やっと、堅苦しい挨拶も終り乾杯をし、会場内はざわついていた。新婦のお色直しのため退場である。カメラ片手に会場をでた。
大勢でカメラ4台で写真の取り合いをしながら、
「おめでとう、美奈子。由紀に全部聞かせてもらったわよ。松尾芭蕉に感謝だね」
「ありがとう。幸せになる!」
「プロポーズは?」
「彼と二人で『奥の細道』の芭蕉の足取り巡りが終了した帰り、立川町に行って」
「そこに巨大な風車があるんだけど、庄内平野に流れる最上川を眺め、二人で同じ風を感じながら……言葉はねっ、ヒ・ミ・ツ!」
「なに、もったいぶちゃって」
厚子が、ひやかしながら言った。
「一番の決め手はなんなの?」
「彼と奥の細道の調査に行って、彼の『曽良』になれたことかな」
「ごちそうさま」
スポットライトをあび、お決まりの結婚行進曲だったが、純白のウエディングドレスをまとい幸せいっぱいに微笑む彼女の姿は、女である私もドキッとするぐらい綺麗に見えた。彼女の隣にいる背の高い眼鏡をかけた純白のタキシード姿の彼が、先程とは違いしっかりして見えた。