●エヴァンゲリオンお詫び会見
於:東映本社8F会議室
時:1997年2月14日 15:00〜15:25
【 司会(東映・フクナガ氏)によるイントロ 】
大変お待たせしました。今日は突然、緊急にみんなを…皆様をお
呼び出しした形になってしまいまして、恐縮です。
実は、昨年の夏以来いろいろブームを巻き起こしました「新世紀
エヴァンゲリオン」劇場版の「シト新生」、これの制作過程でいろ
いろ制作状況が変ってきたということがありまして、今日は製作と
出資を代表しまして、角川書店・角川歴彦(ツグヒコ)社長と、それ
から原作・脚本・総監督であります庵野秀明さんに来ていただきま
して、一応、事情説明会という形で、今日は会見をさせていただき
ます。
それではお願いします。
申し遅れましたが、私は東映の宣伝部のフクナガと申します。ま
た後ほどご質問を受けたいと思いますけども。
それから、それ以外に、配給・興行等のお話がありましたら、こ
ちらに担当が控えておりますので、ご質問を受けたいと思います。
それでは始めさせていただきます。それでは製作・出資を代表し
まして、角川書店社長・角川歴彦様よりご説明をお願いします。
【 角川歴彦(角川書店社長)の談話 】
今日は本当に皆さんお忙しいところを、突然ですけども、こうや
って集まっていただいて、ありがとうございました。
…僕のカバン、どこかな? 皆さんに配った書類は―――
(フクナガ氏)それと事前にお手許に資料をお配りしてありますの
で、それをご覧になりながらお聞き下さい。
庵野監督からは、後で庵野監督自身の気持ちを皆さんに語っても
らうとしてですね、私の方からは、ちょっと、今までの経過につい
て、皆さんのお手許にあるものに即して話したいと思っております。
読むような形になるかも知れませんけども、お許し下さい。
「新世紀エヴァンゲリオン」劇場版「シト新生」の「REBIRTH 第
2部」というふうな形での製作について、皆さんのお手許に資料が
渡っていると思います。
3月15日土曜より、全国ロードショウ公開される「DEATH & RE
BIRTH」は、上映時間全99分の予定で制作されております。
「DEATH」の方は 従来は平成7年10月から平成8年3月のTV
東京で放映されたTV版の、いわば1時間ぐらいの…1時間、60
分の圧縮版というんですか、総集編というような形で制作される予
定でありましたけれども、その後、大量の新場面とか、それから新
作…画が…その…の場面が目白押しで、本当に庵野総監督が新たな
視点で作り上げた劇場版新作として制作している最中であります。
それから「REBIRTH」は 劇場用完全新作として作られております。
これは当初からそういう予定でした。当初は この「REBIRTH」を以
て、ストーリー的に完結すべく、制作を進められておりましたけれ
ども、「エヴァンゲリオン」という、アニメ史上ほんとに皆さんご
存知の通りの、類を見ないような作品のラストシーンをですね、最
高の完成度で世に出したいと、庵野監督自身の気持ちから、2部構
成をとるという選択をいたしました。
従って今回の「REBIRTH」は 完結編の第1部という形で公開した
いと思います。今回の「REBIRTH」は TVシリーズの中で散々投げ
かけられております謎の部分が語られる予定であります。皆さんご
存知の方もいらっしゃると思いますけれども、セカンドインパクト
はなぜ起ったのかとか、それから使徒の正体というふうなことの、
ファンの疑問に対して答が盛り込まれる予定になっております。
そういうふうな形で、この「REBIRTH」については 第1部という
形になるわけですけども、この第1部・第2部が完結しますと、7
0分くらいの作品になるはずでありまして、それは今回、1部しか
観られなかった人のためにも、夏に公開するということで、もうこ
のまま第1部が公開された後も、引き続き庵野監督以下、制作スタ
ッフが解散せずに、そのまま制作に入るということであります。
そういう…第2部の方では、人類の未来を決する最後の戦いが描
かれると、いうことであります。去年の11月に、こういう記者会
見をしてお話しした中で庵野監督自身から語られた、エヴァンゲリ
オン対エヴァンゲリオン、そういうふうな見所が満載されるはずで
あります。そして「エヴァンゲリオン」のストーリーは、これで完
結さしたいと、いうことであります。
そういうことで、「REBIRTH 2」の制作に当っては、「REBIRTH」
が第1部と〔併せて?〕完結という形で、すべて完結しないわけで
ありますから、今回のファンの気持ちを考えて、今回の春の興行で
〔チケットを?〕未使用な方がいらしてもですね、その方々には、
そのまま夏も観てもらえるような、ことを興行の方々に了解を求め
ているところであります。
まぁそういうことで、今回こういう異例な形になりましたことで、
私はまぁ、製作者として東映の配給の方々とか、或いは興行の方々、
或いは映画館の東急系の方々、それからまたファン、そして皆さん
に、暖かい気持ちで見守っていただきたいと、いうことをお願いし
たいと思って、このような席を持ったわけです。
なお、1月15日公開の「DEATH & REBIRTH」におきましては、3
月13日に、公開の前の前の日に、全国五大都市で完成披露試写会
を行う予定です。
そういうことで皆さんの暖かいご理解をいただきたいと、いうふ
うに私からもお願い申し上げたいと思います。
(フクナガ氏)それでは、原作・脚本・総監督であられます庵野秀
明さんからお願いします。
【 庵野秀明監督の談話 】
えー、あの、今回の事件の総責任者である庵野です。
えーっとですね、当初完結を謳っておきながら、今回の3月15
日に関しては完結【しない】という、誠に以て申し訳ございません、
としか言いようがない事態になってしまいました。
しかし東映さんと角川さんのご厚意によりですね、夏もう一度チ
ャンスがいただけるということなので、夏に向けて頑張っていきた
いと思います。ま、地獄が夏まで続くことになってしまいました。
すみません。皆さん、申し訳ございません。
…というとこなんですが。
【 質疑応答 】
(フクナガ氏)ということで、あの、だいたい説明した通り、ご理
解いただけたと思うんですが、何か質問がありましたらお受けした
いと思います。
Q1:当初ですね、60分・60分という話を伺っていたんですが、
結果的に70分になって、プラス10分というのは、どういう部分
がその60分で納まりきれないのか…
角川:(フクナガ氏に)その部分の話を、ちょっといいですか?
僕がまず言ってから庵野君にということで?
あの、…昨年製作発表した後の段階から、というのは、あの…ざ
っくばらんに申し上げて、皆さんのご存知の通り、TV版のバージ
ョンの中でですね、最後に語り尽くせなかったんじゃないかと。
或いは、庵野監督自身の気持ちと、視た人たちの…TVバージョ
ンを視た人たちの間の、気持ちの多少のスレ違いはあったかとも思
いますけれども、充分ではなかったんじゃないかという部分で、今
回 その「REBIRTH」という形で、幾つかの謎について答えようと、
ということが今回の映画化の元だったかと思いますけれども。
その中で、庵野監督自身の構想がですね、実はその、2時間40
分くらいの構想が広がって、2時間40分くらいの絵コンテに仕上
がってきたと、いうことなんであります。
そういう中で、今もまたお話ししているように、従来の「DEATH」
編…つまりTVバージョンの圧縮というだけではですね、やっぱり
納得できないという監督自身の気持ちで、「DEATH」編についても、
30分以上の新しい、新作の部分がですね、描き込まれた、という
ことで、変ってきたと、ご理解していただきたいと思います。
庵野:やっぱり作っているとですね、ただの総集編だとつまんない
んで、いろいろシャッフルしてですね、再構成してみたんですよ。
すると、結果として70分になってしまったということと、あと新
作部分に関しては、あの時〔「シト新生」製作発表〕も言っちゃい
ましたけど、まだ脚本の決定稿を見てなかったんで、決定稿になる
と「ああっ、こんなに延びた!」っていうことです。
Q2:これで「エヴァンゲリオン」についてはこれにて完結します
とすると、まったく新しいエヴァンゲリオンを作るという可能性っ
ていうのは、どうなんでしょう?
庵野:今んとこは、すいません。もう持ち駒がなくなってしまって、
つぅんですかね、赤玉が出てしまった。次のやつで。もうしばらく
は出来ないんじゃないかと思います。
角川:エヴァのとしては気持ちとして、これだけのことをやってい
るので、もう次の新作を考えられないと、いう気持ちが正直なとこ
だと僕は思いますけど。
Q3:それでは名実共に完結ということだと?
角川:はい。
Q4:今回 3月の「REBIRTH」編が弐七分で、夏の新作「REBIRTH
2」が70分で、今回観られる「REBIRTH」27分というのは だい
たい「REBIRTH」全体の どのあたりの話で一旦で終るって感じなん
でしょうか?
庵野:およそ半分弱。あの、たいへんいい所で終りますんで。まぁ、
ずるいですけど。
Q5:「REBIRTH」 のうちの半分弱の方ですけども、そのあと夏に
その半分弱の所から物語が始まると考えてよろしいんでしょうか?
それとも、もう一回、その27分を70分用の作品として再構成し
ながら、という話なんでしょうか?
庵野:あの、ロールの問題とかいろいろありまして、たぶん、もう
壱度そこからダブる形になってつながると…それはちょっとご容赦
下さい。そちらの方が、観てて気分がいいと思うんですよ。そうい
う形を取らせていただくことになります。
Q6:これから暑い時期に向かうんですが、体力的・精神的にいろ
いろ自己管理が大変だと思いますが?
庵野:今、実を言うとこちら〔左〕の耳がよく聞こえない状態なん
ですよ。ていうぐらい厳しいですけど、頑張ります。
Q7:現在、絵コンテは全部完成されているという状態なんでしょ
うか?
庵野:ラストの所だけ、ちょっと保留にしてるんですけど、これは
もろもろ事情がありまして、保留にさしていただいてるという形で、
取りあえずは。
Q8:今回の春の部分の映画のですね、実際の現場的な進行状況を
教えていただければと思いますが。
庵野:現場的ですか。まぁ、地獄としか言いようがないんですけど
も、頑張ってます。
Q9:今回で完結すると思って前売りを買ったファンは、これでま
たもう1枚前売りを買わなきゃならないんですけど、それは2倍の
料金を払うということですが、それに関しては、どう償うつもりな
んでしょうか? 未使用の前売りに関しては、次をやってとおっし
ゃいましたが、1枚しか買わない人というのは2倍の料金を払うわ
けですね?
角川:まぁ、そうですね。ですからまぁ、そういうふうなことで、
今回こういうふうなね、皆さんに理解を求めてお話をしたいという
ことで席を作った、大きな理由だと、理解してもらたいと。
これは非常に劇場にも大きな迷惑をかけるわけで、そういう点で窓
口で言うとですね、詰めかけた観客と、それからそういうふうなク
レーム付いて、迷惑かけるのは劇場なんで、そういふうなことで、
迷惑かけることになると思うので申し訳なく思ってるんですけども。
僕はそういう点、本来ならば、場合によってはですね、この映画
を辞退するというふうなことまでも考えてみたことがあります。正
直申しますとですね。
しかしながらそうするとですね―――お手許にこういうふうなの
お配りしてあるのかな?〔ある、の声〕―――そちら見てもらうと
判るんですけども、これは私の先ほどの説明にも入ってますけども、
エヴァンゲリオンというのは3つのエヴァンゲリオンがあるんだと
思うんですよね。
そういうことで言うと、TVバージョンが平成7年10月から平
成8年3月まであって、これは完結して、それから今回、皆さんに
春に観てもらいたいと思っている「DEATH」編というのと、それから、
「REBIRTH」編の一部もあるんですけども、 これをもし辞退するこ
とになるとですね、庵野監督が30分以上新らしく描き上げた「DE
ATH」編というのが まったく未公開のまま葬られることになるわけ
ですね。
で、その部分については僕も脚本を読ましてもらったけれども、
とってもいい脚本になっててですね、これがもしそういうふうなこ
とになるんだとすると、また、10万なのか20万なのか何十万な
のかというファンにとってはですね、とってももったいないことな
んじゃないかと。本当のエヴァンゲリオンのファンという面で言う
とですね、もったいないんじゃないか。
そういう面では、この「DEATH」編と「REBIRTH」編の第1部とい
うのが、私は庵野監督の手のもとでですね、きっと、観た方は観た
方なりのですね、納得のしかたをするような満足感を与えられるも
のになってると、いうふうに思います。
それでも、どうしてもそれが納得できないという方であれば、そ
の方は映画を3月に観る前に時期を待っていただいて、夏に観ても
らったらどうかと、いうことで先ほど申し上げた、夏の公開として
使えると、いう表現になっているわけであります。
Q10:些末なことなんですけども、新作部分のフィルムの幅とで
すね、画面のアスペクト、スタンダードなのかそれともビスタなの
か、それをお教え願えますか?
庵野:えっと、35ビスタです。1.85のビスタです。両方とも
そうです。
Q11:じゃあブロウアップされるわけですね、旧作の部分に関し
ては?
庵野:はい。
Q12:春の「REBIRTH」第1部の方では 謎の真相は、ほぼまだ解
明されない状態だと考えてよろしいんですかね?
庵野:あのー、かなり説明しちゃってるんじゃないかと思うんです
けども。オチの部分は、すいません夏までお待ち下さいなりますけ
ど、謎の部分ていうのは、だいたいは解っていただけるんじゃない
かと思うんですけど。
Q13:今注目の謎の部分なんですけども、今、こちら〔説明用資
料〕に書いてある部分では“セカンドインパクトはなぜ起こったの
か?”“使徒の正体は?”“心身喪失状態のアスカの復活はあるの
か?”これらは具体的に説明されるわけですが、それ以外の出版物
にある、カヲル君というキャラクターがどうなるのかとか、その辺
の所を?
庵野:カヲル君ですか? 何て言えばいいんでしょうね。まぁ、す
いません、春にはちょっと厳しいです。
(フクナガ氏)それでは、これで質問もないようなので、終了させ
ていただきます。今日はわざわざ本当にお忙しいところをお集まり
ありがとうございました。
角川:本当に最後ですけども、皆さん応援して下さいね。よろしく
お願いします。
(フクナガ氏)本日はありがとうございました。
[戻る]