009/11 こういうことはきちんと覚えておくこと
<巻頭大特集 美少女フィギュアクロニクルスペシャル対談:Act.1「美少女フィギュア黎明期」>(『月刊モデルグラフィックス』1998年6月号)
「美少女フィギュア」という概念がこの世に誕生してから17年。改めて振り返ってみればその歴史は驚くほど短いが短いながらも、他のジャンルにはない、大きな変化を経験してきた歴史でもある。
今回の特集ではこの激動の歴史を、黎明期、発展期、そして現在という3期に分け、3組、6人の識者に、対談という形式で語っていただく。まずは「美少女フィギュア」という概念が成立した時代、「黎明期」を語るに際し、まさにそのシーンを開拓してきた当人である秋山徹郎氏にご登場願った。たしかにそれ以前にも女の子の模型を作る行為というものは存在したかもしれないが、それをひとつのジャンルとして、ビジネスとして成立させ、現在の「美少女フィギュア」シーンのひな型を作り上げたのは、間違いなく秋山氏である。
「なにもなかった」ところにそれを出現させた理由、そのとき見えた景色。「美少女フィギュアモデラー」としての第一線を退いた理由・・・・・・。対談の相手として、当時秋山氏に続く形でシーンに現われ、瞬く間に席巻し、嵐が過ぎるかのごとく去って行ったあさのまさひこ氏を迎え、ふだんあまり語られることのない(ともするとここではじめて明かされる)「美少女フィギュア」誕生秘話をお伺いした。
●美少女フィギュアの「あけぼの」
あさの 今、世間はまさしく世紀末的な美少女フィギュアブームのただなかにあるわけだけれど、たかだか15年程度の歴史しか存在しないジャンルであるのに、この業界にはその15年間をきちんと文脈立てて整理できているような文献がほとんど存在していない。たまにそういう記事を見かけても、「美少女フィギュアの発祥は海洋堂」だとか、完全な誤認が史実としてまかり通ってしまっているわけで。
秋山 ぼくの感覚からすれば、ボーメさんとかが出てきたのはかなりあとになってからなんだけどね。ぼくのあとに、伊藤(宏之)君やあさの君が出てきて、そのさらに一世代ぐらいあとというか。
あさの いや、実際にはそうなんだけど。だからこの場の目的としては、まず、ここでいったんそうした歴史的文脈をきちんと正しておきたいというのがあって。・・・
注2/模型情報
80年代初頭より刊行されたバンダイの模型情報誌(事実上、『B-CLUB』の前身に担当する)。基本的には自社製品情報を中心とした構成であったが、アニメーションや特撮番組の制作現場、一流モデラー、イラストレーターなどとバンダイとを繋ぐターミナルとしても機能し、同誌面をきっかけとして多数の企画が商品化への道程を辿っている。本文中にあるミンキーモモのキット化への一件は多分にプロバガンダ的要素が色濃かったものの、”美少女フィギュア”というジャンルへのアプローチが業界内でもっとも早かったメディアのひとつである。
注7/日本アイテム
基本的にガレージキット業界とは無縁の存在だったが、秋山氏からのレジン注型依頼を「仕事として」引き受けてくれた業者。成形品の精度はほぼ完璧だったが(当時としては驚異的)、利益率が悪かったのか、数度の依頼ののちに丁重なおことわりの連絡が入ったそうだ。
注14/持ち込み原型
モデラーが個人的に造形した原型を、ショップ、もしくはガレージキットメーカーに持ち込み、それが正規商品として採用されるような形式。近年ではあまり例を見ないスタイルだが、その昔は純粋な小売店であったコトブキヤなどは、これの積み重ねでガレージキットメーカーへと発展していった。かつて筆者が個人的に造形した1/14キリコ・キューピー(『装甲騎兵ボトムズ』も、このスタイルを活用し、ウェーブから商品化された過去を持つ。
先月のモデルグラフィックス誌は、とにかくこの対談のみでも読むべし。日本フィギュア創世記の生々しい雰囲気が、ちょっととっつきにくい専門&業界用語バシバシで伝わってくる。現在の模型ファンには「秋山徹郎」や「あさのまさひこ」と言われても何のことかわかんない人も多いだろう。
あえて言う。とにかく読んで、中身を丸暗記すること。「土筆レジン」とか「日本アイレム」とかの用語も、そのうち判る日がくるから。 (編集長)
Re アニメの歴史的な位置づけだって、誰もやってないよ
「モデルグラフィックス」って、フィギュアをメインに持ってくるような軟派な雑誌だったっけか? いや、硬派な「モデグラ」がフィギュアを扱えば、フィギュアも硬派な存在に格上げできると思っているのかも知れない。どうやったって私はフィギュアが硬派になるとは思わないけどね。単に最高気温が40度を超えただけでは日本が印度にならないのと同じことでさ。
まぁ、こういう歴史ってのは放っておくとどんどん記憶の彼方へと消えていく不確かなものだから、こういう形で検証しておくのは有意義だと思いますよ。ただ、客観的な記述をするのは難しい。読む側も、常に「誰々から見た○○の歴史」という、視点のありかを意識する必要がある。
フィギュアの盛り上がりって、まだ続くのかなぁ? (佐藤 良平)
Re もうおしまいなのか?
クロニクルやると言うことは、もう上り調子ではなく、かなり終わりが見えてきた証拠ではないのか?。
しかも美少女フィギュア黎明期の話を聞きたがるのは、30過ぎのオタクじじいばっかりで、若手モデラーは昔の古くさいモデルの話を聞きたいのか疑問だ。
今ガレージキット業界は大きくシフトを始めている。昨今は完成品流通に力が注がれて今までオタクが見向きもしなかった女玩ドールも席巻を始めている。
ただでさえ狭いマーケットなのに、昨今の玩具雑誌ブームで有望と道を踏み違えている人間がかなりいるし、某大手模型雑誌編集長が新刊誌に引き抜かれたりして混迷の度は深くなる一方である。
今クロニクルとしてまとめてみるのはイイコトなのだが、こういうことは単行本でやって欲しいなぁと思う次第である。 (原えりすん)
Re まだ市民権取ってないと思うけど
昨今のフィギュアブームですっかりと市民権を取ってしまったフィギュアだが、まだまだ美少女フィギュアはそれには含まれていないといえる。その辺の見極め方というのは、彼女を部屋に呼んでも「ヘンに思われない」というのが、最もわかりやすい判定方法だ。
超合金でも怪獣でもスポーンでも、懐かしのおもちゃだって、ちょっと流行に敏感なコだったらいまだったら全部OKなんだけど、美少女はね・・・。
おそらくここのイメージを最も落としめた張本人は、宅八郎だろう。あのスタイルで森高フィギュア握り締めてメデイアに出まくってたから、もうイメージ悪い悪い。だからクロニクルっていってもなあ。
こういう企画をフィギュア王あたりでやればまた少しは違うと思うんだけど、モデグラというのもちとマニアック過ぎますな。 (山田浩)
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