岡田斗司夫のオタク日記
2002年6月16日〜6月30日
(C) Toshio OKADA all right reserved.
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6月 その2


16日(日)

 まる一日、「オタクの歩き方」の原稿を書く。
 「えびす秘宝館」を紹介する文章なんだけど、書きたいことは秘宝館をキッカケにして現代アート論なので、さすがにしんどい。用意した下書きの半分以上を書き直すことになりそうだ。


17日(月)

 「オタクの歩き方」、まだあがらない。やはり予想通り、下書きは全面的に改稿することになる。
 僕の原稿の書き方では、下書きをどれぐらい活用できるか、が処理速度に直結してる。どうやら、今回もモノマガ担当者を泣かすことになりそうだ。
 おまけに四百字五枚程度の約束がすでに十二枚を超えて、まだ終わらない。


18日(火)

 〆切の優先度が切り替わって、これより日記に突入。いいかげん二週間分をまとめて書く、という手法はやめようやめようと思っているんだけど、今回も日々のメモしか残っていないので、むりやりその日、何を考えていたのか思い出して書き続ける。
 不思議なもので三時間ぐらい集中していると、意外なほど思い出せる。しかしそのあと、どっと疲れて寝てしまうから、効率の悪い原稿の書き方だなぁ。
 薬局ですごいダイエット・サプリメントを見つける。


 まずはミロヴィーナス製薬の「スーパーキトサンデルダスダイエットデラックス」。


 いやこれが正式な製品名だけどね。それにしてもミロヴィーナスという社名もすごければ、パッケージも満艦飾というか、「とにかくすごい」以外の言葉が出にくい商品だ。
 これと同じぐらい悪趣味なパッケージがノーベル自然製薬の「超スーパーガルニシア+キトサン・シトラスダイエットお徳用」。「お徳用」の部分まで正式な商品名である。


 両方のパッケージとも、「まるで『女性自身』の表紙みたいな絶叫型キャッチコピー」「印刷した箱の上からさらにシールで追加情報を張りまくる、どこを見ていいのか幻惑させられる曼陀羅効果」「お徳用、増量とあるけど通常版など棚のどこを探してもなかったぞ的疑い」「メーカー希望価格が八千円、八千八百円とあるけど千六百円で売ってるという、仕切り値まで疑ってしまう価格付け」という怪しすぎる共通点がある。
 ダイエット業界とはみんなこんなの?と商品データを見たら、なんとミロヴィーナス製薬とノーベル自然薬品は住所がいっしょ。それどころか電話番号までまったく同じである。


 なんかもう、ここまで来ると感動してしまった。他にミロヴィーナスで面白いものはないのかと探したらありましたよ!「スリム・メリハリ、ゴージャスダイエット」。


箱の横に曰く「アメリカで大人気!セクシーンゴージャスなカラダをエステティックする」ですか。セクシーン。そんな言葉、知りもしませんでした。あいかわらずミロヴィーナス節は全開で「女性らしい女性のゴージャスな魅力が要求されております。女性のゴージャスな美しさをゴージャスに引き出す為の…」と、まったく日本語になっていないけど、なぜか言いたいことだけはわかる不思議な文章の羅列。
 男性用にはミナミヘルシーフーズの「モテル男のノンスポーツ体脂肪サポートタブ」がお勧めだ。(笑える、という意味で)


 箱の横にある「モテル男イケテル男の条件」が読ませてくれる。

条件1 体脂肪サポート→キトサン「引き締まった体。体脂肪スッキリはモテモテ男の条件」

 こんな条件が十個並んでいるのだけど、当然これは薬品ではなく健康補助食品だから「これに効く」などと効能を謳ってしまったら法律違反となる。だから肝心の「キトサンが体脂肪を減らす」とはどこにも書いていない。ただアイマイな矢印で、読んだものが勝手に誤解するだけ、という実によくできた文章である。
 しかし条件も十個ひねり出すのは大変らしく、徐々に怪しくなっていく。

条件7 ノンスポーツサポート↓クレアチン「ノンスポーツでもコレでイケてる男の条件OK」
条件8 どんどんエネルギーサポート↓シトラス「食べてもみるみる、食べてもどんどん、イケてる男の条件OK」

 …あのさぁ、消費者ってそんなにバカなの?これ見て、本当に買う人、いるの?


19日(水)

 CS MONDO21で不定期放映中の番組「平成極楽オタク談義」の打ち合わせ。僕が出した「アポロ計画特集」という企画に恐れをなしたディレクターの野田さんが、当日のゲスト江藤巌氏を連れていらっしゃった。
 着席するやいなやの雑談からもう高密度の宇宙オタク話で、野田さんもあっというまに「ああ、これは番組として成立する」と判断してもらえたようだ。
 前回収録分のビデオをもらった。2ヶ月ほど前の収録だけど、もう本当に自分の顔が違う。なるほど、ダイエットにハマる人の気持ち、わかるなぁ。


20日(木)

 〆切を大幅にずれて、ようやっと「オタクの歩き方」の原稿が完成。すごく消耗したけど書きたいことが書けたので満足。でもあと倍の原稿分量を使えば・・・とか考えてしまう。
 野暮を承知で言わせてもらえば、モノマガはもっと自分たちのやってること・紹介してる商品に自信をもって欲しいなぁ。いま、人類のもっとも有能なクリエイターたちが本気でアートを作っているのは「商品」であって、「作品」じゃない、と思うから。


21日(金)

 2週間ぶりのダイエット会議。ダイエットを始めてから順調に、週に一キロのペースで痩せている。開始から今日までで9キロ減。体脂肪率も2%下がった。血圧も20近く下降したので、おそらく寿命も10年ほど延びたそうだ。


22日(土)

 アマゾンコムで予約していた「ザ・シンプソンズ」のDVDボックスセットが到着。


 喜んでさっそくデッキに入れると…見れない。僕のDVDデッキはLDプレイヤーとコンパチの、もっとも古い機種なのだ。
 もうね、がっかりですよ。今週はずっと原稿書いてたからご褒美のつもりだったのに…。


23日(日)

 昼食を食べに吉祥寺・伊勢丹へ。レストラン街のイタリア料理店で「サラダ食べ放題」をやってることを発見。グレープフルーツも食べ放題で、サラダ二皿をお代わりして、メインディッシュのリブロースグリルを食べるともうお腹一杯だ。低インシュリンダイエット的にはこの食事でも大丈夫なので、しょっちゅう行くことを決意。


24日(月)

 銀座で「平成極楽オタク談義」の収録。「アポロ計画」「ビデオデッキ」の二本撮りである。打ち合わせ中に弁当が出たけど、僕には食べられない食材が多いのでパスさせてもらう。


25日(火)

 駅ビルでサーロインステーキ肉を買ってきた。さっそく事務所で塩胡椒して、グリルする。全粒粉パンをスライスして低脂肪マーガリンとガーリック入りマスタードを塗って、完熟トマトの厚切りとリーフレタスを挟んで、豪勢なサーロインステーキサンドイッチのできあがり。グレープフルーツジュースといっしょにいただくと、これが美味しいんだよなぁ。
 柳瀬君にリージョンフリーのDVDプレイヤーを買ってきてもらう。ヨーロッパのパル方式を含めて世界中どこのDVDでも観れるのがウリ。ものはビクターJVCだから安心だし、説明書が英語と中国語だけど、まあどうせマニュアルなんか見ないしね。
 さっそくシンプソンズを見るけど、新シーズンを見慣れた目ではさすがに第一シーズンは辛い。個人的には第4〜第7シーズンあたりのテイストが一番好きなんだよね。秋には第2シーズンが発売されるみたいだけど、名作「マージの熱き戦い」が入ってるからには買わねばなるまい。


26日(水)

 「週に一度は不健康なものを食べてもいい」と自分に約束したので、今日はアンナミラーズでサンドイッチを食べることにした。悲願であったよなぁ。
 夕方、またもやサンドイッチ。昨日のステーキ肉の残りでステーキサンドを作る。たしかにステーキ肉は高価だけど、低インシュリンダイエットをはじめてから食費がかさんでしょうがなかった。それに比べて2度も食事できるんだから、これはあんがい豪勢で安上がりかも?
 近所の手芸ビル・ユザワヤにコナミの食玩「ワールドタンクミュージアム(WTM)」が入荷。いきなり大人買いで十個入りの大箱を買う。中身を見てびっくり。肝心の戦車模型が出来がいいのは、まぁ海洋堂だから当たり前で、とにかくそのパッケージセンスの良さに感動した。中でも付録の小冊子は、10×20センチほどの一枚の紙にぎっしりの情報量。モリナガ・ヨウ氏のイラストエッセイといい、梅本弘氏のミニコラムといい、とにかく「模型付きでこのコラムが二百五十円とは激安!」である。


 もう本当に素晴らしい商品なので、とにかくみんな買いなさい。売り切れ店続出だけど、ヤマザキデイリーストアでは余ってる、という情報もあるよ。


27日(木)

 アマゾンコムで予約注文していた「エキスポロック」のCDが届く。エキスポロックとは造語で、70年近辺にフォーク・歌謡界で一大ムーブメントだった「人類皆兄妹、世界は一つ」的な、過剰なまでにピースフルな楽曲たち。とうぜん、トワ・エ・モアも入ってるぞ。



28日(金)

 衝動的に「サンダーバードDVDボックス」の2巻を買ってしまう。


 しかしこの2巻、エピソード的には外れだらけで、こうなると1巻が欲しくてたまらない。しかし吉祥寺中のCD屋でも売り切れ。しかたなくアマゾンで注文する。
 ついでにリージョンフリー・プレイヤーの真価を味わいたくなり、米アマゾンで「七人の侍」「パトレイバー2」「攻殻機動隊」などのDVDを買う。さて、どうかな?


29日(土)

 オールナイトで「スターウォーズ・エピソード2」を見に行く。深夜十二時十五分の回、会場三十分前に行くと「最前列しか座れません」と念を押される。
で、感想だけど、僕にはすごく面白かった。評論家の中には「前半が退屈」という人もいるけど、それは「映画」として見ているからだと思う。スターウォーズは映画ではない。SF映画なのだ。
 だから銀河首都コルサントや惑星ナプーの風景だけでも見入ってしまうし、手前の余計な役者が邪魔に思えるほどの美しさに感動した。
 一番のお気に入りはラストの巨大宇宙戦艦発進シーン。夕焼けの中、どこまでも続くクローン・トルーパーの整列と、エンジンノズルを鈍く輝かせる宇宙戦艦。それらが地上の宇宙港から次々と天空へ発進していく。
 ああ、おもえばSFファンになって40年、ついにこの「絵」が見れたのか…


30日(日)

 近所の伊勢丹では七夕フェアのまっさかり。


吹き抜けのコーナーに自分で短冊を書いて飾るディスプレイがあった。「大学合格」「好きな人に好かれるように」「家族が元気で」とまぁささやかだけど本人たちにとっては切実な願いを見ていると、いきなりへんなのにぶち当たった。
 「ポロンのおしりをずっとさわる」


 ポロン、なに?おしり、なぜ?
 アニメにもなった「コロコロポロン」の原作、吾妻ひでおのロリコンマンガ「オリンポスのポロン」のことか?「ずっとさわる」というからには、いますでに触っているのか? 日常の中にこんなミステリーが眠っていようとは。


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