岡田斗司夫のオタク日記
2002年8月16日〜8月31日
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8月 その2


16日(金)

 夏休み最後の家族行事として、池袋の「ナムコ・ナンジャタウン」へ行く。お目当ては先月オープンしたばかりの餃子スタジアムである。これまでの入場料を一気に下げてまで(千六百円↓三百円)集客を上げようとしたナンジャタウンの挑戦やいかに。
 朝一番に入場したけど、すでに入り口には「餃子を食べるのは三十分待ちです」とイヤなことが書いてある。実際にはちょっと混み合ってる程度だったから、まず並ばずに浪速ひとくち餃子を食べて、その後で宇都宮餃子会の共同店舗へとはしごした。出た頃にはどの店も死ぬほど混み合っていて、呼び物の「昭和三十年代を再現した街並み」など鑑賞してるヒマも余裕もない。
 しかし、またなんで「食のテーマパーク」企画する連中は判で押したように昭和三十年代をやりたがるかね。まぁ子連れの客層を動員しようとしたら「現在、小学〜中学生の子供がいる夫婦」=「昭和三十年代生まれ」ということになるんだろうけど。
 また九月に入ったら「テムジン」「古屋」などの餃子を食べに来ようっと。餃子はGI値が高い、つまり低インシュリンダイエット的にはダメな食品だけど、たまにはこういう息抜きも欲しい。


17日(土)

 ついに「坂の上の雲」を読了。よく言われる「明治人の生き様」「古き良き日本の姿」などは、僕にとってどうでもよかった。「国際社会で戦争をする、というのはこういうことだ」という知識の羅列として見ると、本当に面白い。
 しかし気になるのが作者である司馬遼太郎自身も気付いていない無意識のバイアスが全体を歪めていること。司馬は明治の軍人を誉めて、その反面として第二次大戦時の日本帝国軍をボロクソに書いている。しかしそれは司馬が気に入った部分を「明治的」と高く評価し、嫌いな部分を「昭和的」と翻意的に解釈しているだけのように見えてしかたがない。
 たとえば司馬は軍の司令官について「作戦・運営は参謀が考える。指揮官はただ、泰然自若に構えているのが良い」としている。小説内でもそのような描写があるときは必ず「この人柄には観戦武官の○○国少佐も感服した」などと、褒めちぎっている。
 だが、これは大間違い。軍隊というのは巨大な官僚システムであり、システムである限りはトップが判断を放棄して責任を取るだけの存在であっていいはずがない。よく通俗的ビジネス書でも「社長は全て、我々のやりたいように任せてくれた。問題が起きたときにだけ責任を取る、という態度に感動した」という美談めいた秘話が載っているけど、それは成功したから美談になっただけで、もし失敗してたら、ただ単に「トップの判断放棄」と糾弾されるだけだろう。
 部下のやる気に任せるしかないトップは単なる無能だ。「部下のやる気に任せたように見せかけて、強いモチベーションと責任感を持たせる」のが指揮官としての資質であろう。
 日露戦争の時代、日本帝国軍は将軍も参謀も大本営(つまり中央司令部)が任命権を持っていた。ここで任命されたらバカでも無能でも将軍であり参謀だ。藩閥により任命された無能な参謀が無意味な作戦を提案する。これをまた無能な将軍が「将たる者は部下の思うままにやらせよ」と大人ぶって判断を放棄してしまったら、勝てる戦争にも勝てない。
 「指揮官はただ、泰然自若に構えているのが良い」というのは、人格主義であり、古代中国の人治主義である。しかし戦争や軍隊のような即断・即決が要される巨大システムは本質的に法治主義であるべきだし、絶対に人格主義ではまわらなくなってくる。もしうまくいったように見えても、その「偶然」を先例とする「慣例」ができてしまい、後世に悪影響が残るのだ。
 司馬の賞賛してやまない「明治的軍隊」こそ、司馬の嫌悪する「昭和的軍隊」の苗床である。日露戦争は勝ち戦であったがために誰も失敗を反省することができず、ために後の日本軍独走を招いた。AがなければBも存在し得ない。司馬の讃える「素晴らしい明治の軍人」がいなければ「昭和の狂った軍人たち」もまた存在し得ないのだ。


18日(日)

 七月後半から八月半ばまでの日記をひたすら書く。


19日(月)

 日記、やっと完成。椅子に座り詰めで腰が痛くてたまらない。


20日(火)

 昼からダイエット会議と、その後で白鳳社・ぶんか社の編集さんが来社。白鳳社の小林さんは僕にどうしても「一妻多夫論」を書かせたいらしい。しかし、僕の思っている近未来社会とは「結婚が無意味化された社会」であって、けっして多夫多妻ではない。それは小林さんの望む社会かも知れないけど、僕は『自分が望む社会」ではなく「こうなるであろう予測」を書きたい。『ぼくたちの洗脳社会』から一貫して、私情を排した近未来予想に努めてきたつもりだしね。
 ただいまジェフリー・アーチャー集中期間なので、デビュー作の『100万ドルを取り返せ!』を読み始める。ををを、面白いぞ。やはり永井淳翻訳に外れなし、かな?



21日(水)

 朝、9時に飛び出したのに、もうペットボトルの回収は終わっていた、むなしく大袋4杯もの潰れたペットボトルを階段下の物置に押し込む。来週こそ、来週こそ!
 「おたくの歩き方」、原稿がやっとUP。完成原稿をメールしたついでにネットを見ると。西友スーパーが「3時間以内に食材などを宅配するネットショップ」をはじめたことを知った。さっそく会員に登録して、ボルビックの1・5リットル瓶や玄米など重くて保存のきく商品を注文する。当たり前だけどちゃんと3時間以内に到着した。まだサービス地域や販売品目も限定されてるし、5000円以内なら配送料500円取られるし、だけどこれは面白い。なにより便利だ。
 ということは、次は「2時間以内」「配送無料」「商品が多い」という競争になるんだろうなぁ。
 月に一度のお楽しみ、今夜は「おたくマンスリー」収録日。原えりすん氏の持ってきてくれた「こち亀の両さん自転車ラジコン」も楽しかったけど、今回の白眉はPS2ソフト「悪代官」。自分が悪代官になりきって、悪の本拠地に乗り込んでくる正義の味方(水戸黄門や鬼平など)を罠にかけて倒す、というまことに斜に構えた楽しみのゲームである。話だけ聞くと面白そうだ。これを読んでいる人の中にも「やってみたい!」と思った人もいるのではないか。しかし、これが実物見たらもうすげーショボい。というか、ゲームとしての技術力が低いので、楽しく遊べないのだ。
 なんとなく、「アイデア100点、出来は赤点」と言われる林海象の映画を思い出してしまった。『ジパング』って予告編見たときは面白そうだったよなぁ。


22日(木)

「100万ドルを取り返せ!」読了。「大統領に知らせますか?」を読み始める
「泥まみれの豚」、やっぱり宮崎は天才だなぁ。


23日(金)

 こだまで浜松へ。『高校生文芸道場東海ブロック大会」の講師に呼ばれたためだ。全国の高校文芸部の地方総会みたいなものらしいけど、100人近い参加者のほとんどが女生徒。それも中部日本中からまんべんなく集められた女生徒たちだから、「イマドキの女子高生」というのがどういうのか、よーくわかった。やっぱりマスコミに報じられてるような派手な子はほとんどいなくて、みんな20年前にタイムスリップしても全然目立たない、というか同じだった。
 講演というより質疑応答大会を無事済ませて、夕方には東京へ。帰りの新幹線で『大統領に知らせますか?』を読了。面白かった!


24日(土)

 なんとな〜く、歯が痛いかな?という予感。歯医者になんか死んでも行きたくないので、必死で「いや。気のせいだ」と思いこむ。


25日(日)

 やっぱり歯が痛い?
 いやいや、やっぱり気のせいだろう。


26日(月)

 また西友ネットスーパーで買い物。今度は5000円を超すように気をつけた。肉や魚の種類が少ないのが不満だなぁ。
 午後からアエラの編集さんと速水由希子さんが来社して打ち合わせ。数ヶ月先の「現代の肖像」で僕を取り上げるにあたっての取材打ち合わせである。
 その後のソニーからバイオの取材。写真撮影がけっこう時間がかかり、その間ずっと「やっぱりやっぱりやっぱり、歯が痛いかも?」と悩む。


27日(火)

 木曜のオフ会に向けてリビングをかたづけ、そのあと覚悟を決めてついに北歯科へ。もうずっと前に神経を抜いた歯なので、おそらく歯茎が炎症を起こしているのだろう、ということで今回は様子見。
 ブックスルーエで宮脇檀の『男の生活の愉しみ』(PHP文庫)を買う


 20年近く前、仕事で一山当てたら宮脇氏に自宅を設計してもらおう、と思っていた。不幸なことに宮脇氏は98年に他界し、僕はいまだに一山当てれずにいる。でまぁ、書店で氏の本を見かけたら自分の果たせなかった夢への供養だと思って買うことにしている。
 夕方から「惑星開発委員会」のオフ会。参加希望の美少女大学生といっしょに高田馬場へいく。感想は…う〜ん、まぁあんなもんじゃないですか?あ、でも某出版社社長と某オタク評論家の蜜月関係が聞けたのは面白かった。そうか、版権引き上げ騒動の裏にはそんなことが…。


28日(水)

 ついに、ついに朝7時半に起きて、ペットボトルを捨てる。あ〜、すっきりした!
 ご機嫌で朝からサンドイッチを自作して食べると、やはり歯が痛い。北歯科へ飛び込んで状況を説明して、痛み止めの薬をもらう。 久しぶりに「ヘンなメール」が来る。ここに一部引用もはばかれるような、堂々たる「ヘン」っぷりだ。
 槇村先生直々のご指名で引き受けた『イマジン』文庫用解説、やっと完成。わずか12枚の原稿に二週間以上かかっちゃったよ。


29日(木)

 柳瀬君と共同でかたずけて、ついに「美しいリビング」が完成。あと何週間、この状態を維持できるだろうか?
 ユザワヤでWTMを発見。さっそく10個入りの大箱を買う。帰り道のコンビニで食玩サンダーバード第二弾を発見。これも10個いちどに、という『大人買い」を愉しむ。
 事務所でまずサンダーバードを開封。しかし1号がダブりまくる。シークレットのパーカーなんかいらない!ヘリジェットを、ジェットブルドーザーを!
 このシリーズは第一弾の塗装が素晴らしかったけど、今回はギミック(仕掛け)がすごい。特にサンダーバード一号の主翼、片方を広げるともう一方も連動するのにびっくり。このサイズ、この価格で塗装済み完成品で、である。ジェットモグラも、本物の撮影用ミニチュアに使われたレベル社レッドストーンロケット模型の部品をそのまま再現したり、相当にこだわった作りである。事務所の洗面台はいままで恐竜ミニチュアを展示していたけど、今日からサンダーバードに切り替えた。


 ユザワヤで買ったWTMとは、海洋堂が開発してタカラが販売する「戦車の食玩」、ワールド・タンク・ミュージアムである。たった250円で超精密な戦車模型の塗装済み完成品、しかも面白くてためになるマンガ付き小冊子、プラスなんと迷彩模様のラムネ菓子つき!箱を開けるとシークレットアイテムの「赤いタイガー戦車」が入っていてゴキゲン。やはり海洋堂は「なんでも赤く塗れ!」じゃなくちゃね。


 どうしても歯が痛いのが治らない。というより歯が痛くて何もできない。うずくまって痛みの波が去るのを待つしかない。とても我慢できずまた北歯科へ。しかし、歩いている途中で何度もうずくまるほど痛い。
 北歯科でさらに強い痛み止め薬をもらって、その場で飲む。しかし看護婦に「今度から予約してから来てください」と言われて、もし痛みがあんなに激しくなかったらその場でキレて言い返していただろう。予約って、いま痛いのに予約なんかできるか!じゃあ夕方に来てください、と言われたら夕方まで我慢しろというのか?
 夜から事務所にて女性限定オフ。先月の東京読者オフ会で「前列の男性ばかり話して、女性はあまり話せなかった」という不満を受けての企画である。ビール飲んだり恋愛話したり、の楽しい数時間でした。


30日(金)

 新宿のボークスで「シャア専用マガジン」とエポキシ系接着剤を買う。


ついでにモデルグラフィックス誌の先月号(WTM特集)を見つけたのでもちろん買う。全長5センチもない戦車の改造例やディオラマなど、すげー読み応え満点だった。
 15時から今度はちゃんと予約して北歯科へ。うがい薬をもらう。
 終わってまっすぐ事務所へ帰り、元bk1安藤氏や、角川の「BSCSザ・テレビジョン」の取材で大月隆寛氏と対談など。


31日(土)

 もらったうがい薬、死ぬほどしみる!!


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