昨日、吾郎が下した答えだった。
だから今日の酒蔵取材もいまいちノリが悪い。
酒蔵の中を一通り案内してもらい、最後に試飲コーナーに案内された。案内役の職員が「ウチの酒は辛口で有名なんですよ」と紹介し、二人に試飲用のグラスを渡してくれたが、それでも吾郎はあまり気乗りしない様子だ。
「じゃあ、頂きます」
ふたりとも香を確かめたが、結局、由希子が先に口をつけた。
「うわ、ほんとに辛いですね、これ」
由希子が言った。吾郎は「えっ?」という顔をして、酒を飲んでみる。すると吾郎の顔がパッと明るくなった。
「ほんとだ、こりゃ丁度いい!昨日のとは大違いだな」
吾郎の言葉を聞いて、職員の顔もパッと明るくなった。