chapter3〜発展途上人〜
私が初めて小説を書いた時に一作でおしまいだと思ったのですが、続きを書けといわれて、親しい編集者に相談したら、自分の恥を書きなさいと言われて。考えていたら自然にタイトルが浮かんできて、それが『アルカポネの父たち』です。
カポネの父親も床屋でした。アメリカで一旗挙げようという思いでアメリカへ来たわけです。私の父も福島県東白河郡で水のみ百姓でした。そこから抜け出したくて、やっとのことで税務署に入ることができたのです。それと、アメリカに渡ってきたシチリア出身の男たちとが重ねあったのです。そういう点では、東北だけではなくて、そういう後進国と似ているのではないでしょうか。
そのあとで、私は本気で父のことを書いてみようと思い、『ファーザーズ・イメージ』というのを書いたのですが、それを引退したある編集者に送ったら返事をくれまして、褒め方にもいろいろあるなと思いました。それは一種の小さいながらも成り上がりの歴史みたいなものなんですが、それを「発展途上人」と書いてきまして、なるほどと思いました。それは東北人に共通する思いだったのではないかという気がします。これは私だけかもしれませんけれど。
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