16日(土)
和美が仕事でお台場(新世紀東京国際アニメフェア21)に行くというので、吉祥寺駅まで見送り。そのまま生協で買い物して、キャベツやニラ、その他野菜まみれの焼きそばを作って娘と食べる。食事中、柳瀬君から電話。神田の明倫館にすごくいい雑誌(終戦直後)が入ったらしい。しかし値段を聞いて諦めるが、いちおう写真だけは送信してもらう。
午後から娘の人生相談を聞く。
「友達がしぃぽんって呼ぶんだ。いやなのに。イヤだっていったら『じゃあ、美川憲一とピーコ、どっちがいい?』って。どっちもイヤだ、って言ったら今度は舞ちゃんに『舞ちゃんは美川憲一とピーコ、どっちで呼ばれたい?』って聞くんだよ!で舞ちゃんも『う〜ん、じゃあ美川憲一』って答えちゃうから、『じゃあしーちゃんはピーコね』って勝手に決められちゃったよ」
いや構わないけど、あと二ヶ月で中学生なのに、そんなのが悩みか?
夕方、ちょっと凝った豚汁を作り出す。材料を一つ一つ炒めて炊きながら灰汁をとって、の繰り返し。素材ごとの加熱時間を考えて、牛蒡はゴリゴリ感を残して、大根は口の中で崩れるように、サツマイモはホッコリと炊きあげて、と完成したところに和美が帰宅。もちろん夕食の間中、「今日の豚汁、美味しくない?」とうっとおしく聞き続けてしまう僕である。
17日(日)
赤坂で「BSマンガ夜話」の公開収録。しかしリハーサル前の立ち位置確認で舞台に出て、帰るときに舞台から落ちる。ものすごく痛くて動けない。右足の踝と親指の付け根の最低二カ所は捻挫しているようだ。左腕の肘にも大きな擦り傷ができている。そのまま20分ほど動かず、楽屋へ。客席で見ていた柳瀬君から「大丈夫ですか?」という携帯メールが来る。「なんで僕が怪我したとわかったの?」「客席に聞こえるぐらいのでかい音で誰かが落ちる音したから、ああこれは岡田さんに違いない、と。でその後、スタッフが走り回りながら『岡田さんが落ちたぞ!』『落ちたのは岡田さんだ!』と叫んでいたから」
あああああ、カッコ悪い〜!
怪我をかばいながらメイクをお願いすると、メイクさんが気づかずに右足を蹴った。もうこうなるとシチュエーション・コメディであるな。
タクシーを拾って帰ると、唐沢俊一さんからメール。新宿・歌舞伎町のロフトプラスワン、3月末に改装(奥の座敷席あたりが演壇になる)をするらしい。そのこけら落としに、オタアミをやってくれないかと依頼があったとのこと。
18日(月)
捻挫が痛いし、それ以上に肘の擦り傷が痛い。昨夜の唐沢さんメールに返事を書いていると、その唐沢さんのインターネット日記でこんな記述を発見。
「(略)途中、近くのコンビニに飲み物を買いに出たら開田夫妻と遭遇。あやさんが開口一番に、“岡田さん、パイプカットしたのよ!”と言う。今週号のモノマガにその体験記が載ったそうだ。反射的に“必要あんのかね。ミエじゃないの?”と返答して、我ながら苦笑。」
もちろん前文に「見栄でパイプカットした岡田ですが」と書き添えて、オタアミやりましょうと返事を送信した。
午後からは文春・田中さんから「パイプカットの真相を!」というメール。リアクションがいいなぁ。
夕食はサンロードの聘珍楼へ。初めてオーダーした揚げ鳥が、皮がパリパリして美味しい。口の中に入れれば崩れるパリパリ感、というのは中華四大食感の一つらしいけど、ここまで見事なのははじめてだ。
19日(火)
午前中、和美と「オタクの歩き方」の打ち合わせをしようと資料をそろえたり取材メモをまとめたりしたけど、まるでダメ。まだ練れてない状態なので、明後日に廻す。書き下ろし小説の準備。まず自分の得意な表現や、つい選んでしまう行動様式からテーマみたいなものを探す。「新しい世界に出会った時のワクワク感」「同じものが今までと違って見えるおもしろさ」などが自分では好きらしいけど、この程度の煮詰めかたではまだ商品にはならないな。
20日(水)
福音館・田中さんに謝りのメールを書く。先方からすさまじい労作の「そんなこと言わずにぜひ」メールが来たので、「すんまへん、どうしても出来まへん」メールを返さなければいけない。田中さんほどではないけどキチンと言いたいこと・言わねばならないことが書けたので送信する。
午後からトミーの取材。取締役に見せるための「ゾイド、どうすればいいか?」という話。「今の設定は80年代前半のアニメ設定が過剰に進化した時代に制作されたもの。もし子供たちに売りたいならば、設定段階から見直した方がいいと思う」など述べる。
夕方から来週のマンガ夜話準備取材。ここであんまりしゃべると、当日配布するペーパーに「岡田さんはこんな話をする」と書かれちゃうからなぁ。
21日(木)
昨夜遅くから「フラッシュフォワード」(ハヤカワ文庫)を一気読み。明け方には読了。睡眠不足のまま朝からカイロプラクティックに行って、捻挫の治療。 みのうらさんから不思議メール。
「ホモの場合中出しすると下痢するのははたして精子のせいなのだろうか。としたら攻めがパイプカットしたら中出ししても受けが下痢しなくなるんだよな。それはラッキーなのかも。あ、その前に攻めの尿道口から大腸菌が入って尿道炎になるからダメじゃん。そもそもやおいはファンタジーだからリアル話を考えてもしょーがないのか。つまらんことを考えてしまったニャー」と思いました。
…「と思いました」、ってアンタ。
ようやっと「歩き方」を書き上げる。午後からコミケ新刊「吉祥寺Cafeブック」の取材。
夜は渋谷・マークシティの喫茶店で風俗嬢・菊池ハナさんと待ち合わせ。風俗の世界のことなどいろいろ教えてもらう。勤めているファッション・ヘルス店でナンバーワンの売れっ子という菊池さんは、それが納得できる頭の良さ。失礼な話ながらプライベートなセックスとの違いなど主観的な感覚を中心に取材させていただく。
22日(金)
先週、アマゾンコムで注文した「レインボーマン」のDVDセットがやっと到着!もう嬉しくて嬉しくて。さっそくプレイヤーにかけてみると、をを!見たこともない鮮明さでOPが!題字のレインボーマンと書いたボードが燃えていくさまがあまりにもチャチで、嬉しいやら哀しいやら。
知人から衝撃のメール。もうこんなの、そのまま転載するから読んでください。
「MONOマガジン」のショッキングな日記読ませていただきました。かくいう僕もパイプカットではありませんが「チンコ手術」した経験があります。
風俗行った翌日、明け方「なにか股間がムズムズする…」と思ってトイレに行ったら、「チンコがトマトに刺さったような」感じでモノ凄いことになってました。(いやもー、ボールみたいな感じ。)
「ココの皮は、いつもこうやって剥いておいた方がいいのヨ。(はぁと)」とお店のキレイなお姉さんが優しく剥いてくれたことが裏目に出て、雑菌入ったのが原因のようです。
医者に行ったら「腫れた」んじゃなくて、水が溜まったことが判明。メスで切って水を出すことに相成りました。一応、麻酔注射が打たれましたが「ゴムボール状態の包皮に注射針を刺す」わけですから、麻酔薬は体内の水に混じるだけ。かんじんの包皮部分は全く「麻酔が効いていない」状態です。
オレ「あの先生…あんまり麻酔が効いていないようなんですが…?」
先生「大丈夫大丈夫。」
先生、お構いなしにマイチンコにメスを突き刺しました。 ブスッ!!
「ぎゃ!!!!」 ぴゅ〜っ!!(溜まっていた水が噴き出す感じ)
いやもう痛い痛い…。
「水が溜まった」一件はコレで解決したんですが、ところがその後、もっと大変なことに…。
先生「君は仮性包茎ってワケでもないから、そのままにしておくと、また同じ事になるよ。…と言うより今までならなかったことが不思議だよ。」(いわゆる「カントン包茎」という厄介な状態だったわけです)
オレ「ええ?! どうしたら?!」
先生「そりゃやっぱ、包茎手術だろう。君んち、僕の家から近いから特別に○万円にしておいてあげるよ。」
なんか、よくわからない理由でブラックジャック並にいい加減な料金の提示をしてきました。(でもその後にいろいろ調べたんですが、他病院における同手術の相場より5万円ほど安かったです。)
で、また同じ様な病気になるのもイヤですし、その頃つきあっていた彼女と「そろそろセックスしたいなー。」とか思っていたので、でもその時に不衛生なチンコで挑むのも失礼だよネ…とか、「なんかの話のタネくらいになる体験かもしれんなあ」とかいろいろなことを思って、フルアーマー化していたチンコを軽装型にすることを決意。
いろいろ調べてみたら、流行の「レーザー手術」は何かと問題が多いことが発覚。(「焼き切る」のでケロイド状の跡が残るとか、糸による縫合をしない場合もあるので、術後は何ともなくとも、しばらくして大出血起こすこともあるらしい。よく広告に書いてある「レーザーなら跡が残らないし、抜糸も必要ありません」はかなりウソのようです。)
先の先生の所は超アナログ医院でそんな最先端装備はありません。オール手作業とのこと。で結局、1週間後に同病院に行ったんですが…。
さすがに今度は、麻酔が本体に打たれているのでオペ中の痛みはないんですが、体質的に効きが悪いのか、はたまた強い麻酔ではなかったのか「切られている感覚」が丸わかりなんですよ。ああ、今あの当たりを切り取られているなあ…とか。
1時間ほどで装甲排除が終了。
「なんだ、アッサリしてるじゃん。」
先生「傷は2日ほどでくっつくから。お風呂も3日目から大丈夫ですよ。」
え?皮膚ってそんな簡単にくっついちゃうモンなんだ?へえ。
甘かったです。
ホントに大変なのはこの後でした。
自宅に帰ってきたあたりから、チンコに打たれていた麻酔が切れ始めました…。
「あれ…なんか…痛い?!」
痛みはアッという間に頂点に!!メシ喰っている最中に、あまりの激痛に気を失って倒れました。これの少し前に、デザインナイフを使っていて指を切り飛ばしそうになったことがありますが、この痛みに比べたら「指を切り飛ばしそうになったのなんか、蚊に刺された程度」です。
意識を取り戻しトイレに駆け込むと、パンツが血で真っ赤です。
「わお!!!!!!!!!!」
チンコをグルグル巻きしている包帯なんか血の固まり状態です。貰ってきた痛み止めを飲みまたが、薬物効果よりも痛みの方が強すぎて全く効果無し。この後2日間、あまりの痛さに一睡もできませんでした。
術後の治療などのために1週間ほど毎日病院に通いましたが、「ふつうそこまで痛くないハズなんだがなあ…」と先生。
3日目くらいからやっとこさ傷が塞がり(でもパンツはまだ血塗れです)、前2日一睡もしていなかったこともあって、この日は痛みにうなされながらも、明け方近くにやっとこさウトウト…
ぐ〜……
ところが今度は!
まだ若かったこともあり、つい朝立ち。瞬間…
「*★?!!>※◎♯!!!!!!!!!!!」
一発で目が覚めました。
トイレに行くと、朝立ちのせいで少し傷が開いたくさく、またすこし出血。うかつに勃起もできません。オナニーなんか夢のまた夢です。
なのに! 道を歩いていたときに、すげーボディコン(ちょうどそういうのが流行っていた時期だった)で尻がプリンプリン。胸がボイ〜ン!の姉ちゃん(しかも美人)が向こうから歩いてきたのを目撃して、つい勃起。
「*★?!!>※◎♯!!!!!!!!!!!」
とたんに股間を襲う激痛。道端でうずくまるオレ。
ボディコン姉ちゃん「どうしたんですか?! 大丈夫ですか?!」
オレ「だ…大丈夫です!! (心の声「オレの視界から消えて!!」)」
で、トイレに行ってみたらやっぱまた傷が開いて出血。
こんな日々が1週間。
オナニーは出来ないし、おかげで溜まりまくっているから余計に上記のような「道行くボディコン」見ただけで勃起しちゃうし…。そのたびに激痛だし…。
8日目。
ついにガマンできなくなって、オナニーを決行。(まだ若かったので…)塞がりが弱かった傷部分が開いて、コスっていた手が血塗れに!!(これは自業自得か…)
さらにその後、抜糸が行われ(コレも相当痛かったですが)、2週目からは通院はなくなりましたが、手術跡から「浸出液」というのが染み出すため、まだチンコは包帯グルグル巻きです。(通院しなくなってからはこれを自分でグルグル巻くわけですが、その情けなさたるや相当なものです。)
完全に包帯グルグルじゃなくなったのは3週間以上経ってからでしたねー。
んで、不衛生なチンコじゃなくなったところで、当初の目標だった「彼女と初セックス!!」をしようと思ったんですが、その直前にフラれてしまったという、(いろんな意味で)痛さだけが残った泣くに泣けない経験でした。
(友人曰く、「お前のセックス嫌いはそのへんが全部トラウマになってんじゃねーの?」だそーですが。)
長文失礼いたしました。
岡田様も、チンコ御自愛くださいませ。
はい、最近もご自愛に勤めてますので、心配御無用です。パイプカットしただけにゴムは御無用、なんちて。
23日(土)
吉祥寺アニメイトで「アニメ店長」のアニメを見る。大笑い。こんな仕事を引き受けて大まじめにやる島本和彦もバカだけど、わざわざアニメ作るアニメイトも大バカである。素晴らしいなぁ。
夜、事務所でいよいよレインボーマンを見よう、と思ったら娘から電話。和美が風邪で倒れたらしい。急いで娘宅へ行って、雑炊と簡単な野菜料理を作る。
24日(日)
日がな一日、「レインボーマン」DVDを鑑賞。70年代初頭の特撮ドラマで、「仮面ライダー」などと同じいわゆる変身ヒーローアクション番組だけど、とにかくありとあらゆる箇所がヘン!第一話、冒頭からして印パ戦争(インド・パキスタン戦争)からスタートする。もちろん現地ロケなどできるはずもなく、練馬の田舎で20人足らずが銃もって走っているだけ。これをセコいと笑うことは簡単だろうが、それよりも子供向けヒーロードラマの第一話で印パ戦争やろうとした狂気を評価したい。紛争地帯、インド兵の検問を受けて「俺、日本人、ジャパニーズ!」「パスポート、見せて」で通じる原作・川内康範先生の八紘一宇的世界観も素敵すぎ。第三話でいきなりマカオまで賭け試合で行ってしまうのもいいし、そのマカオだってすべて練馬ロケだ。カッコいい!
唐沢さんより次回アミーゴスについての連絡。
●次回は4月1日(月)、2日(火)の二日連続。
●タイトルは『アミーゴス2002』。
初日をネタ編、2日目は雑談編。
●入場料は2000円。
25日(月)
ようやっと散髪。昨年末のマンガ夜話でやりそこねたので、予定より三ヶ月も伸ばしてしまった。短くしてもらうと洗髪が楽だ。
26日(火)
元経理の岩崎さんから電話。今朝、出所したらしい。開口一番「無事、お勤めを終えてきました」と言われて笑う。岩崎さんはガイナックス脱税事件で澤村君と一緒に責任をかぶって刑務所に入った「漢」である。ということは澤村君も出所したのかな?と思ってガイナのサイトを見ると、先日のイベントでの原画盗難事件に関して取締役他3人からメッセージというか問いかけが掲載されていた。こういう言い方もなんだけど、以前の脱税事件にはほとんど公式コメントも出さなかったのに、こういうときだけ「アニメを愛するものとして」と言うのはいけないと思う。社長も出所したんだし、「なんで脱税したか。しなければいけなかったのか。そしてそれは間違いだったのかどうなのか」をキチンと説明したほうが、いさぎいいと思うけどな。こういうことは赤井君がバランス感覚あるはずなんだけど、いかがでしょうか?
井の頭公園前の武蔵野珈琲店で和美と打ち合わせ。「青の6号」や「おいしい関係」に関しての持論をすこし語る。いよいよ今夜からマンガ夜話だ。
初日は「青の6号」で、ちょっと熱く語りすぎた。放映後、小沢先生から届いたという色紙をいただく。夏目さんは「サブマリン707」の色紙をもらったようだ。
タクシーで吉祥寺まで帰るときに、いしかわさんに「西原さんのサイト、見ました?」と聞いた。西原理恵子さんが「いしかわじゅんにオバハンと言われた。あんたなんか元漫画家、いまはチョイタレのくせに」と怒りのマンガを描いて掲載していたから、その感想を聞きたかったから。「西原から詫び状が来たよ」と教えてくれた。なんでも事前に「コレコレのような原稿をUPしますが、けっして他意はなく、無礼は承知で」と頭下げまくってるFAXが来たとか。やっぱりメジャーになる人は心遣いが違うなぁ。無頼派なポーズに騙されてはいけない。それに比べていしかわさんは、「どうせ俺のこと描くんだったら、もっと過激に面白くしなきゃダメだよ」と電話で説教したらしい。やはりチョイタレに生きる人は心遣(略)
27日(水)
マンガ喫茶で「ハローはりねずみ」を読む。やっぱり弘兼憲史は上手いけど華がない。その華のなさを「リアリティ」に変換したのは見事。喫茶内でサピオを立ち読みしたら、小林よしのりが「つくる会」をやめた経緯が載っていた。マンガ夜話の楽屋で大月さんに聞いたら、「あれは西部と西本という二匹の狸が、小林という玉(ギョク)の奪い合いをした、というだけ」と一刀両断。
クローズアップ現代の村上さんが本番後に来てくれて、現在の進行状況など説明してもらう。
帰ったら、今夜の「課長 島耕作」についてメール。
自分の専門は昭和30年代以降の時代小説(大衆小説)を扱っていて、現在、なぜ時代小説がほとんど読まれなくなっているのかが疑問だったのです。もちろん自分なりの回答はあったんだけれども、どうしても何か足りない気がしていたんです。
昭和30年代以降の時代小説の読者層は大半がサラリーマンで、どんな読まれ方をしていたかというと、時代小説に出てくる上下関係をそのまま会社の上下関係にあてはめて、どんな上司が理想か、部下にどう接するのかなど、人間関係のバイブルとして読まれていました。サラリーマンがバイブルとして読んでいたはずなのに、なんで時代小説から離れていったのかが疑問だった。
時代劇や時代物映画が現代物にとって変わって衰退し、それに伴って小説も衰退していったということはすぐに分かることなんだけれども、時代小説の場合はその代替になる物が分からなかったんです。それが今夜「なんだマンガがとって変わっただけじゃないか!」と分かったんです。ずっと代替になる「小説」を探していたからしっくり来なかっただけで、分かってみると私のバカさがよく分かるんだけれど・・・。
時代小説の場合は、ある程度時代小説を読むための教養が必要で、江戸時代の上下関係をわざわざ会社の上下関係に翻訳する必要があったのに、「課長島耕作」のようなマンガなら、サラリーマンにとっては読むための教養も、わざわざ上下関係を翻訳する必要も全くいらない。しかも今一線で活躍している世代も含めて、マンガを読むことが当たり前の状況だということ。そう考えるとそりゃ時代小説よりも、「島耕作」を読むよなぁ。
おぉ〜、すっきりした!しかし、私ってバカ・・・。
いや、必要十分に賢いと思いますよ。
28日(木)
この数週間、和美を悩ませている「ぷかぷかレイちゃん」のセリフを手伝う。気分転換にちょうどいい作業量なので、ギャラはコーヒー代のみでOK。
以前に書いた「オタクの迷い道」を和美が3人称小説に書き直す実験。出来たものはダメダメだけど、実験としては極めて面白い。なるほど、要するに小説を書く、ということは「登場人物の関係の変化」を書かなければダメで、そのためには「登場人物を配役」することが必要なわけだ。で、その個々の関係が変化することが「ストーリー」に見えたり「テーマ」に感じたりするわけだな。たとえば「オネアミスの翼・王立宇宙軍」で考えてみよう。あの映画を小説化するとして、冒頭のシーン、主人公シロツグが葬式に遅刻する場面はどう描くか。
どっかの店でぼーっとしてるシロツグ→墓場で葬式→屋上で訓練→飲み屋→繁華街、というのがシーンの流れで、内面が変化するのがシロツグか。だったらこのシーンのカメラ位置は「シロツグの観察者」である親友のマティだな。マティの視点で「なぜシロツグは葬式に遅れたのか」を語らせればいい。視点の差をはっきりさせるため、マティは貧民街の出、という設定にしよう。
宇宙軍メンバーにとっては絶望と倦怠の砦である宇宙軍も、マティにとっては居心地のいい場所だ。マティは貧しさの怖さをよく知っている。彼から見ると仲間は、いや将軍だって甘ちゃんだ。餓えることは怖くない。兄弟や家族を餓えさせること、そしてそれが当たり前になってしまう感覚。マティにとって「倦怠」とは最高の贅沢なのだ。シロツグは葬式に来ない。わかってる、あいつも甘ちゃんだ。死んだあいつはいい奴だった。自分からテストを志願して、そして死んでしまった。マティはそれが自分でないことに感謝したけど、甘ちゃんのシロにはそういう割り切りはできない。きっとシロはあいつが志願したときに、心に小さな棘が刺さったのだろう。「俺も志願しなくていいのか」とか、そういうまじめなことだ。「子供の頃、パイロットになりたかった」と言ってるような夢見る坊やだから。マティはシロツグが葬式に遅刻することを嗤う。それで反抗したつもりか。確かに仲間の一人が死んだ。誰もがその事実にほっかむりしようとしている。で、無気力なように見えて人一倍繊細なシロツグ・ラーダット様は?遅刻して、あえて礼装を無視して、この現実に異を唱える?幼いねぇ、と苦笑いしながらマティはそういうシロツグの反抗を好ましく思うだろう。なぜなら彼の「クール」もまた幼い反抗の形だから。シロツグが「遅刻」「無気力」といったわかりやすい反抗を率先してあらわしてくれるから、マティもまた自分の「心の棘」にひっかからずに暮らしていくことができるから。だから屋上でも飲み屋でも、マティはシロツグに「気楽にしろよ」と繰り返してしまう。悩んだり張り切ったりしても意味はない。俺のように早く割り切ってくれ。お前が割り切ってくれないと、俺まで落ち着かなくて。というのが第一幕のマティの心情。
以上が「マティの視点で見た冒頭シーンの演出メモ」だ。なるほど、小説というのはこうやって書くのか。
マンガ夜話。今夜は「おいしい関係」。楽屋で一条ゆかり先生に「岡田くん、この頃恋愛とか書いてるんだって?見せてよ」と言われたので新刊を送ることを約束。ああ、怖いなぁ。
前回の日記に関してメールをもらう。
小野不由美の『屍鬼』をパクリだと言ってくれましたね。やっぱりそう思ったよね、あ〜よかった。私は単行本が出てすぐに読んで、もしかしてこれってパクリっていうのでは・・・オマージュなどという綺麗な言葉にはだまされては・・・と内心ブツブツ言っていたんだ。しかも『屍鬼』を読んだ京極夏彦が絶賛していて、去年京極は『ルーガルー』という作品を発表して、そのあらすじを読んだときに、「これって『屍鬼』のパクリちがうの・・・」とまたブツブツ言っていたんだ。それで京極のは読んでないんだけれど。
さっき『屍鬼』の宮部みゆきが書いた文庫解説を立ち読みしたんだけど、「こんだけ書いたらパクリって言えよ」ってまたまたブツブツ。だから私は宮部みゆきが好きじゃないんだよねぇ。はぁ〜。小野不由美の旦那の綾辻行人は、たとえ読み始めて20ページで犯人が分かる小説をたくさん書こうとも、そんなアホな!と叫びたくなるようなトリックを使っていても、すごく好きなのなぁ。ブツブツ・・・・。
ああ、俺も今年は小説書くんだよなぁ。ナニ言われるか怖いよなぁ。
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