世界最強とは何か−−−プロレス・格闘技読み方ガイド(悪質版)


世界最強の男。

 えらい胡散臭い言葉だが、何、胡散臭いからこそ出てくるロマンというのがある。バラノイアの目的が世界征服、地球人類みな奴隷化であるのと同じこと。もし、そういうお題目がなかったら、オーレンジャーとバラノイアの対決は、工事現場のみみっちい奪い合いにしかならない。それじゃ子供が納得しない。
 加えて、「世界最強」というスローガンには、世界征服にはない圧倒的な強みがある。それは、世界征服を狙っている奴は実社会にはいない(もしいたら、早々に塀の中にお引きとり願う必要がある)のに対し、世界最強の男を目指している奴は結構いるということだ。そればかりか、既に世界最強を標榜したり、マスコミにそういうふれこみで報道されている人々も何人もいる。
いわく「私はいつでも、どこでも、誰の挑戦でも受ける(けどファイト・マネーはとっても高いよ)」のアントニオ猪木。

ヴァーリ・トゥード(何でもありの異種格闘技戦)数百戦無敗とかいう選手が次々と現れるブラジルのグレーシー一族。

そのグレーシーが逃げまくっているという「グレーシーの天敵」ルタ・リーブレ。

スデゴロ世界一、「米兵を5〜6人まとめてのしてやったで」とついこないだも雑誌で放言していた格闘王・前田日明。
 昔は「牛殺し」大山倍達や「熊殺し」ウィリー・ウィリアムスといった百獣の王な方々もいらっしゃった(この頃は動物愛護の市民団体が五月蝿いので、世界最強は、人類の間でしか証明しちゃいけないことになっている)。
 テニス4大大会制覇とか、WBOボクシング・ヘビー級チャンピオンとか、そういうルールとか組織とかが決まったちっちゃなところでの話じゃない。全てひっくるめて最強なんである。キング・オブ・スポーツで、史上最も強いんである。よ〜く考えるとわけわからんが、丸飲みすればもの凄いロマンだ。何せ前田日明などは、ウルトラマンがゼットンに倒されたのに涙して格闘家を志したのだ。おまけに、自作のCD-ROMでは、堂々東京タワーをキックでぶっ倒している。世界最強は、既に、地球上を越えているのである(ちなみに生身のゼットンを見たかったら、名古屋のSPGという団体を訪ねること。ウルトラの新しい兄弟、ロビンもいるぞ)。
 プロレス・ファン、格闘技ファンは幸せである。こんな壮大なロマンに首までどっぷり浸かれるのだから。八百長だの、野蛮だのいう悪魔のささやきに耳を貸してはいけない。信仰の果てにこそ幸せはやってくる。
 これは、そんな幸せの世界への招待状である。

1.異種格闘技戦とは何か

2.八百長とは何か

3.カリスマとは何か

4.落ちこぼれとは何か

5.1000戦無敗とは何か

6.400戦無敗とは何か

7.200%とは何か

8.保守反動とは何か

9.そして、最強とは何か。


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Text:山名尚志
HTML:柳瀬直裕

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