海外の漫画市場


何か堅い話がちょいと続いちゃいましたので、実例の方に入りますね。まずですね、 海外の漫画市場。アメリカはちょっと後でまとめて説明しますけど。

東南アジアの場合

東南アジアでは、ようやっと、タイのドラゴンボール争奪戦、って言ってるんですけど、ドラゴンボー ルの出版ブームが一息ついたところです。ドラゴンボール争奪戦っていうのは何かと いうと、基本的に東南アジアというのは、ようやっと去年ぐらいから、日本から正式 に著作権を取って、漫画を販売するということを始めたんですね。それまでは、著作 権取ってなくて、海賊版ばっかりだったんですよ。つまり、ドラゴンボールという漫 画が、タイではいくつもの会社から、一斉に同じものが出ているわけです。それが毎 週毎週ダンピングされるんです。おそろしいことに。だから、先々週まで一冊20バ ーツだったのが、先週15バーツになって、今週10バーツになっていると。ドラゴ ンボールは、聞いた話によると20社ぐらいの会社が出しているんですけど。どこも ね、10バーツ前後になって、もうそろそろ印刷費から足が出てる状態になってきて る。ドラゴンボールめちゃめちゃ売れるんですけれど、どんなに売れても儲けがない ようになっちゃったんですね。そこで、一案を計じたタイのある出版社が、正式に日 本へ行って、集英社に交渉したわけです。「ドラゴンボール出させてください」と。 集英社は今まで、海外に対して版権一切許可してなかったんですよ。アメリカで一度 「北斗の拳」を出してすごく失敗したことがあって、集英社後悔していまして、OK しないと言ってたんですけれど、OKしないと言われて、そのタイの人の偉いところ は、「だったら俺達今まで通りやりますよ」と。「延々海賊版が出っぱなしですけど それでもいいんですか」という風におどしたわけですね(笑)そしたら、集英社のお じさんはすごく驚いちゃって、ああだったらそれよりはましだ、ということで、まあ 割と、集英社もいい条件でドラゴンボールの権利をおろしたと。そうするとですね、 このおじさんの偉いところはね、タイヘ帰って、ドラゴンボールを出版している20 の会社の社長全部集めてですね、大会議をやったわけですね。「俺達このままでは自 分達の首を絞めてる」と。「一冊10バーツ9バーツ8バーツになってどうすんだ」 と。「それよりは、俺が日本へ行ってドラゴンボールの権利を取ってきたから、お前 達もうやめろ」という風に言ったわけです。東南アジアとかアジア諸国というのは、 まだそういう親分肌とか、キップとかそういうものが通用する世界ですから、「えっ、 日本へ行って、ちゃんと権利取っただって!?てえした野郎だ!じゃあ、お前のとこ ろにドラゴンボールは全部やっていいよ」ということになって(笑)今タイはすごい 著作権きれいになってますよ。今、少年ジャンプが1ヶ月遅れで、ほぼあの内容のも のが、大体45バーツぐらいで発売されています。たいへん安いです。

ヨーロッパの場合

ヨーロッパのほうはね、今のところ、プラネッタ社とノルマ社の2社が競争していま して、これ両方ともスペインの会社です。イタリアとかフランスとかは、なかなか漫 画出版といっても、スペインほど状況が整理されてなくて、ここまで整理された形で 報告しにくいんですけれども。今一番ヨーロッパで面白いのは、漫画人口がどんどん 増えつつある、このスペインの二社ですね。プラネッタというのは、スペインの講談 社と呼ばれているところでですね。めちゃくちゃ会社がでかいわけですよ。でね、月 に100タイトル漫画を出しているわけですね。そのうち3分の1が日本の漫画、残 り3分の2はアメリカのアメコミなんですけど。ところが、このプラネッタというと ころは、会社がでかくて資本力が大きいのはいいんですけど、どの漫画が受けるのか 全然わからないんですね。で、ついつい、日本に来て取り合えず権利取っちゃうんで す。講談社行って「どんな漫画がうれますか?」って聞いて、「ワッツマイケルです」 と言われて、去年ワッツマイケル出して、もう大赤字こいてですね、で、その次に行 った時に、何だったかな、、、しょうまるかな?何かね、月下の騎士を描いている人 のですね、哭きの竜とか描いている人の、とんでもないマイナーな漫画を押し付けら れてですね、出しちゃったと。あと、「はろーへばちゃん」だっけ?何か小林まこと でもね、そういう風な形のマイナー系のものをね、スペインの講談社は、日本の講談 社にどんどん押し付けられてですね、でちょっとこの頃、日本の漫画売れないんじゃ ないかという風に、ここ思い込みはじめていると。

それに対して後進のノルマ社というところが、ここはマニアあがりでですね。言えば ですね、社長が40歳ぐらいの人なんですけれども、それ以外の社員が全部20代の、 こう、俺が見た時は、完全なおたくなんですよ(笑)で、「ノルマ社は今までどんな 本出しているんですか?」「我が社のラインナップですか」と言ったのがですね、 「童夢」「きまぐれオレンジロード」「ドミニオン」「逮捕しちゃうぞ」「電影少女」 という風に言われてですね(大爆笑 拍手喝采)こんなね、いいセレクションするん だったらね、なんにも悩みないです。で、プラネッタ社が押されつつあるんですよ。 (笑)でここがですね、そんなのをガンガン出すんです。今度「攻殻機動隊」出すっ て言ってましたからね。すごいマニアックなセレクション出すんですね。でプラネッ タがそれを見て、ちょっとまて、と。じゃ俺達も何か、受けるものを出そうと言って、 またこのプラネッタという会社は、またやっぱでかい会社ですから、やっぱついつい 講談社とか小学館とか行ってですね、「もっとヒットする漫画を下さい」と言ったら、 「じゃあ、君のところでは、沈黙の艦隊を出しなさい」と。(爆笑)あれは失敗する ぞ〜、と思って見ているわけですけど、違いますよね。ここは明らかに、「きまぐれ オレンジロード」「ドミニオン」「逮捕しちゃうぞ」「電影少女」というのは、実は アニメっぽい絵のものを集中して出しているんですよ。スペインというのは、昔から 日本の漫画がオンエアされているので、この国では、漫画というのは何かというと、 絵で読めるアニメでしかないわけですね。紙で読めるアニメでしかない。だからそう いう風なものがよかったんですけれども。現に「セーラームーン」というのは、マー ベルイタリアというイタリアのマーベルが出しているものが、海外から輸入されて、 スペインの人が読んでいるという状態なんです。そういう風に「セーラームーン」に しても「オレンジロード」にしても、アニメ絵が受けているというのを、プラネッタ 社の人に、俺一生懸命言ったんですけれども、アニメ絵というのがよくわかんないら しいんですよ。でついつい、「じゃあ何か攻殻機動隊がいけたと聞いたんで、じゃあ 我々は、アニメ版攻殻機動隊の権利を取って、、、」というですね、もう、聞いただ けで絶対受けないような、やめとけ、という。こっち側が、「童夢」を取った、大友 克洋の童夢を取った!と言うので、こちら側がね、今度取ろうとしてるのは「彼女の 思い出」というまたこのマイナーなやつでね(爆笑)何でそう自分達の会社を、こう、 苦労するように苦労するように持っていくんでしょうね〜。まあね、この会社はアン トニオマーティネスって言う人が社長なんですけれども。この人、俺飯おごってもら ったから、いろいろ教えたんですけど、全然伝わらないですね。このアニメっぽい絵 という風に言われているもの、それは要するに目が大きい絵のことか?と言って、じ ゃあ、いがらしゆみこ出せばいいのか?キャンディキャンディ出せばいいのか?と。 まあ、悪いことはないんでしょうけれども。何か違うよな、というのが現在の状況で す。

中南米の場合

中南米に関しては、ここね、まだ著作権違反天国でですね。メキシコの方の出版社が ようやっとこの頃、権利取ろうという風に言い出したんですけれども、日本の会社が ね、すごいふっかけてるんですよ。スペイン語圏って世界人口の割合で結構莫大なん で、結構ふっかけてるんで、なかなか正規の版権を取るとか、ちゃんと本を出すとか いうことになっていないと。あとメキシコとかブラジルとかは、そういう国は、その 国の漫画家自体の海賊版が出回っているという、恐ろしく何かこう、著作権フリーダ ムな国でありましてですね。なかなかその日本の漫画会社が入る場所がないんですね。


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アメリカにおける日本の漫画
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