あと「現代漫画の〜」これは、呉智英さんです。しき出版という、ちょっとマイナーな出版社から出ています。これは、途中からが、「漫画の歴史」とか、「戦後漫画の社会主義的な位置づけ」とか、そういうふうになってしまっているんですけ ど、途中に載っている「漫画の言語論的な分析」というのが、なかなか読ませる所があるので、まあ目を通しておけばいいでしょう。
「漫画原論」これは、けっこう有名なやつで、四方田犬彦さんのかいたやつです。 これも一応見ておくといいです。
「漫画環境」現代風俗研究会。これ、変な本でですね。「少年ジャンプの行方」とい うのやっていまして。少年ジャンプをキヨスクで買った人を追跡して、何駅で読んで どこで捨てて、それがどのようにリサイクルしているのかというのを(爆笑)延々追 いかけたという、大変不思議なルポをやっています。この現代風俗研究会というのは、 年に1回発表をやっていまして、すごいまじめな社団法人なんですよ。恋愛空間とか いろんな本を出しているところですけれども、この漫画空間というのは、92年版か な。まだサブカルチャーとか、そういうの好きな本屋さん行くと置いています。
「漫画の時間」いしかわじゅん。これもね、後半は、延々漫画の紹介になっています。 こんな漫画があるとか、俺はこの作者が好きだとか、俺はこの作者と前けんかしたと か、延々そういうふうな話が書いてあるんですけれども。これの、前半の方に、「漫 画家は漫画をどういう風に読んでいるのか」というのが書いてあって、大変参考にな ります。プロの漫画かとしてのいしかわじゅんは、1冊の、いわゆる漫画娯楽でも (ヤングジャンプとか)どんなに薄い、内容のあんまりないようなものでも(漫画雑 誌でも)与えられると、まるまる一日かけて、本当に楽しく読むことが出来るそうで す。それは無理して読むのではなくて、ゆっくり楽しみながら読んでいると、どんな 漫画雑誌でも読むのに1日かかる、と語っています。それは何を見ているのかという と、ひとりひとりの漫画家の、トーンのけずりかた、線の引き方、コマの括弧のくく りかたとか、ト書きの書き方とか、すべて見ているわけです。それを同業者として見 ながら、「あ、こいつ、こんなことやりだしたのか」とか、「あ、こいつ、トーンの 使い方変わってるよな」とか、「あ、なんかこいつ、81番切れたか」(笑)とか、 そういう何か微妙な、技術的なことから、その作者が人間的に、今どれぐらい追いつ められてから、この漫画を描いているのか、というところまでをやっていると。
「漫画の逆襲」唐沢俊一さんのやつ。これは、作者から抗議が出ていて、現在絶版に なっておりますが、都内の古書店、古本屋さんに行くとまだ手に入りますので、見れ る人は見てください。この「漫画の逆襲」はですね。ここまでの漫画っていうのはね、 ずーといわゆるメジャー漫画ばっかりですね。いわゆる少年漫画であったり、青年漫 画であったりですね、こういう風な漫画ばっかりですけれども。これはですね、いき なり昔の古本、貸し本漫画。もうみんな誰も読む人がいないような、「ハハコイモノ」 とかですね。何か「継母の所に捨てられて、女の子が健気に頑張りました」というよ うなですねすさまじい内容の漫画を、紹介していると。ところがそれを今読むと、か えって面白いと。なんでだろう?漫画のもともとの原点というか、パワーというのは、 この辺にあったんじゃないかなあ、という風なところで、大変これ読ませる本ですね。 面白いです。
次が、これがまあ、スタンダードになってしまいましたが「サルでも描ける漫画教室」 というやつですけども。これは、漫画教室ではなくて、漫画教室のパロディと申しま しょうかですね、遊びだという風なことを忘れないでください。でないとこれを読ん で、結構ね、「サル漫」以降ですね、「サル漫」というのを読んで漫画家になろうと するやつが結構出てきていて、作者達も困っているそうですから。(笑)
この辺が、漫画研究です。まあこれは、そろっていると言っても、基本文献として、 研究書としておさえておくべきようなものであって、おたくとして、漫画というもの を把握するためには、当然こういうのを読むだけではだめですね。これは、概論だけ を読んで、まあ、アメリカの研究書読んでアメリカ行かないようなもんですね。おた くというのは基本的にフィールドワークのものでありますからですね、対象にどっぷ りつかってですね、どっぷりつかった後帰ってくるというのが大変大事なんですけど も(爆笑)や、いるんすよ、帰って来れない人が。みなさんも油断してると、5年後 ぐらいに、池袋のあの、劇場の裏でセル交換するようになっていますから気を付けて ください。