以上のような基本的な情報を整理した上で、ここでは縄文文化の生まれた背景、それ 以前の時代との違い、また、どのような文化を形成していったのかをまとめていく。
自然環境の変化は、人類史上、文化発展の画期とされる重要な時代に必ずその背景と
して存在し、人々に大きな生活・文化史上の試練を与えてきた。日本列島においてもこ
の現象は例外ではない。
縄文人の生業活動は、落葉広葉樹林の高い植物質食料の供給力に支えられてきた。
縄文文化確立の前提条件としての「縄文的な定住化」が、はるか1万年以上も前、ま
ず九州地方南部で始まったことにもそれなりの理由がある。
当時は、最終氷期の名残で気候は今よりかなり冷涼、極地を被う大陸氷河も厚く、日
本列島周辺でも海面が40メートルほど低かったと言われている。それが次第に温暖化し
ていく過程で、日本列島でまず落葉広葉樹林が形成されたのが、低緯度に位置した南九
州の地であろう。そして、縄文時代前期を頂点とする気候温暖化に向けて、縄文時代早
期前半には関東地方、近畿地方、そしてそれに続いて東北地方へと、落葉広葉樹林が成
立、それととともに高緯度地域にも縄文文化的な定住が実現していく。
しかし、後述するように、更なる気候の温暖化は、近畿地方以西の植生をやがて常緑
照葉樹林に置き換えた。その結果、縄文文化は東日本で大きく花開くのである。