岡田斗司夫のオタク日記
2001年07月01日〜07月15日
・1996-2001.Toshio OKADA all right reserved.
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7月 その1


1日(日)

 今日は43歳の誕生日。和美と静が「手作りの誕生日パーティー」をしてくれるので、夕方までの時間に額田氏と世間話。最近の出版界の動向、とかいうとどうしても貧乏くさい話が中心になるのでちょっとゴシップぽい話題など。
 オンライン書店「bk1」からブリーダープログラム売上げ報告が来た。集計期間は6月1日から1ヶ月で、

 ●売上冊数合計: 57冊

 ●売上金額合計(税抜き):91252円

 うーん、これが多いのか少ないのかよくわかんないや。「フロン」他数冊しかリンク貼ってないから、それを思えば立派なんだろうけどね。
 夕方、和美宅へ行くと見慣れたリビングのど真ん中に見慣れぬ大テーブルの上にご馳走の山、それも巨大テーブルクロス付き!をを、なんて豪華なんだ!とよくよく見ればこれはカーテンではないか。ご馳走も僕の好きなスナック菓子を中心に、なんか「子供お楽しみ会」みたいなメニューである。うーん、これぞ僕の望んでいた「手作りパーティー」だな。


2日(月)

 朝からみのうらさんとのぶさん来社。彼らの同人誌に使う資料を掘り出すためだけど、あいかわらずみのうら嬢の毒舌冴えまくりで相方のぶさんの「よしなさいって」というツッコミも円熟の域に入ってきた。いやぁお似合いですヨ!
 午後から読売ウィークリーの鈴木さんら来社。「フロン」に関する取材。「なぜ父親は必要ないのか」「やはり家族は一つ屋根の下で暮らしてこそ」などの話に対して、フロンで書いた内容プラスαで答える。


3日(火)

 現代書林の武藤さん来社。4タイプ×4タイプ=16通りの組み合わせパターンの恋愛相性に関して。しかし話は途中からコミケで売る同人誌と書店に配る小冊子を兼用する話へ流れて、そのスケジュール会議になってしまう。途中から出席した柳瀬くんが「また仕事増やしたんですね」と溜息をついた。
 ゲームボーイアドバンス版「ぼくは航空管制官」を購入。



4日(水)

 毎日新聞の内藤記者から「フロン」に関しての取材。「家族問題について考えはじめたキッカケは?」「家族の定義とは?」「父親のリストラという提案に反発はないのか」などという質問に、やはりフロンの内容紹介という形で答える。
 午後から銀座のファゼンダでhm3誌の鼎談。今回のゲストはあの名作「劇場版クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ大人帝国の逆襲」の原監督である。僕も山本氏もこの映画の熱狂的ファン、というより布教者なので鼎談というよりは「いかに作ったのか」というメイキング的かつ監督の内面話になってしまう。あ〜面白かった。


5日(木)

 ホテルニューオタニで、おすぎ師匠と「婦人公論」の対談。どうしても「おすぎ師匠の持論を拝聴する」という形になってしまうのはやはり貫禄の違いだろうか。
 ニューオータニのティールームで柳瀬くんお薦めのチョコレート・ケーキを食べる。さすがに旨かった。



6日(金)

 大阪での「フロン読者会イベント」で始発ののぞみで大阪へ。車中で「月をめざした二人の科学者」を読む。


 アポロ計画の立役者フォン・ブラウンに関しては小学校の頃から伝記とかで知っていたけど、ソビエト連邦のロケット科学者・コリョロフに関してここまでまとまった資料を読んだのははじめて。「アポロの勝利はシステム工学の勝利だ」と当時の新聞記事にはよく書かれていて、まだ中学生だった僕にはよく理解できなかった。でも「なぜソビエトは初期の宇宙開発でリードできたのか」「なぜアメリカは宇宙開発に勝利できたのか」がコロリョフ側の視点を交えて書いているのでイヤでもわかってしまう。そう、独裁国家では決済も早いけど指揮系統は安定しない。民主国家では決済は遅いが民間の自由競争が国家利益を支える、か。あー、このあたり書き出すと書評になっちゃうからここまでね。
 心斎橋駅前のイベント会場で「フロン」の女性読者のみを対象としたトークイベント。昼の部は主婦、夜の部はOLという違いはあれど、基本的に話す内容は同じ。やっぱり女性にとって「男性にはオンリーユー・フォーエバー信仰は存在しない」というのは相当にショックだったみたいだ。
「いままで謎だった彼の行動にすべて説明がつきました」
「あと2年早く知っていれば」
 などという話を聞いて大納得。
 途中の休み時間にどうしても鰻が食べたくなって地下食堂街に走るも、今日は宴会で貸し切り。あ〜、食べられないとなったら余計に食べたい!
 夜は日航ホテル大阪で日記の原稿書き。とほほ。


7日(土)

 帰りの新幹線で「月を〜」読了。車内販売で鰻弁当を食べるけど、なんか昨日からの「鰻喰いたい熱」が下がらない。
 土曜は額田さんが遊びに来る予定だったのでPS2の『蚊』を準備していたけど来れなくなったというメールを発見。原因は不明。しかたなく一人ではじめるけど、なんか一発ネタをえんえんとやらされている雰囲気。なにが悲しゅうてスダレ頭のオヤジの血を吸わにゃならんの?


 レンタル屋で『ダイナソー』『サウスパーク吹き替え版』『ダークエンジェル予告編』を借りてみる。ダイナソーは「間違った『野生の王国』」という印象。とにかく開幕20分の映像はすごいから、ディズニー嫌いの人も見た方がいい。あ、プテラノドンが羽ばたくのも間違いだけど。
 僕の映画鑑賞法は「最初から見て、面白くなくなったところでやめる」だけど、これ、いいですよ。時間の節約にもなるし。サウスパークは3分でやめた。面白くないんじゃなくて、吹き替えの大阪弁が下手で聞くに耐えない。TV放映時の声優にこだわって映画版の吹き替えに反対してる人もいるらしいけど、この大阪弁吹き替えはそういうレベルの問題ではない。ただ単にヘタ。来週、あらためて字幕版を借りようっと。
 本編は全て貸し出し中だったので、しかたなく見たダークエンジェル予告編だけど、ソフト分数だけは長いのに面白いのかどうか見当がつかない。なにやらヤな予感。


8日(日)

「未来玩具」の原稿執筆だけど、なんか疲れている。そろそろ鬱がはじまったらしい。今度の火曜に取材にいくラーメン博物館の資料を読むけど、読みながら寝て本を落としてしまう。
 通販で申し込んだパソコン版「ぼくは航空管制官」が来たのでインストールするけどプレイする気にならず。



9日(月)

 朝、和美が娘を連れてくる。「目が痛い」と言い出したので医者に連れていってくれ、とのこと。吉祥寺駅前の眼科医で「モノモライの初期だろう」という診断を受けて、そのまま小学校に連れていく。大阪での小学校乱入殺人事件以来、小学校は厳戒態勢に入っているので遅刻の時は保護者が受付で申請して教室まで連れて行かなくてはならない。いつまでもこんな体制が続けられるわけないんだよな。久しぶりにちょっと和美とケンカになり、その後で長い話し合い。
 ニュータイプ誌を買ってファイブスター物語を読む。もっと描けよ、作者!
 夕方、和美宅で巨大ハンバーグを作る。付け合わせの「野菜のバター煮」が評判良し。食後に静とチェス。本気で打たないと負けるどころか、本気で打ってもときどき負ける。


10日(火)

「未来玩具」の打ち合わせでさるちゃんを待っていたけどキャンセルの連絡。急病で入院したらしい。何事か?
 午後から新横浜ラーメン博物館へ取材。関係者口から入れてもらうのもウキウキ気分だ。


一番の収穫は2階のマイト街端にあるクラブ「ノアノア」が、実際に人が入れるようになっているスタッフ専用の隠し部屋だ、というのを知ったこと。近くのバー「35ノット」から出前もとれるし、窓のカーテンを開けると町の全景を見下ろすことができる。お客さんたちを見下ろしながらこの店でしみじみ飲むのは、最高のぜいたくかもしれない。


 なんで僕はこんなにラー博が好きなんだろう?なぜ、ラーメンは昭和三十年代の町が合うのだろうか?
 懐かしいから、だけでは答えにならない 若い人達にとってこの町は、剣と魔法のファンタジー世界と同様、異世界の一つでしかない。そんなたくさんある架空世界の中で、なぜ、昭和三十三年なのか?
 全てのヒントはたぶん、そこに「正しい貧しさ」があるからだと思う。
 確かに、現在でも貧しい人はいる。が、あの時代特有の、誰もが貧しく、貧しいのが当たり前だった時代。少しのぜいたくで、大きな幸せを得られた時代。貧しいからこそ、まわりの人達と力をあわさねば生きていけなかった時代。「古いから懐かしい」とか「貧しいから懐かしい」ではなくて、そんな「正しさ」みたいなものが僕らには眩しくて、だから「懐かしさ」という外套を着せて憧れずにはいられないんだろうな。
 ラーメンには「貧しさ」がよく似合う。
 フレンチのフルコース・ディナーには蝶ネクタイの給仕のサービス。「見ただけでお腹一杯」とかよく言うではないか。ラーメンは、それと対極だ。「見ただけで、お腹が空く」というのは、貧しさや空腹感を装って楽しむ食べ物なんだろうな。
 スープには脂がたっぷり入っていて、上には野菜やお肉の具がたっぷり乗っている。貧しい町の最高のぜいたく。それがラーメン。だからあの町にいると、ラーメンが食べたくなるのだろう。
 場内のバーで「額田さんは今、アメリカへ行ってるらしい」という噂を聞く。
 帰りは奮発してタクシーに乗せてもらった。いやぁ寝る寝る。やっぱり鬱だからねぇ。


11日(水)

 元木さんに額田氏の消息を尋ねる。「家族との沖縄旅行をキャンセルして行ったそうですよ」ひぇ〜!
 武藤さんと単行本の打ち合わせ。そういえばまだ書名も決めてなかった。どうしよう?
 夕方、朝日新聞の取材を受けて、和美宅で静とチェス。二勝一敗。


12日(木)

 朝から和美と一日話し。あんなにいつも話してるのに、まだまだお互いに知らない一面がある。夕食は三越裏の「一鐵」でヒレステーキと海鮮焼き。その後、ルノアールでR社の人たちとポータルサイト絡みの話をして、事務所でHP用の「百問百答」「フロンFAQ」などを書く。今回の鬱は寝て過ごすわけにはいかない。


13日(金)

 午前中、和美との話が一段落したので、ついに念願の鰻を食べに行く。大阪からこっち、ずっと食べたかった三越地下の鰻屋だけど、胃がすっかり弱ったためか以前ほど美味しくない。たこ焼きをお土産に買って事務所で柳瀬君と食べる。
 夕方、柳瀬くんと和美宅でパソコン環境の整備。しかし事後、会社への接続ができないことが発覚。柳瀬くんとしては会社側の設定でなんとかなるだろうと思ったらしいけど、その当ても外れ。MacではCATV経由のインターネット接続と、ISDNを経由した会社ネットワークへの接続が同時に出来ないらしい。いっそのこと、全ての環境をウィンドウズで組み直すか、とかも考えたけど、いまそんなに金と時間のかかる変更は避けたい。
「和美Mac→ISDN→会社→ADSL→インターネット」という方法でしのぐことに決定。
 夕食は肉追加のタダ券があったので、木曽路でしゃぶしゃぶ。その後、こないだから約束していたとおり、静をマンガ喫茶へ連れていってやる。


14日(土)

 事務所で「アリーmyラブ」の2〜3話を和美と見る。海外ドラマを系統だって見るのは何年ぶりか、なかなか新鮮である。
 昼は静にキムチ炒飯を教える。「炒めものの基本は、全ての素材・調味料を手元に準備すること」「中華鍋の振り方」などを教える。鬱がまだ残っているので昼寝して、夕食は麻婆茄子、竜田揚げとしじみ味噌汁。「お父さんが作るとオカズが多い」と静は言うけど、僕がいないときにこの家族は何を喰っているのだろうか?


15日(日)

 ようやっと鬱が明けるけど、昨日までの疲れか下痢がひどい。パソコン版の「ぼくは航空管制官」にハマる。
 字幕版の「サウスパーク」を見る。まぁ面白いけど、なんか権力批判というかサヨクっぽい薄っぺらなメッセージが全体のレベルを下げている。「カゲキぶりっこ」が鼻につく感じ。やっぱ僕はシンプソンズ派だよなぁ。
 予想通り「ダークエンジェル」もイマイチだった。


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