仲がよさそうなカンジがしますが、案外そうでもありません。 同じタイプ同士は、相手の行動が大変理解しやすいと言う調書があります、そのかわりに、相手の欲求と自分の欲求が衝突するため、自然と距離をおくようになります。軍人タイプ同士だと、主導権のとりあい、職人タイプどうしだと自分のやり方の通し合い、という具合です。 逆に、全く理解不能なのは、王様←→学者、軍人←→職人の組み合わせです。が、互いに協力して一つの目標に向かって努力する場合は、欠けている部分を補いあえるのでベストカップルになったりもします。
 おもしろいのは、優位・劣位が発生する組み合わせです。ある人に対するとなぜか相手を軽んじたり、組し易いという印象を持つ場合があります。そんな心理的状態を、「優位」と呼びます。逆に憧れを感じたり、近寄りがたい印象を持ったり、その人の言うことについ従ってしまったりすることもあります。そういう心理的状態を、「劣位」と言います。例えば、軍人と王様では、軍人が優位、王様が劣位。対等の関係の場合も、軍人は王様を軽んじがち、王様は軍人に気圧される。という気分が発生します。軍人>王様、王様>職人、職人>学者、学者>軍人という、関係になります。いずれの場合も、自分のタイプを正確に把握して、相手のタイプを鋭く見抜く事ができて初めて、よりスムーズな人間関係が築けるようになるのです。これを頭に入れて、これからの連載を読んで頂ければ、あなたの人生もスムーズになると思います。


33回目 Q&A

 早いもので、この連載を初めて半年が経ってしまいました。その間に、読者の皆様から様々なご意見やご質問を頂きました。その中で、特に多かった質問に関して、今回はお答えしたいと思います。
 まず、この4つのタイプというのはなぜ存在するのか。原理は何なのかという根源的な質問。これは、僕自身考えているところもあるとだけ言っておきます。というのも、週刊連載で語れるようなネタでもありませんし、もう少し考えが固まった時点で、何らかの形で発表したいと考えています。
 次に多いのが、「人生で損ばかりしていると思ったら、自分が○○タイプだったからなのですね。どうしたら××タイプになれますか?」といった質問。特に軍人タイプと言われるのを嫌がる人が多いですね。他にも、職人タイプはオタクっぽくていやとか、王様タイプは単純バカっぽくていやとか、いろんな意見があります。でも、4つのタイプは、理性で治すとか変えるとかできないものと考えた方が、幸せへの近道になります。というのも、自分のタイプに合わない幸せを求めることこそ、人生の無駄遣い、自分のタイプにあった幸せを効率よく追求する努力をしよう、というのが、この「人生のトリセツ」の基本コンセプトですので。
 だいたい、こんなタイプの人間でありたいと考えているのは、本当のタイプではなく、自分の優位のタイプです。当然、自分のタイプは嬉しくないのです。僕が知っている限り、自分のタイプが○○タイプだと思い当たった瞬間、みんな、とても複雑な表情をします。納得しながらもイヤそう、というか、笑いながらも苦々しそうというか、人生の乙な味をかみしめる瞬間の表情ですね。
 あと「○○タイプと××タイプは相性が悪いんですか?」とか、「結婚するなら、対角線同士のタイプがいいんでしょうか?」とかという相性に関する質問も多いです。これも一概に何とも言えません。対角線同士は、お互いに信頼関係が成り立てば、足りない部分を補いあえるすばらしいパートナーになれることも多いです。が、お互いものすごく違うので、そこまで親しくなること自体が難しいです。逆に、優位・劣位の関係の場合、お互いに興味を持つので、親しくなり安く、しかも関係が安定しやすいです。同じタイプ同士は、相手の欲求がよくわかる分、ぶつかりあいも少ないですが、お互い少しも魅力的に見えない関係になります。
 とは言っても、人間は4つのタイプに分けられる欲求というエネルギーの他にも、明るい、暗いとか、要領がいい、悪いとか、様々な要素を持っています。決して4つのタイプ別だけがすべてというわけではありません。けれでも、自分のタイプを知り、相手のタイプを知ることで、それまで全然思いつかなかった相手への接し方が編み出されます。そこが肝心なのです。
 ちょっと話がそれますが、島田紳介という漫才師がいます。彼はダウンタウンの松本仁が「100年に一人の天才」と絶賛するほどしゃべりのうまい漫才師とされています。が、彼に言わせれば、ギャグやつっこみの上手い・下手は、頭の中でいくつ思いつけるかによる、といいます。つまり、相手が何か言って瞬間、何と言い返すか頭の中で、1個しか思いつかないヤツは、ろくなことを言わない。そうじゃなくて、10個思いついて、その中から一番おもしろい言葉を選ぶからこそ、常におもしろいことを言えるのだ、というのです。
 僕は、人生もおなじではないかと思うのです。例えば苦手な上司がいる。口説きたい彼女がいる。その時、どうアプローチするか、自然に考えるだけだと、自分と同じタイプの人を喜ばせるアプローチになってしまいます。が、相手のタイプが一番喜びそうなアプローチの仕方、相手の優位のタイプがとりそうな行動。こういったものをシュミレーションすることで、自分の行動の幅が広がります。そういったことが、結果的に人生を豊かにしてくれるのではないかと僕は考えています。



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