岡田斗司夫のオタク日記
2001年03月15日〜03月31日
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3月 その2


16日(金)
 朝から松原二号と一緒に和美宅に行って本の仕訳。今まで保存していた単行本やマンガ本を「保存する」「売却する」に分別する。途中までは「これも残したい」「これは捨てれない」とかこだわっていたけど、とにかく容積を半分以下にしないとマズいのだ。
 午後からレタスクラブの取材。テーマは「夫の趣味をどうやって許すか?」。しかし編集者から教えてもらう事例を聞くと、まだまだ可愛いものである。僕が一時、オモチャを買い漁っていたときに「なぁ、自分の旦那がオモチャみたいな下らないもの買ってて怒らないの?」と聞いたとき、和美が名セリフを吐いた。
「男の趣味にはもっとタチの悪いものがある。酒なら体を壊すし、釣りやアウトドアなら休日に家にいない。車や登山なら事故がないか心配だ。これらの趣味は全て、オモチャやビデオコレクションと同じくお金がかかるし、その上に体に悪い。こういう『お金も健康にも悪い』趣味に比べて、オモチャ買い漁りなんて減るのはしょせんお金だけ。たいしたことない」
 正直、感動した。これを思い出してなんて素晴らしい妻だろう、とおもわずレタスクラブの人たちに自慢してしまった。
 夕方前、昨日から働きづめなので眠いし、おまけに鼻血が出た。そこへ折り悪く和美からの緊急要請。ガイナの会議で遅くなるので夕食の用意を頼まれる。急なことなのでとりあえずすぐにできるハッシュドビーフとジャガイモのサラダを作る。いつもキュウリを入れるジャガイモサラダだけど、今回は試しに軽く茹でて手でちぎったキャベツを入れてみた。美味しい!


17日(土)
 吉祥寺のT氏宅で開かれるSF模型パーティーに出席しようと、気がはやりながらいつもの道を運転していると横からガシャーン!うっかり油断して一時停止を守らないこっちが悪いんだけど、RV車に横からぶつけられて僕のヴィッツはグシャグシャに。なんかボンネットが紙みたいにちぎれて吹き飛んでる。先方はそのまま病院へ、僕はJAFのレッカー車を待って、武蔵野警察まで出頭。ああ、二年ぶりの事故だぁ。当然、この日の夕方から深夜までの予定は全部パーである。


18日(日)
 昨日の事故の件で落ち込んでいたら、以前にメールをいただいたファンの方から返事が来ていた。

昔彼氏のタンスから「くりぃむレモン」のビデオ見つけた話をしました者です。もちろん問いつめました!!他の物の名前は憶えてないのですが、夏物って書いたダンボール箱2個分に同じ様なビデオや本とか、女の子の絵を書いたスケッチブックがぎっしり入っててイヤーッッ!!って思いましたもん〜問いつめたら手がすごく震えてて、引越した事ないくせに引越の時に他人の荷物が紛れ込んだから保管してるとか色々言い出して 最後には友達の北岡君の物を預かってあげてるんだけど人に言っては可哀想だと思ったから嘘ついたんだって言うので、その北岡君がタンスの箱の中見てみろって言ったんだよって話したら 何も言えなくなったみたいで少し涙目で放心状態でした。そんなに知られたくなかったんですかねぇ…?

 ‥‥そんなに知られたくなかったんだよぉ!でも事故のショックがちょっと薄れました。ありがとさん。


19日(月)
 朝から明大前のカイロプラクティックへ。土曜日の事故でどっか体に変調が起きていないか、調べてもらう。「後ろを振り向いて」と言われて初めて気づいたけど、頭が右に回らない!結局、肩や首もずれていたみたいだ。
 いよいよ事務所も模様替え。まず和室の押入をばらして、クローゼット状の空間にする。ここにビデオ棚を組み上げて、和美の席を3階から移動する予定である。物置の設置業者もベランダで作業をはじめて、これから来週一杯まで落ち着かなくなる予定。
 夜は静にせがまれたのでマンガ喫茶へ。もう完全なオタク親子だな。小池一夫原作の時代物などを読みあさる。


20日(祝)
 昨夜から半徹で日記。昼前になってもあがらないし、もうキーボードを見るのもイヤになったので和室で本の整理。今まで3部屋を占領していた本を、一部屋に収めるのでとにかく体積を減らすことを考える。
 これまで何度も蔵書を圧縮してきたことはあるけど、今回は「とにかく三分の一の体積」だから、方針を明確にしなければいけない。まず「マンガ喫茶を前提に考える」とした。
 マンガ喫茶にあるようなマンガは、「全部」売り飛ばす。愛着がある・ないは関係ない。本当に本が好きなら、それを中心とした生活に邁進すべきだ。僕は他にも好きなことがいっぱいあるので、唐沢俊一さんのような「書籍一筋」な生き方はできない。大好きなスティーブン・キングの初版単行本も売り飛ばして、再読したければ文庫版で買い直す、とする。わざわざ買い直したくないような本は、持たなくて良し。
「思い出の本は売り払う」「そのうち読もうと思っていた本は売り払う」「文庫の出ている単行本は未読でも売り払う」
 この新基準によって、残る本というのは「マンガ喫茶にもないようなマイナー漫画」「もう一度買おうと思っても難しいSF小説」「仕事でいますぐ使いそうな資料本」のみとなった。あああ、本が、本がぁぁぁ・・・
 しかしこれからの生涯、まだまだ新刊は出る。古書店だって通う。「好きだ」という理由だけで本を抱え込んでいる無駄は犯せない、と自分に言い聞かせながら、ひたすら本を整理した。
 午後から気を取り直して日記の続き。やっと終えて柳瀬君にメールする。
 和美の新居で家具のレイアウトを相談される。小さい家だから「どんな生活をしたいか」を意識しないと、たちまちモノで溢れてしまうだろう。やっぱり今の日本人にとって「いかに捨てながら暮らすか」は大事なんだろうなぁ


21日(水)
 コンテンツファンド。コメンテーターのオタク好きアイドル内藤陽子が同じ事務所の福岡沙耶歌さんへ。
 セットに「フロン」原稿を持ち込んでチェック。文章の気に入らない部分を直すだけだから、相当に気を抜いてもできる。


22日(木)
 半分徹夜で「フロン」のゲラ作業をしたので、昼まで寝るつもりが起きてしまう。井の頭公園前のカフェが改装中だったのでドトールコーヒーで朝を食べて、またゲラ作業。
 予約していたプチ・メルヴィーユで昼食。ここはランチも三五〇〇円のコースのみ、というフレンチレストランで前日までに予約が必要、という面倒だけどとにかく美味しい。


 そういえば、もう何年も前に潰れてしまったけど、東急デパート裏におじいさんとおばあさん二人でやっていた小さなフレンチレストランがあった。僕はここでフレンチの味を教えてもらったんだと思う。ほとんど毎週のようにランチか夕食を食べに行ったけど、同じものを二回と食べたことがない。
 それまではフレンチなんて高いだけ、と思っていた。でもこの店で「フレンチの美味しさとはなにか」を知り、それで他の店にも行ってみようという気になって見つけたのが、プチ・メルヴィーユなのだ。
 本日のメニューは「前菜:甘海老とホタテのタルタル仕立て」「スープ:蕎麦ゴメと野菜のコンソメ」「魚料理:クエのグリエ」とメインの肉料理にいたるまでにもう美味しくてお腹がいっぱい。それに最近流行りのデザート盛り合わせで、なんか幸せな午後になってしまった。ああ、こんな日は仕事したくないや。
 夜は文春の田中さんと待ち合わせて、井の頭通りの寿司屋へ行く。カウンターのみの小さい店だけど、座ると斜め向かいに佐野史郎が奥さんと子供連れで座っていて驚いた。
 向こうも僕に気付いたらしく、なんか尻が座らなかった。
 食後は喫茶店へ移動して、自伝小説の打ち合わせ。すごく綿密な話し合いができたけど、途中から喉が痛くなってちょっと熱っぽくなる。風邪かなぁ。


23日(金)
 朝、起きてもどうにも熱っぽく喉が痛い。今日は和美宅で僕の荷物運び出しだけど、松原二号に任せて昼まで寝ることにする。
 吉祥寺駅南口のラーメン館で野菜ラーメンを食べて、待ち合わせのルノアールで現代書林・武藤さんと打ち合わせ。今、武藤さんと作っているのは「30才独身女性問題を考える」という語りおろし本と、人生テストを恋愛問題に特化させた本の二冊だ。後者は武藤さんと和美が話し合って進めているので、僕は会議でアイデアを出す、という気楽な立場。いまだかつて経験したことのない楽チンな本作りである。これがいいことなのか悪いことなのか、完成するまではわからない。
 で、「30才独身女性問題本」だけど、ずいぶん前に完成した構成をもとに、今日は「30独身女という現象」について話す。なぜ女性は「30才」という節目に、ものすごくこだわるのか?なぜ「独身=結婚できない」と考えてしまうのか?特に後者は「結婚しない」ではなく「できない」という発想が面白い。単に状況を説明しただけなのに、いつの間にか「能力」や「義務」の話にすり替わっているようだ。
 夕方は和美宅で夕食づくり。引っ越しが間近なので「冷蔵庫の在庫整理」が目的のメニューになってしまう。湯豆腐は、もめんと絹こしを両方使うけど、やはりもめんの方が美味しいかな。野菜炒めは白菜を斜めそぎ切りにチャレンジ。どんどん素材ごとの加熱タイミングが上手くなっているのが自分でも嬉しい。仕上げに片栗粉、それも溶かさなくてもそのまま使えるパウダーを入れると、味付けが薄くてもしっかりオカズになる。和美も静もご飯をお代わりして食べてくれるのが嬉しい。


24日(土)
 海拓舎の原田さんに、「フロン」の後書きとして20枚程度の「現状報告」を書こうとメールで相談。
 現在の家庭問題について、ではどうしたらいいのか?に関しての決定的な答えは難しいけど、少なくとも著者はこのように行動している、という個人的な話を書くことになる。つまりパーソナルな問題から始まった序章に対応して、やはりパーソナルな現状報告というあとがきで終わる、という構成。
 読者が、この個人的な話から自分に引きつけて考える、という方向性だけはキチンと出せたらいいなぁ。


25日(日)
 朝からフロンのゲラチェック。コンテンツファンドの収録片手間にやったときにはあんなにすいすい進んだのに、昨日今日は上がりが少ない。
 夕方、某社に新入社員として入る某氏とお茶。今後、僕の私設間諜として潜り込むことを命ずる。ふふふ。
 今日からオタキング社員の柳瀬くんは「フランス・スペイン美食の旅」に出発。いいなぁ。


26日(月)
「フロン」に関して海拓舎より回答。現在、完成した原稿分量が多いめなのでレイアウトを直して240ページ程度に押さえる予定(現在300ページ程度)。イラストについてはねこぢるYさんから前向きの回答を得て、スケジュールを調整中、とのこと。


27日(火)
 ネッツ東京から連絡があって、修理費用が当初見積の50万よりかさんで80万円前後まで行きそうだ、とのこと。修理費用が車両価格の半額を超えると、保険の特約で車両価格全額の支払を受けることができる。それにより新車登録費用を負担することで新車に取り替えを選択することができるらしい。
 やたっ!今度こそベンツだっ!
 グルメ旅行中の柳瀬くんの日記から抜粋。 

 真ん中がツアーの中心の「菊乃井」村田さん、左が妹尾河童さんで、大阪のイタリアンレストラン、ポンテベッキオの山根さん、で何をしているかというと妹尾さんの持ってきたペン型顕微鏡で塩の結晶を観察中なのです。妹尾さん曰くミネラル分(塩の味を決めてくる)によって結晶の様が変わって、旨い塩は結晶で分かるとのこと。
 また各自が持ってきた携帯間の通話テストもしていたんですが、各国で規格が統一されているヨーロッパでは契約会社もバラバラ。同じバスの中の電話にかけるのも、フランスからドイツの携帯会社に電話して、スペインの電話会社の携帯を呼び出すなんてことに。
 移動時間もこんな風に色々と話の花が咲いたりして、おかげで今朝読んだ仕事のメールのことなんかも一時頭から離れます(笑)

「仕事のメール」?それはオレのことに違いない。くそ。
 夕方、吉祥寺のフリースペースで声優雑誌hm3の鼎談。今回は「サンダーバードの偉い人」・伊藤秀明さんにオタク第一世代話を聞く。僕や唐沢俊一さんはオタクとして第二世代だと思う。なんせすでにアニメ誌やビデオが大学生の時にあったのだから。しかしそんなものがなかった第一世代の人たちは、やっぱり凄いのだ。


28日(水)
 今日から引越。8年間住み慣れた家を離れて、今夜から新居へ、と思ったら新しく買ったベッドの到着が金曜まで遅れるとのこと。しかたなく吉祥寺第一ホテルを二泊とって、今夜からホテル住まいである。
 柳瀬くんの旅行日記を読む。とんでもなくいいもん喰ってやがる。

 小さい村ユージェニーレバンにあるこのミッシェルゲラール。スパや温泉療法の施設を備え、美味しく健康指向の料理も出すという、三ツ星でも一風変わったオーベルジュなのです。
 でも今回の料理もきわめてオーソドックス、でもそのアレンジは見事でした。
 まあ1品目。フォアグラで健康指向というのは無いですが(苦笑)、だって旨いんだもの。食欲にはかないません。普通の甘い仕上げでなく岩塩風味でありながらくどくなく仕込んであります。
 前菜2品目、きのこのクリームソース、ラビオリ添え。きのこの地味とよく合うスープのフォンの加減がたまりません。きのこの食感ももちろん大事にされています。
 次の海老のポワレも古典風に見えつつもソースはあっさり、クリームをほとんど使っていない作りで、身の旨みが引出されてます。
 メインは鳩のロースト。これも普通ならピジョンブラッドの名の通り、深い赤の血が滴るほどの作りになるのでしょうが、ここはあえて火を少し余分に入れて、苦手な人も楽しめる作りに。一方でソースに刻みフォアグラが入るなど、全体としての味の厚みは単なるロースト以上に仕上げるとはさすがです。


 ‥‥ふ、ふざけるなぁっ!柳瀬のくせにナマイキだぞっ!


29日(木)
 今日もホテル住まい。西友で押し入れタンス買ってホームセンターで棚の類を買うと、もう一日が終わってしまった。
 和美の新居で謎の棚を発見。台所の天袋にある棚なんだけど、なぜか取っ手が内側についている。こんな取り付け違い、ぜったいに間違えないはずだ。


「この中にナニか住んでいる」「『うしおととら』のお外道さんみたいな妖怪が住んで、内からドアを閉める」とか和美を驚かせて遊んでいたら「あんたの今住んでるところの方がずっとホラーでしょ」と返されてしまった。そういえば僕の寝泊まりしているオタキング事務所は、数年前に騒がれた「井の頭公園バラバラ殺人事件」の被害者宅である。ああ、こりゃ一本とられました。


30日(金)
 この日のことはナニも思い出したくない。ベッドが金曜に到着、というのは承知していた。しかし午後3時過ぎの予定が6時を過ぎても何も来ない。
(焦燥と苦悶の数時間を略)
 ただいま日本時間21時30分、ようやっとベッドが到着して、会社の三階まで階段であがらず、臨時の応援を営業所から呼び出して、二階のベランダ↓CSアンテナ乗り越えて裏のベランダ↓三階のベランダへ吊り上げ、という信じられない作業の末、全てが終わった。
 もう寝ます。ひ〜


31日(土)
 引越の疲れでバタリと倒れる。柳瀬のグルメ日記はあいかわらず快調だ。

 さて、もう一つ更新が遅れたのに3日目のエルブジの評価が引っかかっていたというのもあります。まず食べたものについて

○小魚のフライ、パエリヤスナック、ノリのカラメルシートなど
○パフリカ風味チップス、ワインビネガーのソースをつけて
○うずらの卵、カラメル包み
○チキンコンソメのコロッケ
○パスタ状コンソメのカルボナーラ
○様々な味のクスクス
○インゲン豆のハム油包み
○ホワイトアスパラ、煮汁のムース添え
○もやしのイカ墨リゾット風
○ココナッツクリームのイカ薄切り包み
○ローズマリーの香りつき、海老のソテー
○いわしのソテー
○うさぎの煮込み
○プレデザート
○遊びとしての香辛料当て
○エルブジ風ティラミス


 量は一口とか言うのが多いし全体三時間強なんで苦しくはなりません。(中略)
 エルブジは枠というかスタイルというのかを壊しまくって?創りまくっています。料理の進行も、品数も、食べ方も(ナイフ、フォークが出てきたのは4品目、それまでは手!)。「料理を食べること」を思いきって主にしてしまっているというのかな。あそこでは女の子を口説けないのは確実(笑)

 ‥‥柳瀬、てめぇ日本に帰ってきたら殺!!

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