002-1/11 富野先生、尊敬しています!!
<NT'S EYE ニュータイプ・エクスプレス 富野由悠季が書き下ろしたアムロとララァの恋物語「密会」には、ファンの知らないドラマがある>(井上伸一郎/月刊ニュータイプ10月号)
・・・ '94年。女性誌の編集を3年間経験した私は、「少年エース」創刊のためにこの業界に戻ってきた。そのときショックを覚えたのは、かつての「ガンダム」の大監督・富野に対する、世間の「忘れ方」の激しさだった。監督自身の体調が悪く、取材等の表舞台に出ていなかったこと。新作「Vガンダム」がアニメファン向けの味付けを一切排除している作品だったこと…。さまざまな要因が重なってのことだろう。
「エース」に「クロスボーン・ガンダム」のマンガ原作をお願いした頃は、肉体的にかなり辛い時期だったはずだ。
それでも富野は創作を続け、'96年秋には新作OVA「ガーゼィの翼」を生んだ。杉並公会堂で行なわれた完成披露イベント(もちろんアニメ雑誌の記者たちは、いわゆる出演声優の担当者が主で、幹部クラスは姿を見せてくれなかった)で久々に会った富野は、血色も戻り、クリエーターとしての生気を感じさせるほどに体調が回復してるように見えた。
会場の片隅で、壇上の夫を見つめる奥様の、「主人、元気になりましたでしょう?」という嬉し気な声が印象的だった。―こんな小さなイベント。でも、ファンが知らない苦しみの時期を乗り越えて、富野が再び歩き出した。そう実感させてくれた一日だった。・・・
僕はアニメ界で天才と認める人物は、ただこの人一人、富野由悠季のみだ。
宮崎も押井も庵野も幾原本郷も、この天才の前にはその輝きを曇らせてしまう。いや、ほんとマジだって。それぐらい尊敬してるんですよ。
でもここに書いてるとおり、世間のというよりオタク界の「富野由悠季を忘れる」のって、本当に早かったよなぁ。
半年ほど前にうちのヨメが、深夜に寝ている僕をいきなり叩き起こした。「すわ一大事か」と起きた僕に彼女、「富野さん、かわいそう!誰にも認められないまま…」と絶句して、ぼろぼろ泣いているのだ。
「はぁ?」
「だから富野さん、あんなに立派なアニメを創ったのに、誰一人…」
「だから、何だよそれ」
泣いている嫁は、いきなり笑い出した。
「あ、富野さん、まだ生きてるよねぇ!」
わかった。こいつ、夢を見たんだ。寝ぼけてたんだ。
「誰一人、認めてないって、それは失礼だわねぇ!」
ヨメは笑い出し、今度は泣き笑いが止まらない。
「いくら何でも失礼すぎる!勝手に夢の中で殺して、忘れられたことにして、同情して泣いて…」
富野監督、本当に失礼なヨメですいません。寝ぼけていたらしいんですが、あなたのことを忘れないファンがここに一人いる、ということに免じて赦して下さい。
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