4honron3.html 「伝統民族文化の継承と支援」―日本文化の創造と地域の創造―  目次  前項  次項
終論 伝統民俗文化の創造的継承のための支援の方法論の提起
 
3 民間企業の文化支援

 民間企業の文化への関わりは近年盛んになっている。企業と文化の関わりは3つのパ ターンがある。第1は広告宣伝としての関わりであり、冠や後援、支援などがこれであ る。第2は事業としての関わりであり、ビジネスとして関わるものである。第3は寄付 や財団設立など社会的な貢献活動として行うものである。
 広告宣伝としての関わりや事業としての関わりはその方法は比較的確立しているが、 第3の社会的貢献活動としての文化への関わりは一般的な方法論はない。
 例えば、企業文化財団の設立も盛んであるが、多くの財団は助成財団として設立され ている。その中心的な活動は資金助成であり、公演活動などに必要な資金の一定割合や 活動に必要な物品の購入費などを一定額助成するといった資金提供のブログラムを持つ 財団がほどんどである。このプログラムは公募若しくは推薦により、必要とする団体や 個人が申請し、それを審査会などで選択して金銭を与えるものである。多くがこのよう な紋きり型のプログラムとなっている。
 内容的にも事業助成と呼ばれるような、何かイベント的な活動を行うことに対する活 動への支援はあるが、日常的な活動に対する経常的活動助成はあまり行われていない。 このような助成はまた、ある程度が活性化している文化には有効であるが、活動が充分 に活性化していないような活動を掘り起こすためには有効でないなどの問題もある。
 実際の助成制度をみても、いわゆる音楽や演劇などの舞台芸術活動を対象とするもの が多いが、伝統文化などは必ずしも多くない。舞台芸術活動は公演活動が明確であり、 活動内容の評価が比較的楽という側面もある。伝統文化はそれぞれが特徴があり、その 審査はかなり困難である。それぞれの伝統文化を扱う財団でもどのようなやり方をした らよいのか模索中というところが多い。例えば、対象の選考対象を抽出する場合でも、 現在は各地の教育委員会の推薦などを窓口としているところが多いが、そのような方式 でよいのかは問題もある。
 そもそもこのような支援の方法が伝統民俗文化の場合必ずしも最適な形であるかどう かも問題とはなっている。しかし、他に適切な方法やノウハウがないので取り合えず資 金助成という形で行っているという段階であろう。
 民間文化財団は限られた資源のなかで努力されているものが多いので、安易な批判は できないが、助成の仕組みを通じて資金を効率的に配分するだけでなく、真に振興しよ うとしている文化がどのような状態にあり、どのような関与の仕組みが最も効果的で望 まれるものであるかという点を一層検討することが望まれる。そこからもっと有効で、 活動する人々や地域と企業が豊かなコミュニケーションを可能にする方法が見だされる と思われる。


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