「最近できた記念館。けっこういいところよ。芭蕉の作品や門人達の資料がそろっているの。それに、山寺や立石寺を一望できるのよ」 由紀は先日、ここに行ってきたらしい。
立石寺といえば、あの有名な
閑かさや岩にしみ入る蝉の声 しずかさや いわにしみいる せみのこえ
「芭蕉が山寺に到着したのは、1689年7月13日(新暦)。それにちなんで、今日結婚式だって」
「彼らのいい言い方すれば、『芭蕉研究家』、悪く言えば『芭蕉オタク』」
肩をすぼめながら、由紀はおもしろおかしく言った。