| ベストパートナーb「夫婦」という名の他人 1996年7月講談社刊 |
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僕は根が東北人だから、漬物が好きで、しかもそれに醤油をかけて食べるのを良しとする。妻はアメリカ帰りの西洋かぶれだから、どこかで食事は体への養分の摂取であると割り切っているところがある。 |
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僕の父などは、気に入らないことがあると、「何言ってんだ、クラスケテやる!」と母や兄たちを怒鳴りつけいた。「クラスケル」というのは、福島県の方言なのだろうか、殴ってやるという意味である。さすがに僕は、腕力に訴えるようなことはしない。しても勝ち目があるかどうかは、はなはだ疑問である。 父親は税務官吏として東北地方を転々とし、最後のほうは仙台に落ち着いて、僕も子供のころは仙台で育った。しかし、仙台ではよそ者であった。大学に入るために東京に出て来て、仕事も結婚も東京でして、そのままいついてしまったが、東京でもよそ者という感じがする。上京してもう47、8年になるが、ここが故郷という感じはしない。 父親のように、東京のあちこちを転々としたせいかもしれない。仙台は懐かしいが、故郷とは思えない。仙台でも東京でもよそ者なんだという気がしている。つまり僕の墓を据える場所がないのだ。 | |
| ○東北人が他の地方の人と結婚して一番問題になるのが「食べ物」のことなのだそうだ。濃い味に慣れている東北人は、常盤さんのように健康志向のアメリカ帰りの人と一緒に生活するのも大変だと思うが、国内では京都の人とうまくやっていくのが一番難しいような気がする。味噌汁と漬け物のことで大喧嘩になるのは目に見えている。 |