yamadat.gif 最終回
ビンテージ・トイ狂想曲


 なんだなんだなんだ、なんでこんなに懐かしオモチャが高いのだ。実際、ここ数年のおもちゃブームの気が違ったかと思うばかりの高騰ぶりには、驚くのを通り越して「ア然」とさせられてしまう。
 これではコレクターの金が失くなってしまうのは当然で、みんな顔を会わせれば「金が無いから買えなかった」を繰り返すばかりだ。

 ブームというのは本当はこんな風に急激に膨らませてしまうというのは絶対に良くない。よく「ナントカが赤マルつきで急上昇」なんてフレーズは雑誌・テレビでそのモノを紹介する時に使われるが、真にわかっているオーナーたちは取材をするとみんな苦虫をかみ殺したような表情で「ダメダダメダ」をつぶやいているばかりだ、本当の話。
 たまに勘違いした新参モノが浮かれ上がって、いつも着ている汚いTシャツが突然「バレンチノ」になったりするというわかりやすい図式が見えるけれど、大抵の場合業界はいたって冷静なんだよね。

 やはり人間金が絡むと、人の流れというものがガラッと変わってしまうものだから、不思議だ。つまりおもちゃなんて今まで誰も相手にしていなかったモノに、それまで無関心だったところからものすごいアプローチが来るのだ。そうする地味にやっていたところも舞い上がってしまって最終的にはモノも人間も荒れまくってしまうということだ。ほら、ここ2-3年のフィギュアブームでショップがたくさんできたでしょ、あの現象だよね。それでもっていまどうなっているかというと、どこも商品投げ売り状態。とくにひどいのはアメトイで、もう「USゴジラなんて「ゴジラ安いぞコンテスト」なんてどっかの雑誌がやったらいくらになるのか見当もつかないくらい。輸入業者の皆さん、ご愁傷さまでございます。
 ショップもここに来てかなりつぶれるところが増えてきているようだ。しかし元々そういうところは「変わり身の早さ」が商売の武器みたいなところだから、今ごろはとっくに他の仕事に衣替えしているところも多いと思う。

 ビンテージトイがこんなに高くなってしまったのは、不況といわれるこの時代の中で、おもちゃだけが未だに「バブル」を引きずっているからである。元来は世の中のバブルの時にブリキの値段がポーンと上がってしまったことからこの悲劇が始まっているといっていい。あの頃は何もかもが「高くしてもOK」だったからね、こんな大量生産品にも数十万なんていう価格をつけてもポーンと右から左に売れたのである。
 本当にビンテージトイなんて、書画骨董から比べればゴミだからね、業者も無茶苦茶悪どいことやってきた。悪どいって言っても、素人から安く買い叩いて、ゼロ2つか3つつけて売るという商売からすれば至極まっとうな話なんだけれど。
 だから北原さんなんかがテレビに出て、あれだけ価格とかつければ、周囲からいろいろ言われるのは当然で、売った人からきっとガンガンクレームが来ていると思うよ、人間金が絡むと本当に変わるから。
 最近では末端(いわゆる最後に買う人ね)が、買い取りの現場に入って来て、末端価格で買い取っちゃったなんていう情ない話も聞く。三重でマルサンのプラモデルのウルトラマンが出た時には、業者が揉めていたら末端が1,000,000でもってっちゃったらしい。

 で、高騰したブリキにいくらなんでも客がついていかれなくなったころに新たに目をつけたとこが、「超合金」だ。ついていかれないというのは、価格的にも年代的にも両方のことを意味する。だから「合金ブーム」はあきらかにつくられたもの。そして、それらに引っ張られて他のものもガンガン上がっていくといった仕組みだ。価格というのはある程度相対的なモノで、「コレにこの値段をつけたら、アレはこのくらいつけなきゃ」という力関係があるから、どんどん上がってしまうのだ。またバブリーな金持ちコレクターというのがこれまた始末が悪い。
 某音楽関係の人は「プラモで1億円使った」と噂されるくらいの凄い人。もう「欲しい」となったら「じゃあいくらで売ってくれるの?」の世界だからね。一回でもその価格で動いたら次は下回ることはありえないから、こうして価格だけがどんどん形骸化していってしまいには誰も手の届かない価格、「そして誰も買えなくなった」となっていくのである。

 あと合金やソフビ関係の写真集を何冊か出している広告関係者のヒトもだいぶもってかれた口だ。このまえなべやかんの本を読んでいたら、その人のことが載っていて「人柄のよい彼の性格を慕って、多くのショップやコレクターが協力した結果が●●コレクションだ」だって、ひどいなあ。これって要するに●●(トリの名前を入れること)じゃない。
 しかし、ビンテージトイは普通の量産品と違って「さくらや」なんかで安さ爆発できない分、強気の商売になってしまうのは仕方がないだけれどね。一度上がってしまった価格はそう簡単には下げられないから、いくら不景気とはいえ、安くなることはあまり期待できないと思う、「あー金がねぇ」だ。



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