世界最強の男。えらい胡散臭い言葉だが、何、胡散臭いからこそ出てくるロマンというのがある。バラノイアの目的が世界征服、地球人類みな奴隷化であるのと同じこと。もし、そういうお題目がなかったら、オーレンジャーとバラノイアの対決は、工事現場のみみっちい奪い合いにしかならない。それじゃ子供が納得しない。加えて、「世界最強」というスローガンには、世界征服にはない圧倒的な強みがある。それは、世界征服を狙っている奴は実社会にはいない(もしいたら、早々に塀の中にお引きとり願う必要がある)のに対し、世界最強の男を目指している奴は結構いるということだ。そればかりか、既に世界最強を標榜したり、マスコミにそういうふれこみで報道されている人々も何人もいる。
テニス4大大会制覇とか、WBOボクシング・ヘビー級チャンピオンとか、そういうルールとか組織とかが決まったちっちゃなところでの話じゃない。全てひっくるめて最強なんである。キング・オブ・スポーツで、史上最も強いんである。よ〜く考えるとわけわからんが、丸飲みすればもの凄いロマンだ。何せ前田日明などは、ウルトラマンがゼットンに倒されたのに涙して格闘家を志したのだ。おまけに、自作のCD-ROMでは、堂々東京タワーをキックでぶっ倒している。世界最強は、既に、地球上を越えているのである(ちなみに生身のゼットンを見たかったら、名古屋のSPGという団体を訪ねること。ウルトラの新しい兄弟、ロビンもいるぞ)。 プロレス・ファン、格闘技ファンは幸せである。こんな壮大なロマンに首までどっぷり浸かれるのだから。八百長だの、野蛮だのいう悪魔のささやきに耳を貸してはいけない。信仰の果てにこそ幸せはやってくる。 これは、そんな幸せの世界への招待状である。
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Text:山名尚志
HTML:柳瀬直裕
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