●安住の地を求めて
 お台場から見る東京の夜景はそれなりに美しいが、マンハッタンの濃密でどことなく寂しげな夜景にはかなわない。
 だが東京にニューヨークを求めるのも、ニューヨークに仙台を求めるのも、できない相談だ。

「仙台、東京、ニューヨークと、どこへ行っても私はちょっとはみ出している。地域のコミュニティーにも家庭にもとけ込めないのです。安住の地というものがない。自分の部屋さえのんびりしているのはネコぐらいのものです。だから知り合いのマスターがいる喫茶店に行くのかもしれませんね」

 常盤さんはいま、池波正太郎など日本の30〜40年代の文芸書、および俳句に関心を持っている。これまで翻訳とアメリカの研究に没頭し、見過ごしてきた文学だ。
「タイムもニューズウィークも読まなくなった。いまは時代小説がいいですね。30年代にこんないい本が出ていたんだなと感心します。若いときはゆとりがなかったが、少しゆとりができて、そのような本を読むのが私にとって安息です」
 「好きになっちゃった」が故にこれまでアメリカやニューヨークに向かって突き進んできた常盤さんだが、ふと気づくと日本や東北行きの乗り継ぎ列車もプラットフォームに待っていた。三都物語を巡る列車はまた出発駅の仙台に戻っていく。
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