『美味しんぼ風味』〜第2話3〜 「何であんなに味の違いがあったんでしょうね?どっちも美味しかったけど、昨日のお酒と今日のとでは、辛さがまったく違ってた。同じ山形の吟醸酒なのに…」

取材後、お土産に新商品の吟醸酒を貰い、吾郎はホクホク顔だった。しかし由希子の頭には、疑問がもたれかかっていた。

と、吾郎がハッとして立ちどまった。

「そういえば昔、親父…いや、山原雄海が言っていた。山形は、山脈などで4つの地方に分かれていて、その地方ごとに気候・風土が大きく違うと。だから酒も、その地方ごとにまったく違ったものが造られると…」

旅館に帰って瓶のラベルを調べてみると、やはり、違う地方の酒だった。

「雄海に、思わぬところでやられたな…」

吾郎がなぜこんなに悔しそうな顔をするのか、由希子には判らなかった。ただ、立ち入ってはいけない壁を感じ取るのが、精一杯だった。

「高岡さん、お土産のお酒、飲んでみませんか?」

由希子が明るい声で言った。

next