読者が紹介する西木正明氏の作品中に表れる東北

西木正明さんの作品には、デビュー作「オホーツク諜報船」をはじめ、北海道や樺太、アラスカなど、「北」を舞台にしたものが数多くあります。
ここでは西木さんの数多くの「北」を舞台にした作品のなかから、特に「東北」を舞台にした以下の2作品を取り上げました。あなたも西木さんの北国ハードロマンの世界を覗いてみませんか。

頭領(シカリ)と親友(ドヤク) 『凍(しば)れる瞳』(1988年5月文藝春秋刊)所収

舞台は秋田県森吉山周辺。林道建設に体を張って抵抗する又鬼(またぎ)の頭領(シカリ)と、乱暴で嫌われ者、その実律儀な老又鬼との心の交流と、滅び行く又鬼の世界とを写実的に描いた作品。


山窩(さんか)の女 『流木』(1995年9月徳間書店刊)所収

舞台は岩手県と秋田県の県境の峠場。雫石上空での航空機事故で亡くなった夫の遺骨を山中に探す女。地元の山で生活する人々に、山窩の末裔と言われるほどに山中を彷徨し続け…。激しく雨がテントを叩く嵐の夜、男は山窩の女と出会った。


その他の「北」を題材とした西木さんの作品

「オホーツク諜報船」
1980年7月角川書店刊

「オーホーツク特急」
1985年9月青樹社刊

「氷海の幻日」
1996年2月講談社刊

西木さんが「凍(しば)れる瞳」「端島(はしま)の女」で1988年上半期の直木賞を受賞された時、選考委員の黒岩重吾さんは、『「凍(しば)れる瞳」は時代の流れと、それに翻弄される人間の過酷な運命、愛などを、鈍色の光沢をにじませながら見事に織りあげている。読後に北海道の雲が囁き合うような余韻が感じられたのは作者の人間への愛情のせいである』と評しています。



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