| 東京の小さな喫茶店 1994年11月講談社刊 |
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ウェイトレスが割烹着のおばさんたちだった。東北や北関東から出てきたように見えて、私は親しみと軽い憎しみをおぼえた。よくもまあ、似たような、顔が大きくて頬骨の高い女のひとばかりいるものだと感心しながら、東北の片田舎で生まれた私は自分の親類に会ったような、自分の顔を見るような、苦い気持を味わった。(もくれん) まだ会ったことのないSさんから電話がかかってきた。こんにつは、とひとこと聞いただけで東北の訛(なまり)が顕著である。こんにつはの「に」も上下の歯を合わせて「に」と言った。秋田の出身だという。キとチをうまく発音できない。Sさんは赤羽かどこかの外食券食堂で、きんぴら牛蒡(ごぼう)を食べたくて、キンピラと注文したところ、当店(うち)にはチンピラなんかいないよと言われたそうだ。(白いばら) |
| ○東北新幹線の始発駅は東京駅になってしまったけれども、東北人にとってやはり上野というのは大切な心の拠りどころなのだろうか。上野駅周辺には数多くの「東北居酒屋」があり、人々は故郷をなつかしんでのれんをくぐる。 同じように東京のどこかに「東北喫茶店」もあるのだろう。丸い顔の女主人が暖かく迎えてくれるようなそんな喫茶店が・・・ |