ウエディングベルを鳴らすのは2 会場では、彼らの経歴や長い祝辞が述べられていた。

美奈子は、米沢女子短期大学を卒業して、市役所に勤めていた。彼の方は、山形大学を卒業して、銀行に勤めていた。山形県には5つの短大と2つの大学しかない。

「『松尾芭蕉』?なにそれ」

3人目の長い祝辞にあきてきていた。黙って聞いていた厚子が由紀に小声で尋ねた。

「美奈子、高校卒業後2年間山形県と姉妹州の『コロラド』に留学してたじゃない。それもポイントね」
「短大の卒業研究で松尾芭蕉の研究をしていて、図書館に資料を探しにいったんだって。そこで同じ本を借りようとして譲り合いをして、美奈子が借りることになったんだって」
つくった話のようなので、半信半疑の私に、手をまねきながら、
「ここからがすごいの。別の日に山寺松尾芭蕉記念館に行ったら偶然に会ったらしいの。で、彼の方も覚えてたらしく、挨拶したんだって『この前図書館で……』」
「偶然って重なるものよね。実は彼の方も卒業研究のテーマが松尾芭蕉だったんだって」

「あまりにもでき過ぎてない?」

「だから、松尾様様なのよ。二人は」

偶然のすごさに目を輝かせながら、納得したように周りはうなづいていた。

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