岡田斗司夫のオタク日記
2001年05月01日〜05月15日
・1996-2001.Toshio OKADA all right reserved.
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5月 その1


1日(火)

 ホテルのチェックアウトは柳瀬君に任せて、朝イチで新大阪駅へ。可能なら一本早いのぞみに乗り換えようと思ったけど、あいにく都合の良い便がない。予約した便までは一時間もあるので、しかたなく駅構内の喫茶店で「フロン」のゲラ作業。熱中して気が付いたら新幹線発車の4分前だった。超ダッシュでエスカレーターを駆け上がり、なんとか乗り込む。車内ではゲラの続き、と思ったけれどつい新横浜まで眠ってしまった。
 事務所に帰ってひたすらゲラチェック。途中、出前でピザとコーラをとって、それ以外はひたすらゲラ作業で、完成したのが午前1時半。寝る、もう寝る!


2日(水)

 シャワーを浴びてゲラを読み直し、よしっと外出するが、さ、寒い!昨日までの陽気がウソのような寒さ。あわてて事務所へ引き返して上着をはおって、中央線で東京駅へ。柳瀬君にゲラを渡す。ああ、これでこの一年半、オレを苦しめていたフロンも本当に終わったんだ!
 伊勢丹の地下で天然物の大正海老を買って、今日の夕食は海老フライ。なんの工夫もなく、ただ単に背ワタをとって塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてパン粉を軽く、あくまで軽くまぶして揚げる。野菜は春キャベツとニンジンの茹でサラダのみ。あとはキュウリの古漬けを切って、まぁこれでいいや、と食べはじめてから「しまった、シジミの味噌汁も作ればよかった!」と激しく公開する。和美も静も「美味しい」と言ってくれるけど、こうなったらもう自分の口の中は「失われた幻のシジミ味噌汁」を追い求めてしまう。我ながら難儀な性格である。


3日(木)

 ロフトで買い物。チェスセットとバックギャモンを買う。中学生の時、「ボビー・フィッシャーのチェス入門」を読んですっかりチェスが好きになった。将棋とは違ってチェスの入門書は、ほとんどが一手詰め(あと一手でチェックメイトになる状態)の問題集である。飽きっぽい僕には「一手詰め」がちょうどいい。少ない小遣いで安物の磁石式チェスセットを買って、さんざん一人遊びをした。
 今日、買ったセットは競技用の正式サイズなので、昔から憧れていた「親指と人差し指でポーン(歩)を動かしながら、相手のポーンを中指と薬指で取る」という動作ができる。をを、オレってカッコいい!
 今度、新宿のツタヤで『ボビー・フィッシャーを捜して』という映画を借りよう。予告編を見たときから「これはオレのための映画だ」と気になってたんだよな。チェスの駒だけ持ってスターバックスへ行くのもいいな。公園や喫茶店のチェッカー柄のテーブルに、持参した布袋からガラガラと木製の駒を出してチェス、というのが正しいチェスのたしなみである。ナイトが一つなくなっていて、手彫りの代用駒、というのも味があるよなぁ。


4日(金)

 昼食にタコヤキを焼く。薄力粉150グラムに対して水300cc、醤油を小さじ2ハイに卵1個をかき混ぜて、これでタネはオッケー。茹でたタコをぶつ切りにして、ネギと紅生姜をみじん切り、あと揚げ玉(大阪では天カスという。揚げ玉を入れるのはタコヤキの内部温度を上げるため)を用意すれば準備は完了である。余熱済みのタコヤキプレートに油を引いて、タネを一気に流し込んで、タコを一つ一つ落とし入れる。
 素早くネギ、揚げ玉、紅生姜を均等にばらまく頃にはタネの周囲が固まりつつあるので、竹串で周囲のタネを切り離して丸みの中に押し込む。タコヤキの醍醐味、丸みの中に竹串を差し込んでクルッと廻すのは3回も失敗したら誰でもできる。汗が出始めるけど楽しくどんどんクルッを繰り返す。オタフクソースを塗って(ケチャップとウスターソースの混合でも可)、青海苔とゴマを振りかけて食べると、外はカリカリ、中はジュワッでウマ!
 午後からは娘にチェスを教えて、今日はいいパパの一日でした。


5日(土)

 大阪の松山さんから「青春動物園ズウ」の全巻ぞろいが到着。近所の古書店で全16巻が三千円だったそうだけど、安いのか高いのかとっさの判断に困る。小池原作を研究するものとしては安いけど、「面白いマンガを読みたい!」という人にはちょっとあれかも。
「インビジブル」をレンタルして鑑賞。なぜこんな仕事を受けたケビン・ベーコン。
誰か止めてくれる友達やスタッフいなかったのかベーコン。赤外映像や解剖図やCGでベーコンの金玉を死ぬほど鑑賞できたけど、いやそれ以外にも見所満載なんだけど、ここまでくだらなくて見る価値のない映画は久しぶりである。自分で言っといてなんだけど、「見どころ満載だけど見る価値ゼロ」って凄いなぁ。妻や彼女がケビン・ベーコンファンだ、という男性は、ぜひご一緒に鑑賞をお奨め。
 一緒に借りた「デ・ジ・キャラット」2巻の方が百倍知的だった。そういえば以前、大槻ケンヂと対談したときに「透明人間のレイプシーンも実は撮影した、ってバーホーベン監督が言ってましたよ」「え?じゃあ本編ではカットしたの?」「でもDVDには入れたよ、ってウィンクしてた」という話で大爆笑したのを思い出した。
 ゆんたろう氏からのメール。

岡田先生さま、はじめまして。突然のメール恐れ入れます。
本日TV(関西ローカル)を見ていたところ、合気道の道場に越前屋俵太さんが取材に行っていました。そこで師匠が弟子の手首をギュッと握って、握られた弟子はなんぼ力を入れても反撃出来ないという図があったのですが、それを見た越前屋さんが 
「バビル二世とヨミの戦いみたいですねぇ」
とツッコんでいました。
しょうもない事ですが、何故かどうしても岡田先生に報告したくてホムペまで来てしまいました。すみませんでした;ごきげんよう。


6日(日)

 カバヤの「ダイノワールド」という食玩を買う。スーパーのお菓子コーナーで売っているガム付きの着色済み恐竜フィギュアだけど、出来がすごくいい。25年前に大英博物館で買った恐竜フィギュアと並べると、当時と今の恐竜学の知見の差がわかって面白い。
 なんといってもこの25年で恐竜学最大の進歩は「恐竜温血説」だろう。それまでヘビやトカゲなど爬虫類と同じ冷血動物と思われていた恐竜は、爬虫類特有ののんびりした動きの愚鈍な生物と考えられていた。しかしデート博物館R・バッカー博士が唱えた恐竜温血説で恐竜の復元像も激変する。


 写真1は25年前に大英博物館で買ったティラノサウルスの模型だ。ご覧の通り尻尾が地面まで垂れ下がって、首は上を向いている。しかし最新の学説によるダイノワールドのフィギュアでは写真2のとおり尻尾は水平に伸び、首も前へ伸びている。後肢のつけねあたりを重心にして体全体が水平になっているのだ。


 写真3のイグアノドンも同様。写真4のダイノワールド版では尻尾が水平になっている。
 恐竜フィギュアの新旧を並べるだけで恐竜学説の移り変わりが実感できるんだから、楽しいなぁ。


7日(月)

 ゲイナー誌の取材。初の「フロン」についての取材である。女性向けの育児本である「フロン」を男性誌向けに説明すると、「これからは俺たちって家庭では不要の存在になるんだけど、どうする?」ってことになる。ビジュアルとしては『岡田斗司夫の優雅なシングルアゲイン生活』という雰囲気になるみたい。
 海拓舎の原田社長らが来て「フロン」の宣伝展開を会議。イベントを強く希望する。表紙のラフがあがったけど、なかなかイイかんじ。


 夕食は和美宅で当番。「ジャガイモとタマネギが大量に余っている」と連絡を受けたので、得意のホームポテトを作る。大きめの賽の目切りしたジャガイモをゆっくりと炒めて、タマネギとベーコンを炒めたのと混ぜ合わせて塩コショウで味付け、というだけのシンプル料理である。鶏肉とピーマンの炒め煮をメインにして下準備からはじめて1時間で完成。ああ、オレも手際が良くなったなぁ。
 夕食後は、また静にチェスを教える。序盤の陣形に関しては相当にカンを掴んだと見えて、気を抜くと負けそうになる。1ゲームあたり、まだ二回ほどは「ほら、そうするとこっちのビショップがクイーンを取るよ」とかやり直しを入れるけど、あと10ゲームもすると本気で勝負できるだろう。いかん、書庫から『ボビー・フィッシャーのチェス入門』を掘り出さねば。


8日(火)

 今日は月刊ニュータイプの発売日。連載再開したファイブスター物語の展開が気になって朝から書店へ走った。待ちきれなくて事務所へ向かう路上でページをめくる。ああ、でもロボット戦争は早くても来月みたいだなぁ。
 朝から「劇場版クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」のレビューを書く。とにかくこの映画に関しては語りたいことが満載なのでまとめるのに一苦労。
 夕方、打ち合わせに来た水谷さんにも「オトナ帝国」のすばらしさを力説。水谷さんは今度の木曜に見に行くという。「38才の女性と行くんです」「じゃあ、終わった後で耳元で『やっぱり家族っていいですね』って囁いていぢめてやれ」とけしかける。
 朝から鼻水が止まらない。鼻風邪をひいたらしい。


9日(水)

 今週で終わりなので、もう一度「オトナ帝国の逆襲」を見に行く。ひろしが洗脳から目覚めるシーンの演技や、ミゼットが停まってからひろしが飛び出すまでの微妙な間などの演出を堪能。ああ、ええのう。しかし映画中も咳が止まらなくて困った。
 オタキング事務所がある建物内の賃貸物件に空きがでたので、すぐに押さえる。6畳一間で7万は高いと思うけど、事務所からあふれ出す資料やコレクションを収納するスペースが絶対に必要なのでいたしかたなし。ケチの僕は「月7万ということは、一年で84万、5年で420万」とか無駄な計算をしてすでに金を失った気になっている。バカである。


10日(木)

 不動産契約のために実印と印鑑証明を用意する。練馬区役所へ運転中も鼻水と咳がとまらず、ちょっと難儀。
 月刊「噂の真相」で自分についてのゴシップ記事を読む。先月、取材を受けたときにも「具体的なネタがなくて」とこぼされたぐらいだから、まぁこういう風聞中心の内容でも仕方ないか。この雑誌は自分のメジャー度を測る尺度としても使える。書き出しから「岡田斗司夫、といっても知らない人が多いだろうが」などと書かれると、まだマイナーな証拠。しかし今回のように「岡田斗司夫が○○したらしい。真相は?」というのは、ある程度はメジャーな対象に使う手法だろう。つまり、うへへ、オレもメジャーになってきたのう。


11日(金)

 朝から銀座の天賞堂で鉄道模型を見る。事務所内にOゲージのレールをひきたいと考えてるんだけど、車両が高い。今年はベンツ買っちゃったから、「フロン」がバカ売れでもしない限り手が出せそうにない。やっぱ鉄道模型はお金持ちのホビーなんだよなぁ。
 昼食は銀座4丁目交差点の英記茶荘でランチの炒飯をたのんだけど、これが醤油で真っ黒。美味しいけどなかなかチャレンジャブルな食事であった。
 茗荷谷のオンライン書店「bk1」の名物店長・安藤さんと「フロン」の対談。bk1で「フロン」を購入してくれたお客さんには、単行本に入らなかった原稿のデジタルデータをプレゼント、という企画を持ちかける。対談後、海拓舎の中野さんと「フロン」発売記念イベントの相談。
 夕方、武蔵関駅前で眠田直氏と待ち合わせて、「狼女の香り」のビデオを渡す。英国の片田舎で開かれたスタートレックファンの大会での殺人事件、というその道の人たちにはたまらない内容である。喫茶店で眠田さんとまたもや「オトナ帝国」話。


12日(土)

 知り合いからメールで教えられて、すぐコンビニに走る。少年チャンピオンで新連載の「エイケン」というマンガが凄い。バスト111センチHカップの超乳小学生がウドンを踏んで乳を揺らしていた。これをバカ、ということばだけであらわすのはモノカキとしての沽券にかかわる。バーホーベン監督を「変態」の一言ですませるのと同じ、知的怠慢だ。でもなぁ、111センチHカップの超乳小学生かぁ。バカだよなぁ。


14日(月)

 午後から銀座ファゼンダでhm3の鼎談があるので、一足早く銀座入りしてランチを食べる。名前を忘れたけど松坂屋近くのタイ料理店でバイキング形式。これが美味い!また行こうっと。
 対談現場に用意されていたのはご覧の通りの貧弱なパン類。


 先に食事を済ませたのは大正解であった。
 鼎談相手は声優の「かないみか」嬢。しかし鼎談とか対談という形式に慣れていないらしく、インタビューのような話にしかならない。おまけにかないさん、途中から雑誌を読み出したものだから、僕も相当にカチンと来てしまった。お前は仕事中に雑誌読むかぁ!?この時点で僕もやる気を失いかけたけど、もう一人の鼎談メンバー・山本弘氏がかない嬢の大ファンだったので、なんとか形になる。かないさんも山本氏の熱意に答えるように、徐々に盛り上がってきたので、まぁ良かった。
 しかし終了後、今度はかないさんのマネージャー氏から「岡田さん、モノマガジンで日記を連載されていますよね?もし今日のことを書かれるんでしたら、事前に原稿をチェックさせてください」と言われる。なんでまたオレの日記を他人に事前チェックされなきゃならんの?もちろん丁重にお断りするつもりだったけど、「それでは困る」
とか言われたもんでまたもやカチンときて、相当につっけんどんに断ってしまった。
 帰りに吉祥寺のディスク・インで「20世紀SF映画大全」と「BLOOD・THE LAST VAMPIRE」の初回限定版を買う。


15日(火)

 明け方、相当に変な寝言を口走っていたそうだ。
「この家の階段は引き出しになっていて、中に千両箱が入ってる」
「とんがり山には、まつぼっくりの機関車で帰る。でも弁当箱は忘れてはいけない」
「インド人の弁当箱はなんでも燃やしてあたためる。虫も燃やすから集めてくれ」
「蝶々のピストルは危ない。百発百中だから避けられない。蝶々のピストルに気をつけろ!」
いやだから、僕に意味を聞かないでってば。


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