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謹賀新年

 さて、年頭に当たって97年を回顧し98年を望み見るというお題を頂きました。97年は一言で言うと「エヴァ後始末」の一年。今世紀最後と言われた一大ムーブメントも「大山鳴動してオ×ニー少年一匹」というそれそれはすごい結末を迎えて、どちらさまも度肝を抜かれるならもう充分ってなトコロだと思います。
 しかし作品的にはアレなエヴァですが、業界には、「オリジナルでも当たる」という風潮を呼び、それまでペンディングや陽の目を見なかった企画が次々と表に出るようになったのは事実。業界関係者は作品批評はおいといてガイナックスに足を向け寝てはいけないといったとこでしょうか。


【アニメ】
 97年秋から関東圏の放送局の深夜枠が拡大されて様々な試験作品が見られるようになったのですが、残念ながらどれもイマイチ当たってません。クオリティはそれぞれ頑張っているのですが、製作者の作りたいモノと視聴者の見たいモノが噛み合っておらず、深夜枠なりの「自由な空気」というモノはあまり出ていないようです。
 そんな中で今、「剣風伝奇ベルセルク」が佳作として注目を集めています。原作の持ち味を巧みにアニメスタッフが取り入れていて、中断に継ぐ中断で半ば崩壊しかけた全体構成をうまくまとめているトコロなど、スタッフの優秀ぶりがよく分かります。作画も予算をかけたようでOLMが血を吐くような思いで頑張っています。
 新年早々から開始される「アウトロースター」などの作り手のやりたいことがもれてくるような作品も準備されているので、98年のアニメ事情は、深夜枠ウォッチを欠かさないところから始まるでしょう。
 他には80年代を引っ張ってきたベテラン監督の久々の新作「ブレンパワード」や「ガサラギ」といった注目作もありますし、夏には人気の藤島康介モノの映画もあるのでネタに困ることは無いようです。ポケモン問題に関しては余所に譲って割愛。


【漫画】
 オタク漫画関連では97年創廃刊が相次ぎ、生き残っているのは、「ドラゴン」、「電撃大王」、「少年エース」といった、いち早く中堅どころを押さえた雑誌のみとなっています。コミックジャパンに至っては、たった13日で廃刊が決まり、執筆者は泣くに泣けません。新人を核にしようとした雑誌はことごとく失敗し、新人漫画家も就職難と言えるでしょう 
 一方でいわゆるロリコン誌と言われる雑誌の中からスターが産まれつつあり、やたら高いクオリティを武器に一般誌に移っていくというのが、これからの流れとなっています。とかく雑誌コードのある出版社はやたら創廃刊を繰り返すので、チェックするのも一苦労。最近では「ホットミルク」、「ZIP」関連作家が注目を集めていて、編集部も引き抜きや発掘でさぞやご苦労な事でしょう。


【同人誌】
 97年末の冬のコミケットは、一言で言うと、「新旧交代」と言ったところ。今回から具体的に税金問題が取りざたされるようになり、今までのような「コミケでエロ本描いてノンタックスで丸儲け」という訳にはいかなくなって、かなり作り手の同人熱に水を差したようです。
 それまでのコミケが80年代末から90年代初頭までにオタク関連雑誌で活躍した作家の独壇場だったことから考えても、そうした作家が具体的な作品発表の場を失い、なおかつ技術的にもブランク落ちしている現在ではいい本が作れよう筈もなく、今まで大量販売していたサークルが売れ残り、終了間際まで販売を続けている光景が多数見られたのが印象的でした。
 一方でHゲーム雑誌で活躍している作家やゲーム原画マンのブースはもの凄い盛況で、
おたくのプラットフォームが漫画からゲームに移行したことをはっきりと裏付けたようです。リーフなどの人気ゲームを持つ企業ブースでは、限定品目当てに多数の行列が出来、もはやコミケもりっぱなビジネスステーションと言え、アマチュアの祭典という認識は過去のモノとなってしまいました。

 今後の争点として、今回行列サークルに対する不満を多数聞きました。曰く「同人誌で儲けている」「本が手に入らない」「待たされる」「対応が悪い」等々。
 しかし本を売る側にとっては大量に印刷するほどリスキーなことは無いのです。販売のために売り子を雇ったり、列整理の人間を調達しなければならず、しかも人気商売故に必ず売れるという保証は全くなく、売れ残れば当然場所を占拠されるし、それは財産として税金加算されるため、お気楽な同人稼業とは決して言えません。
 なおかつ、例えば単価150円の本を千円で売ると暴利だと非難されますが、それは印刷費を部数で割った額。版下や原稿料進行費、材料費などモロモロ勘定されておらず、正規の商取引で考えれば赤字の所がほとんどです。
 趣味でやっているのにこのような不満を漏らされてはやっていく気もしないでしょう。
 特に昨今では、作家のファンでもなんでもない転売用のバイヤーが増えているため、「同人誌をやる面白さ」というのが次々と失われつつあるようです。
 普通に本を売っている同人組からも、客足を取られる行列サークルに不満が上がっているので、コミケで人気があるというのも今後悩みの種になるようです。


【ゲーム】
 ときめきメモリアル2やサクラ大戦2などの大物のビッグタイトルが控えているうえ、TO HeartなどのPCビッグヒットの移植もありえるので、オタクマーケット狙いはそれなりに盛り上がりがあるでしょう。ただ、売れるといってもせいぜい三十万本から五十万本クラスで、百万本のヒットはまず出ないだろうから、狭い市場の食い合いになる可能性が高くなります。
 セガカタナと開発筋で噂されている次期サターンも年末には登場しますが、実際遊びたくなるようなソフト開発が追いついていない現状なので、しばらくは苦戦が予想されるでしょうし、ゲーム開発もマシンのスペックアップによって大予算化の傾向があるので、思い切った開発が出来なくなり、マシンの向上による衰退という思いがけない停滞を招く可能性もあるでしょう。


【総論】
 98年のオタクマーケットもそれなりに盛況を呼ぶでしょうが、そこかしこに不安の種があるため、楽観視は出来ないようです。
 一方で玩具関連に現在注目が集まっているので、今まで一歩引いていた玩具業界が活発に動いてくると見ています。ただフィギュアブームはムーブメントの熱が下がっているので、何が後を継ぐかでしばらくは混迷が続くでしょう。
 ソフト的には、アフターエヴァが表に次々と出てくるので、しばらくは乱戦状態が続くことでしょう。
 98年は前年に増して目が離せない一年になるのは確実ですね。

原えりすん

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