インディペンデント・リーグ
●東北文化の自立のために



飛島夕陽

chapter2〜なぜ育たないか〜

 それでなぜ東北地方にプロ野球を始めとしたプロ・スポーツが育たないか、その原因を考えてみますと、それは決して東北の経済力の問題ではなく、なんといっても東北の人、なかでも私のよく知っている山形の人は、特にお年寄りを中心にプロ野球では読売ジャイアンツが好きなのです。山形の老人ホームで阪神を応援しようものなら村八分にされます。

 けれども彼らは実際に球場で巨人の試合を見たことがあるわけではなく、ラジオやテレビを通したファンであり、なぜ巨人ファンなのかというと、巨人の野球が好きなのではなく、単に中央で最も人気のあるものが好きだからなのです。ですから自分の身近なところから生まれるエンターテイメントには、あまり関心を持ちません。

 これは岩手在住の作家の高橋克彦さんから聞いた話ですが、以前、ある新人賞をもらった作家が岩手に講演に来た時にたまたま高橋さんも講演を頼まれていて、その後の懇親会が襖1枚隔てた同じ場所で行われ、途中から席がいっしょになったときのことです。その新人賞をもらったばかりの作家は先生扱いされ、また講演料の桁が自分より1桁多いことを知って、さすがに高橋さんは怒ってどうして差があるのかと講演を依頼した側に尋ねたところ、「おめえは東京へ出て行かねえんだから、実力ねえんだべ」と言われたとか。

 このような例は他にも多くあり、私はどうも東北の人達は、ある意味で独自の基準に基づいて身近なものに価値を見い出すことが苦手なのではないかと感じています。 

 

談話音声:chapter2-なぜ育たないか

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