岡田斗司夫のオタク日記
2001年06月01日〜06月15日
・1996-2001.Toshio OKADA all right reserved.
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6月 その1


1日(金)

 大阪に帰省の予定だったけど、娘の風邪が治らないので中止。火曜から吐いて寝るを繰り返している。今日は小学校の開校記念日だったので、大阪のユニバーサルスタジオへ行こう、と計画していたけどこれもキャンセル。それでも水曜あたりに比べると格段に顔色は良くなってる。夕食にお好み焼きを焼いて、春キャベツを食べさせたら一枚まるまる食べてしまった。ようやっと治ってきたかぁ。


2日(土)

 娘の食欲も戻ったみたいなので昼食は焼きそば。あ、ラード買うの忘れたからサラダ油でいいや、と思ったけど思ったようにコクが出ない。今度は隠し味にミンチ肉とラードを忘れないようにしようっと。夕方から事務所で自分の時間。ふと気が向いて昔、自分の出たTV番組を見直す。でも恥ずかしいのですぐにビデオを止めた。早い目にベッドに入ってあれこれと恋愛などについて考える。


3日(日)

 疲れがどっと出て動けず。ほとんど一日中、ベッドから出られないで寝ていた。夜、ビデオ屋で「トイストーリー2」「アンドリュー」を借りてきて見る。「トイストーリー」はディズニーアニメとは思えぬほど面白かった。「アンドリュー」は……アイザック・アシモフ原作の「二百周年の男」がなんで単なるエロ話になるかね?あと、やっぱり「未来世界」を絵的に見せるってどうしても「空飛ぶ車」ださなくちゃダメなの?


4日(月)

 bk1の安藤店長から、「フロン」の出荷数が100冊を越えたというメールが来る。あわててサイトを見に行くとなんと売り上げ総合で二位!ノンフィクションでは第一位となっていた。




5日(火)

 巣鴨のとげぬき地蔵へカレーうどん食べにいくも、あいにく古奈屋は振り替え休日で休み。


「年寄りのテーマパーク」「婆さんの原宿」と言われるだけあって、店頭には素敵すぎる商品が並んでいた。




 境内では「占いを越えた人生アドバイス」なるテントが繁盛していたけど、この料金表も素晴らしい。
「恋愛3000円」
 なにか人生に大切な、素敵なサムシングを教えてくれるフレーズだ。「恋愛3000円」


 大阪から来たNさんと南口のカフェへ。彼女の母親は昔、僕の両親の経営していた「おかだ刺繍」に勤めていたので、その頃の話を聞かせてもらうためだ。
「壁から赤い柱」「占い師にウン十万円」「Nさんがうちで働いてると隕石が落ちてくるから辞めてくれ」など新興宗教にはまっていた当時の母親の痛すぎる話を聞かせていただく。
 堤満莉子さんをお好み焼きに誘うも、また「きっちょむ」は休業。しかたなく最近お気に入りの「半蔵」で柳瀬くんを含めた三人で日本酒飲みながら「フロン」の感想を聞いてそのまま恋愛論へ。
途中、堤さんからものすごくいい問題提起をもらう。
「私はいままでの生き方を後悔していないし、仕事だってやりがいがあって面白い。でも最近、出産を終えて赤ん坊を抱いているかつての友人を見てしまうと、なぜか『私、どこで道を間違えたの?』と思ってしまう。誤解して欲しくないけど別に結婚したいわけでも子どもが欲しいわけでもない。でも、それじゃこの私の気持ちはいったい何なんでしょう?」
 面白い!これ、メチャクチャ使えるよ!彼女が言ってるのは「出産をしていない女性」ならあるていど普遍的に持っている「漠然とした不安感」だと思う。そういうこと考えるの得意だからまかせてちょ!


6日(水)

 「未来玩具」の打ち合わせで、デザイナーの水谷さるころからイイ話を聞いた。さるちゃんが取材で「ネットアイドル大集合」というイベントに行ったところ、ネットアイドルが50人も来たのに、それに対するお客さんというかファンが100人しか来なかったそうだ。まさにネットアイドル大安売り状態。「ネットアイドルと直接、ふたりっきりでお話しできる」という2ショットタイムもキャンセル客続出、というなんだか痛いイベントだなぁ。
 「フロン」に関して酒井冬雪さんが「理系のための恋愛論 第32回 高級車が来たら、つい乗り換えてしまうの法則」という形で紹介してくれている。
(http://pcweb.mycom.co.jp/column/rikei.html)

○もし、自分が現在つき合ってる恋人よりも、美人(ハンサム)で、高学歴で、高収入な人が好意をしめしてくれたら、恋人と別れてその人のところに走りますか?
 という質問を、男性と女性に投げかけたわけなのですが、結果はどうでしたでしょう。男性の9割が「そんなことで目がくらんだりしない。今の彼女とつきあい続ける」と答えたのに対して、8割弱の女性が「今の彼と別れて次の人と付き合ってみる」と回答したのです。

 これに関してある掲示板で見事な反論を見た。女性にとって前記三つの項目はたしかに「いい男」の条件になるけど、男性にとって「いい女」とは「美人で、高学歴で、高収入な人」ではない。高学歴・高収入は条件の足を引っ張りかねない逆要素ではないか?この違いを考慮せず数字だけ比べるのは、とても「理系のための」とは言えない。
 酒井さんのコラムはすごく面白くて、みのうらさんも絶賛していたそうだけど、やはり酒井さんもみのうらさんも軍人タイプの女性だから「美人(ハンサム)で、高学歴で、高収入な人」という軍人的なポイントの高さを無意識のうちに「みんな、それがいいと思うはず」と判断しちゃうんだろうなぁ。
 僕のHP内に設置した「フロン書評・感想リンク集」について柳瀬くんと相談。「みんな、ビビってますよ、著者に見つけられてリンク張られるなんて予想してないから」「ん〜、じゃあ期間限定、ということにしよっか」ということで、七月一杯ぐらいまでリンク集は続けています。
 ネットをいろいろ見て回ると、昨夜いっしょに呑んだ堤さんの日記が更新されていた。

 岡田さんにアタシの恋愛観、結婚観の欠点をビシビシと指摘され、大いに落ち込む。どんなに頑張ってみても岡田さんに却下されるだけだったのだが、本当に、ひとりの人をずーっと愛し続けることは不可能なんだろうか。それができないのなら、じゃあなんで人は結婚するんだろう。「ツツミさん、そんなの幻想幻想」と笑われてしまったが、うらんがアタシに向けるような愛情を、男と女の関係に求めるなどというのはナンセンスなのか。目的意識とか役割分担とかリーダーの設定とか、「家庭」を築くためにはいろんな取り決めが必要らしい。それも確かに必要なことだと思うんだけど、その前に大前提となるものがいるんじゃないか?・・・などと、おセンチになってしまうんですが、岡田さん、アタシはやっぱお子ちゃまでしょうか、いい年こいて(笑)。

 では聞かれたから答えてあげよう。

「ひとりの人をずーっと愛し続けることは不可能」なんて僕は言ってないぞ。「それを堤さんが決意して実行するのは美しいと思う。だからといって相手にも『だからあなたも私しか見ないで』と要求するのはムチャ」って言っただけ。これ、何回も確認したはずだけど、さては酔っぱらって聞いてなかったな?「目的意識とか役割分担とかリーダーの設定」というのはすべて「『育児の現場である家庭』に必要」って僕、書いてたでしょ?男と女の関係に必要、とか一言も言ってないよ〜。

 結論:もう、マリコったら恋に恋する乙女なんだから!


7日(木)

 気圧が低くて全然体がうごかない。ヒィヒィ泣きながらやっと昼前に日記をアップ。僕はこれで終わりだけど柳瀬くんの地獄は今から始まるのだ。すまん。
 久しぶりに駅ビル・ロンロン内の本屋へ。ここには「フロン」が15冊入荷していたのだけど、おとついは8冊になっていた。さて、今日は、とのぞいてみると新刊平積み台から消えている。見上げると目の前の棚に2冊だけ刺さっていた。
 さて、これは「売れた」のか「売れが止まったから棚差しに移動した」のか。いやいや、答えはわかっているけど、ちょっと悩んでみたいお年頃。
 夜、タコ焼きを食べながらフと気になる。まさか……あ、やっぱり手塚治虫文化賞のパーティーは今夜だったか。行くの忘れちった。


8日(金)

 午前中に武藤さん相手に「30独身女」の口述。いちおう、全部終わったはずだけど今回は追加テーマの「なぜ私は赤ん坊を抱いている友人を前にすると、心に陰が走るのか」問題を解説する。このあたり同じ女性同士でも、やれ「やっぱり結婚したいのか」「出産して初めて一人前」みたいな話になってしまう。ダメだ、それじゃ。もっと本質的な位置から考えないとこの問題は見えてこない。これは男女ともに分かち合える本質的な現代疾患なのだ。
 午後から「フィギュア王」と「通販生活」の取材。「通販生活」は少子化対策というテーマなので「離婚率を下げて子どもを増やそう、というのが間違っている。むしろ離婚率が上がって、シングルマザーやパラサイトシングル女性でも気兼ねなく育児できるシステム・法整備が出生率を上げる」と話す。こういう「少子化問題」はどうしても「健全な家庭」みたいな保守的言論と対になって語られてしまうからタチがわるい。少子化が問題なら、それのみを突破せよ。


9日(土)

 娘と和美を吉祥寺に送って、昼食は三鷹のシズラーでハンバーガーを食べる。
 午後から事務所で「30独身女」の原稿書き。ひたすら仕事して、夕食を買いに出たついでにビデオ屋で「アンツ」を借りる。


10日(日)

 資料本の整理と本読み。とにかく目を通すだけでも、と読みまくる。以前に永江朗の「不良少年のための読書術」に書いてあった読書法、すなわち「面白くなくなってきたらすぐに読むのをやめる」という方法で、10冊ほどこなした。この方式は以前から僕が映画でやってる方法で、ロードショー観で見始めて、つまらなくなったら即座に席をたつ。まわりの客は驚くけどダレ場だから誰も怒らない。
「アンツ」、めちゃくちゃ面白い。先週見た「トイストーリー2」といい、それに比べて日本のCGアニメはなんで。


11日(月)

 モノマガジンの取材で新潟県の妙高サンシャインパークへ。額田さんと吉祥寺で待ち合わせして、関越自動車道を3時間以上走り、やっと目的地に着く。途中で雨が降り出したのでどうなるかと思えば、ちょうど取材開始した時点で止んでくれた。今日の取材は逆バンジージャンプ。「人間が空を飛ぶ感覚とは?」というテーマで、二回連続で打ち上げてもらう。額田さんは一度で「いや、もう充分です」と乗らなくなってしまった。
 帰りの高速は霧が深く視界が20メートル程度。この速度では本当に一瞬先の地面しか見えない。
 なんとか和美宅での夕食に間に合い、カレーを食べる。静と「ベイブ」をいっしょに見て、それから寝る。腰が痛い。


12日(火)

 昨日の長距離ドライブと逆バンジーの衝撃で腰が痛い。なんとか昼前に起きあがるけど「オタクの歩き方」出来ないまま事務所へ。柳瀬くんが「唐沢俊一さんのお父さんが亡くなったそうです。今日のロフト収録、いけないそうですけどどうしますか?」というけど、もうどうしようもないのでそのまま新宿のロフトプラスワンへ。眠田さんとなんとか30分×2本の収録をこなす。放映時には15分×2になってるから大丈夫だろう。
 収録後、読売ウィークリーの鈴木さんと打ち合わせ。「フロン」の展開で来週の読者集会を取材してもらうことにする。鈴木さん、次回作の「30独身女、どうよ?」にすごく興味ありそう。
 閉店間際の吉祥寺パルコブックセンターで芸術新潮その他を買い物。その後、Tゾーンふと気が向いて「タイピングロックンロールソフト「タイピング横浜銀蠅 仏恥義理」を買ってしまう。箱の裏には「落ちこぼれ上等!タイピングなんて、人より上手じゃなくていい。ただ、あきらめてほしくない。やればできるんだってことを、もう一度思い出してほしい」とある「夜露四苦」(よろしく)、「破麗破麗」(バリバリ)、、、銀蠅流「銀ばる語」で猛特訓だ。・・だそうである。
 新録した「ホームポジションRock'nRoll」「尻取りRock'nRoll(タイピング編)」のリズムに合わせていつのまにか僕も・・と妄想。


13日(水)

 新宿タカシマヤのパパスカフェで朝食を摂ってから、新橋の芝スタジオへ「コンテンツファンド」の収録。唐沢さんが来ていたのに驚く。「お葬式、いいんですか?」「いや明日の朝、帰るから」とのこと。プロだよなぁ。
 いつもの2本撮りにプラスして、今日は一度に3本撮り。僕なんかより遙かに忙しいはずの唐沢さん、ちゃんと話数ごとに帽子とジャケットを替えていた。僕なんかずっと同じTシャツなのに。プロだよな、いや、ダンディなんだな、この人は。


14日(木)

 溜まっていたメールの返事を少し書いて(なんと3月分をまだ出していない!)、和美と「恋愛の取り説」の打ち合わせ。「王様女が職人男にアプローチする手法」「やってはいけないこと」「危険サインと回避法」「別れるための準備」など、とにかく細かく場合分けして恋愛のマニュアルを作り続けている。既存の恋愛論のダメなところは「恋はマニュアルではない」といった思考停止的フレーズを盲信しているところ。
 もちろん「恋はマニュアルだけ」ではない。断じてない。しかし「恋にマニュアルは絶対に不要」か、といえばそうではないだろう。恋愛といえども人間関係のバリエーションである限りは、そこには技術もあれば修練もある。しかしまた「恋愛のマニュアル本」を自認してるような本と言えば、これまた単に「ナンパマニュアル」であることが多いんだよな。ナンパからはじまる恋もあるだろうけどさ、恋愛の技術とナンパとは違うのだよ。


15日(金)

 「フロン」に関する書評や感想をネットで検索する。その中でも気になったのが「オレたちイマドキの男性は、家事も手伝うし女性には優しいよ」という反論。
 ちょっと反論しよう。
 おたく男子は、よくこういう主張をする。「世間の男(または旧世代の男)はともかく、オレは女性差別なんかしないよ」
 彼本人が性差別をしない、と言うのはまことに結構。しかしだからといって、いま現に女性が受けている社会的圧力がなくなるわけではない。「オレは関係ない」って言っても、誰もお前のことなんか語ってないんじゃあ!この社会ではこうなっている」と一般論を語っているときに「でもオレは違うもんね」というのは反論足り得ない。「オレの周りは違う。俺たちの世代は関係ない」って言うんだったら、お前の世代の女性はフロン的悩みを持ってないとでも言うのか?
 結局、こういう反論は「私(たち)は加害者ではない」と言いたいばっかりに「そんな問題は存在しない」と目をつぶる行為でしかありえない。あああああ、ここはあえて反フェミ的・反おかまエンジン的に叫ばせてもらおう。
「なんて男らしくない野郎どもだ!」

 午後から現代書林の武藤さんが営業氏を連れてくる。「30独身女、どうよ?」と「恋愛の取り説」の営業・宣伝展開を相談。仮想読者ターゲットを「書店員」にする、という実験を提案。
 週刊文春の「フロン」取材。インタビュアーの女性相手に「なぜ今、イイ男がいないのか」を語る。



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