0013/13 スター・ウォーズ、幾星霜・・・
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の過去と未来 (『SFマガジン』8月号)
(↑ホントにこんな風な字組み。なにが悲しうてスターウォーズでエヴァせんければならん)
さて、なにはなくともスターウォーズだ。今を去る1977年、『少年サンデー』のグラビアで『新作SF映画大作・惑星大戦争』って記事を見ていきなりハマって(タイトルもそうだが、「ジョーアズ」「チューバコア」「黄金のタカ号」「ダース・ヴァダー」「ツスケン・レイダーズ」なんて表記が懐かしい)サアそれから丸一年待たされた挙げ句、新宿コマの初日に夜っぴて並んで入れ換えをゴマかして3回連続して見てから既に星霜20年。途中で寝たのも含めると17回半、飽きもせず映画館に通ったもんだ。
こういうと、
「なんであんな映画にハマったんですかあ。つまらない映画じゃないですか」
というバカが必ず出てくる。大東亜戦争経験者の日本人に
「なんで戦争に反対しなかったんですか」
と訊くバカと同じだ。歴史にはその時々の流れがある。われわれにとっては『スター・ウォーズ』はお祭りだった。これからSFの時代が来るんだな、人前でSFの話が出来るようになるんだな、というお祭りだったんだよ。
で、実際SFの時代って来たんだけど、これがちょっと頭を抱えるようなものだった。まず、SF作家たちがハシャぎ出したんだ。小松左京や手塚治虫なんかが対談でベタ誉めしたり、石川喬司がTVのニュース番組に出て
「クローン人間って知ってますか」
とアナウンサー相手に自慢したりして、われわれは
「オイオイ、違うだろ」
と違和感丸出しな表情で彼らを眺めていた。スターウォーズのヒットってのは、アンタらがたどってきたSFの歴史への否定なんだよ、ルーカスが撮ったのはSFじゃなくてSFガジェットなんだよ、そんなことにも気がつかんのかオイ?という感じで、それまでマインドコントロールされて思い込んできた、
「SF作家=モノカキの中で一番頭のいい人種」
という図式が崩れはじめた。
まあ、なんとか正気を保っていたのは
「ますこめら いやみひがめかえすえふが ぶうむと騒ぎ夜も寝られず」
とかいうハナモゲラ短歌詠んだ筒井康隆と、
「あなたは“スターウォーズ”派ですか、“未知との遭遇”派ですか」
というアホな質問に
「僕は“猿の惑星”派」
と応えた星新一くらいだったな。とにかく、それからコンニチまでの疾風怒涛のSFカン違い興亡史は、まさにアレヨアレヨという見物だった。アレが見られただけでも、早く生まれていてよかったぜ(もちろん、その時代にちゃんとそのことは発言してツバをつけている。その時分からあたしゃ、ドサクサにまぎれて後日の証拠を残すのがうまかったのだ。この件については近く、どっかで書く)。
今回、特別版公開で各誌が一斉にスターウォーズ特集組んでるが、あの頃の超オモシロいドタバタを経験した身には、コレというものは少ないような気がする。『POPEYE』なんて、あの当時、“スターウォーズなんかもう見ない!”という、えらくシャレた特集組んだものだったが、今回のはイケン。
そんな中で、そのカン違いSF界の老舗、『SFマガジン』が“初公開時から今までの”スターウォーズとその影響の変遷を軸に特集を組んでいるのはなかなかやるねえ、と思わせた。塩沢編集長は初公開時にまだ十歳だったにもかかわらず(なに、テ言うことはまだ三十?)、スターウォーズ以前と以降のSF業界がまったく違うものになってしまっているということをよっく心得ている。巻頭エッセイの野田昌宏元帥はやはり野田元帥だがな(本当にこの野田訳の小説版、野田節は野田節なんだけど、ひどかったよ。下訳のバイトのせいではあろうけれど、『ジェダイの復讐』でヨーダが死ぬとき、「アナザー・スカイ……」ってつぶやいて死ぬ。普通に考えれば「もうひとりのスカイウォーカーがいる」って重大な秘密を打ち明ける途中で息を引き取るんだってわかりそうなもんなのに、それを「あそこにもう一つの空がある」と直訳してる)。
殊に、初公開時のアチラのSF業界の反応として、正反対の意見であるサミュエル・ディレーニーとJ・G・バラードのエッセイを並列しているのも興味深い。若いオタク諸君、ここらを仕込んでおけば、キミのスターウォーズ理解度は必ずや倍増することであろう。
ところで、その「特別版」だが、デジタル処理で画面がクリアになっていて、初見時には気がつかなかったところ(デス・スター内でC−3POが隠れている部屋にドアをコジ開けて入ってくるストーム・トルーパーの一人が、ドアに頭をブツけてひっくりかえってる、とかネ)がハッキリ見えるようになったのは嬉しいが、あのCGはあまりヨロシクない。つまらんところをCGで補正しているくせに、直ってないところは相変わらず直ってなかった。わたしは二十年前に友人たちと「スターウォーズ特撮ミス発見ごっこ」っていうのをやったことがある。全部で十何カ所あったんだけど、それが全部残ってたというテイタラクだ。
一番大きいミスだと思うのが、ジャワズのマーケットでルークの叔父さんが赤い方のR2ユニットを買う。それが壊れたんで青のR2−D2と取っ替えるんだけど、そのシーンで青いR2が映るとちゃんとその後ろに(もう壊れたはずの)赤いR2が映ってる。それから、ダースベーダーとオビ・ワン・ケノビがチャンバラやってる間に、お互いのライトサーベルの色が入れ代わっちゃう。ベーダーが赤でケノビが青なのに、ケノビ切り倒してからベーダーの剣が青になっちゃうわけ。そういうのがまるきり残っててなんだ、こりゃ、と思った次第であった。前の編集がルーカスの別れたカミさんなんで、打ち合わせしにくかったのかも知れない。
SFマガジンに戻って、執筆者の香山リカがこんなこと言っている。
「エヴァじゃなくて『スター・ウォーズ』に熱狂していた時代は幸せだったなー」
余計なお世話、と今のエヴァマニアは言うぞ、絶対。
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