●総編集の意味[薩川昭夫INTERVIEW](アニメージュ5月号)

−−−実際に仕上がったフィルムをご覧になってどう思われました?脚本段階で考えていたものとのギャップとか。
薩川 そうですね。庵野さんもおっしゃってたんですけど、実際のフィルムは摩砂雪の世界だなあ、と。僕や庵野さんの匂いは、あんまり残っていませんでしたね。
−−−えっ、摩砂雪さんの世界ですか? 思いがけないお答えですね。それはどういうことですか?
薩川 うーん、・・・・・ひとことでいうのは難しいですね。
・・・(中略)・・・

−−−脚本を拝見すると、例の「起動」、「凌辱」といったクレジットまで指定されていますね。
薩川 もともとの脚本では、そういった言葉はセリフになっているんですよ。ゴダールの「勝手にしやがれ」の予告編というのが、堅い言葉を女がボソッ、ボソッと言うようなものだったので、僕はそれを戦闘シーンでやろうと思ってたんです。庵野さんは賛成してくれたんですけれど、摩砂雪さんが、「あ、俺ゴダールわかんねぇし、あれは仏語でやるから美しいのであって日本語でやったらどうかナァ・・・」とおっしゃって、できあがったのが、あのシーンなんです。
−−− ああ、なるほど、そういった実際に画面になったときのアイデアや、編集のリズムといったトータルの部分で、摩砂雪さんの色合いが濃いフィルムになっているという、最初の語につながるわけですね。
薩川 そうですね。しかし、制約が多い中でよくぞあれだけのものができたなと思います。流石、摩砂雪監督ですね。
−−− 「REBIRTH」への感想を。
薩川 ありません。早くエンドマークを打ったものが見たいです。
−−− 夏の制作には関わらないのですか。
薩川 ええ。もう関わることはないんじゃないでしょうか。今回の「DEATH」編が僕にとっての「THE END OF EVANGELION」ですね。夏の映画は切符を買って、初日の行列に並びたいと思います。
−−− 「エヴァンゲリオン」を終えるにあたって、何かコメントは?
薩川 コメントはないです。あ、そうそう・・・。実写の作品で脚本を担当した江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」(監督・実相寺昭雄、主演・真田広之)が同じ時期に同じ東映の配給で公開される予定です。エヴァに喰われてしまわない事を祈ってます(笑)。