chapter2〜東北人とマフィアの類似性〜
あれから(高校3年で『賢者の贈り物』読んでから)もう50年近く経っているわけですが、その前半はもっぱらアメリカに目が向いていましたから、翻訳の仕事をしたかったのです。アーウィン・ショーというアメリカの作家に魅かれたのですが、なぜかというと大変洒落た都会的な小説を書いていたからです。自分と反対のものを求めていたのでしょう。ですが考えれば本当に恥ずかしいことなのです。彼にしてもユダヤ移民の子で、やはり非常に貧しく育っているのです。アメリカの移民というのはみなそうです。そういう意味ではみな成り上がりだったわけです。
もう一つ興味を持ったのは、アメリカの暗黒街、マフィアです。マフィアを調べるようになってわかってきたのは、飛躍するようですけれど、東北の農民とマフィアのしたたかさみたいなものが大変似ているのではなかろうかと思ったのです。
実際にシチリアに行ったときに、山の上の洞窟みたいな教会で結婚式を見たのですが、どこかで見たような風景だなと思ったのです。マフィアというのはシチリアの田舎から生まれてきたものなのです。それが非常に貧しい。その貧しさというのは東北の貧しさと共通するし、東北人の小ずるい感じ、そういうところがマフィアに似ているのではなかろうかと思いました。
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