『美味しんぼ風味』〜第1話2〜 「山形の蕎麦を知らずに食通を名乗るなんて、大笑いだぜ」

「…吾郎か」

吾郎――高岡吾郎は、南北新聞社の記者である。雄海の実の息子でもあるのだが、現在では親子の縁を絶っている。その理由を知るものは少ない…。

「何をしに来た」

「今度その試食会を取材するんだが、あんたが出席するか確認しに来たのさ。メイドに聞いたら、さっさと帰ろうと思ったんだがな」

「ふん、おまえが取材する蕎麦など、大したことはなかろう」

「俺が行くのは7時過ぎだが、この分なら顔を合わさずに済みそうだ。あんたが山形の蕎麦を知らずにいることを、笑っておいてやるよ」

障子が閉められ、吾郎は立ち去る。その方向を、雄海は睨みつけていた。

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